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4. 損益計算書と収益性分析

売上が大きいだけで収益性が高いとはいえません。どの段階で利益が残り、どれだけの資産・自己資本を使って稼いだかを読みます。損益計算書(P/L)は期間の収益と費用を対応させた情報です。

例題:青葉社の利益を段階で追う

Section titled “例題:青葉社の利益を段階で追う”

前章の青葉社と同じ年度です。単位は万円。販管費180には減価償却20を含み、特別損益はないとします。

項目金額売上比・意味
売上高600顧客への販売
売上原価360販売した商品等の原価
売上総利益240売上総利益率40%
販売費及び一般管理費180販管費率30%
営業利益60営業利益率10%
支払利息10本例の営業外費用
経常利益・税引前利益50特別損益0の仮定
法人税等15学習用の金額、税額計算は省略
当期純利益35売上高当期純利益率約5.83%
売上600万円から純利益35万円まで

売上から売上原価360、販管費180、支払利息10、税金15を順に控除。売上総利益240、営業利益60、税引前利益50、純利益35となります。

  • 灰:起点・終点
  • 橙の浮いた棒:差し引く費用
  • 灰破線:差引残額の接続。縦軸は万円
グラフの数値を表で確認する
項目金額(万円)扱い残額(万円)
売上600起点600
売上原価-360増減240
販管費-180増減60
支払利息-10増減50
税金-15増減35
純利益35終点35

学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。

純利益35と、B/Sの純資産250→285がつながります。ただし配当・増資・その他の純資産変動があれば、純資産増加額と利益は一致しません。売上原価には今期支出したすべての製造・仕入費用が入るのではなく、在庫との振替がある点にも注意します。

平均総資産は (500+585)/2=542.5(500+585)/2=542.5、平均自己資本は (250+285)/2=267.5(250+285)/2=267.5。本例では期首期末平均を使います。季節変動が大きければ月次平均等を検討します。

営業利益ROA=60542.5≈11.06%\text{営業利益ROA}=\frac{60}{542.5}\approx11.06\% ROE=35267.5≈13.08%\text{ROE}=\frac{35}{267.5}\approx13.08\%

ROAの利益には営業利益・経常利益・純利益など複数の定義があります。本章は目的を明示して営業利益を使いました。比較時は分子と分母の定義を合わせます。

営業利益ROAは、営業利益率10%と総資産回転率 600/542.5≈1.106600/542.5\approx1.106 回の積です。率の低下が値引きや費用増によるのか、回転率の低下が在庫・債権増等によるのかを分けられます。

ROEの3分解なら、当期純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ(平均総資産/平均自己資本)を使います。営業利益率をそのまま混ぜません。借入でROEが上がっても、返済・金利リスクが増えている可能性があります。

管理用P/Lは目的別に組み替える

Section titled “管理用P/Lは目的別に組み替える”

財務会計の売上総利益と、変動費を引いた限界利益は同じではありません。売上原価にも固定費、販管費にも変動費が含まれ得るためです。製品・顧客・活動ごとに集計する際は、共通費の配賦前後の利益を区別し、財務P/Lとの調整表を持ちます。CVPで変動費・固定費へ分け、ABCで活動の違いも捉えます。

他の条件が同じで、回避可能な販管費が10万円減ると、営業利益と営業利益率はいくらですか。

解答・解説

営業利益70万円、営業利益率 70/600≈11.67%70/600\approx11.67\%。ただし削減が売上・品質・将来費用へ影響しないという条件付きです。