全データを保存する代わりに、合計や平均だけで母数について同じ推論ができる場合があります。この「母数に関する情報を残す要約」が十分統計量です。単なる情報量の少ない要約との違いを、密度の分解で示します。
独立同分布の標本で尤度が fθ(x)=gθ(T(x))h(x) と分解できれば、ネイマンの分解定理により T は十分です。ベルヌーイ標本では p∑xi(1−p)n−∑xi なので合計が十分。正規で平均・分散とも未知なら ∑Xi,∑Xi2 が十分です。
十分な統計量で不偏推定量を条件付き平均すると、期待値を保ったまま分散を増やさずに済みます。これがラオ・ブラックウェル化の考え方です。十分であることと、推定量そのものが不偏であることは別の性質です。
小さい順に X(1)≤⋯≤X(n) と並べます。連続分布の r 番目の密度は
f(r)(x)=(r−1)!(n−r)!n!F(x)r−1{1−F(x)}n−rf(x).
「左側が r−1 個、微小区間が1個、右側が n−r 個」と数えることで導けます。最大値は P(X(n)≤x)=F(x)n。外れた観測や端点の推定には平均の標本分布ではなく、こうした分布が必要です。
Xi∼U(0,θ) なら最大値 M の密度は nmn−1/θn、0<m<θ。尤度は θ−n1{M<θ} なので M が十分です。
E(M)=n+1nθ,Var(M)=(n+1)2(n+2)nθ2.
最大値は上端を過小推定します。不偏化は (n+1)M/n。n=4,M=8 なら10です。母数で支持域が変わるため、通常の正則条件の下でのクラーメル・ラオ下限をそのまま適用してはいけません。
正規標本では Xˉ と不偏分散 S2 が独立で、(n−1)S2/σ2∼χn−12。そのため n(Xˉ−μ)/S∼tn−1 が得られます。独立なカイ二乗を自由度で割った比がF分布です。正規性がない場合、これらの有限標本での厳密性は一般に失われます。
U(0,1) から3個取った最大値が0.8以下の確率は?
解答・解説
3個すべてが0.8以下なので 0.83=0.512。最大値は Beta(3,1) に従います。