9. 時系列データ
何のために時系列として読むのか
Section titled “何のために時系列として読むのか”毎月の来店者数には、長期的な成長だけでなく、季節や休日数による上下が重なります。値を大きい順に並べ替えると、いつ増減したかが分からなくなります。時系列では時間の順番と間隔を保ったまま、変化の背景を考えることが大切です。
「何人増えたか」「元の規模に対して何%増えたか」「短期の上下をならすとどんな傾向か」は別の問いです。それぞれ増減量、増減率・指数、移動平均を使い分けます。基本のグラフと移動平均の実図は4級の時間的・空間的データにもあります。
例題1:同じ100人増でも意味が違う
Section titled “例題1:同じ100人増でも意味が違う”A施設は昨年500人から今年600人、B施設は1,000人から1,100人になりました。どちらも100人増ですが、増加率は、
より、Aは20%、Bは10%です。追加の受け入れ人数を考えるなら両方100人ですが、規模に対する伸びを比べるならAが大きいと分かります。前の値が0の場合、この式は使えません。
20%増えてから20%減る場合は、倍率1.2と0.8を掛けて0.96倍になります。元に戻るのではなく4%減です。分母となる値が途中で変わることが理由です。
指数:共通の出発点にそろえる
Section titled “指数:共通の出発点にそろえる”| 施設 | 基準年 | 翌年 | 2年後 |
|---|---|---|---|
| Aの利用者数 | 500 | 600 | 750 |
| Aの指数 | 100 | 120 | 150 |
| Bの利用者数 | 1,000 | 1,100 | 1,200 |
| Bの指数 | 100 | 110 | 120 |
基準年からの伸びはAが50%、Bが20%です。指数にすると金額や人数の規模が違っても伸び方を比較しやすくなります。ただし実人数そのものは指数から直接分かりません。
Aの翌年120から2年後150への増加率は(150 − 120)/120 = **25%**です。指数の差30と増加率30%を混同しないようにします。
基準年を変更する
Section titled “基準年を変更する”Aの翌年を新たに100とするなら、古い指数を120で割って100倍します。基準年は100/120 × 100 ≈ 83.3、翌年100、2年後125です。基準を変えても、同じ二時点間の倍率は変わりません。
例題2:移動平均を順に計算する
Section titled “例題2:移動平均を順に計算する”5か月の売上が 12,18,15,21,24 万円でした。中央の月に置く3か月移動平均は、
| 対応する月 | 使う売上 | 計算 | 移動平均 |
|---|---|---|---|
| 2月 | 1〜3月 | (12 + 18 + 15)/3 | 15 |
| 3月 | 2〜4月 | (18 + 15 + 21)/3 | 18 |
| 4月 | 3〜5月 | (15 + 21 + 24)/3 | 20 |
です。単月では2月から3月へ下がっていますが、周辺の月を含めると上昇傾向です。ただし実際の3月の売上が18万円だったことにはなりません。元の観測値と平滑化した値を両方残します。
中央に置く方法は翌月の値が必要なので、最新月には計算できません。直近3か月を使って最後の月に置く方法なら計算できますが、対応する位置と解釈が異なります。長い期間で平均するほど細かな変動はならされる一方、急変に気づきにくくなります。
季節と比較条件をそろえる
Section titled “季節と比較条件をそろえる”昨年7月800人、今年6月600人、今年7月900人なら、今年7月は前月比50%増、前年同月比12.5%増です。7月に毎年増える施設なら、前月比には季節の影響が含まれます。
前年同月なら季節をある程度そろえられますが、開館日数やイベントまで同じとは限りません。例えば同じ900人でも、開館20日なら1日45人、30日なら1日30人です。何を比べる目的なのかに応じて分母をそろえます。
結論を書くときの注意
Section titled “結論を書くときの注意”「売上が上がったので宣伝が効いた」と原因を断定せず、まず対象期間、比較対象、増減量・率を書きます。その後に季節や営業日数などの別の要因を確認します。時系列で二つの指標が一緒に増えても、共通する時間の傾向による関連の可能性があります。
- 昨年400人から今年500人への増加率と、昨年を100とする指数を求めてください。
- 共通の基準の指数が125から150に変化したときの増加率は何%ですか。
3,6,9,12,15の中央に置く3項移動平均を求めてください。
解答・解説
- 増加率25%、指数125です。
- (150 − 125)/125 = **20%**です。
- 2・3・4番目の位置にそれぞれ6・9・12です。端は計算に必要な値が足りません。