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12. 点推定と1母集団の区間推定

何のために推定値だけでなく区間を示すのか

Section titled “何のために推定値だけでなく区間を示すのか”

標本平均が20でも、少人数で大きくばらついている場合と、多人数で安定している場合では、母平均について得られる情報が違います。点推定に加えて区間を示すと、抽出に伴う不確実さを伝えられます。

最初に知りたい母数を決め、推定の式を選びます。母平均・母分散・母比率・相関では、使う標本分布も異なります。

推定量と推定値、不偏性と一致性

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推定量は、標本から計算する確率変数としての式です。実際の標本を代入して得た数値が推定値です。例えば標本平均 Xˉ\bar X が推定量、観測された20が推定値です。

  • 不偏性:E(θ^)=θE(\hat\theta)=\theta。取り直した標本での平均が真の母数に一致する。
  • 一致性:nを増やすと、推定量が真の母数へ確率的に近づく。

どちらも一回の推定が真の値に一致するという意味ではありません。また、不偏性と一致性は別の性質です。平均二乗誤差は MSE=V(θ^)+Bias(θ^)2\mathrm{MSE}=V(\hat\theta)+\mathrm{Bias}(\hat\theta)^2 と分解でき、不偏かどうかだけで精度全体は決まりません。

例題1:分母nの分散は、なぜ不偏でないか

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独立な同一分布の標本では、E[∑(Xi−Xˉ)2]=(n−1)σ2E[\sum(X_i-\bar X)^2]=(n-1)\sigma^2 です。分母nの分散は期待値が (n−1)σ2/n(n-1)\sigma^2/n で母分散を小さめに評価します。分母n−1なら不偏です。

一方、nが大きいと(n−1)/nは1に近づくので、通常の適切な条件の下では分母nの分散も一致性を持ちます。不偏性と一致性の区別に使える例です。標本標準偏差s自体が、σの不偏推定量とは限りません。

信頼係数95%とは、同じ手続きで標本抽出と区間作成を繰り返すと、およそ95%の区間が固定された母数を含むという意味です。一度得た区間について「母数が95%の確率で動いて入る」とは解釈しません。また、個々のデータの95%が入る範囲でもありません。

以下の zp,tν,p,χν,p2z_p,t_{\nu,p},\chi^2_{\nu,p} は左側累積p点です。95%区間ではα = 0.05、1−α/2 = 0.975を使います。

母平均:母分散が既知ならz、未知ならt

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正規母集団の独立標本で、

σ2既知:xˉ±z1−α/2σnσ2未知:xˉ±tn−1,1−α/2sn\begin{aligned} \sigma^2\text{既知}:&\quad \bar x\pm z_{1-\alpha/2}\frac{\sigma}{\sqrt n} \\ \sigma^2\text{未知}:&\quad \bar x\pm t_{n-1,1-\alpha/2}\frac{s}{\sqrt n} \end{aligned}

です。大標本では正規近似を検討できますが、少人数の非正規データにもt区間がいつでも正確に使えるわけではありません。

例題2:10個の測定から母平均を推定する

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n = 10、標本平均20、分母n−1の標準偏差s = 2、母分散未知の正規母集団とします。自由度9のt0.975 ≈ 2.262を使うと、

20±2.262210≈[18.57,21.43]20\pm2.262\frac2{\sqrt{10}}\approx[18.57,21.43]

です。もし母標準偏差が既知の2であれば、z = 1.96を使い、約18.76〜21.24となります。sが2だったことと、σが2だと分かっていることは違います。

母分散:χ²を使い、分母の向きを逆にする

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正規母集団の独立標本なら、

[(n−1)s2χn−1,1−α/22,(n−1)s2χn−1,α/22]\left[ \frac{(n-1)s^2}{\chi^2_{n-1,1-\alpha/2}}, \frac{(n-1)s^2}{\chi^2_{n-1,\alpha/2}} \right]

です。大きい確率点で割った方が下限、小さい点で割った方が上限になります。n = 10、s² = 4なら分子36、自由度9の点19.023と2.700を使って、母分散の95%区間は約1.892〜13.331。母標準偏差の区間は両端の平方根を取り、約1.376〜3.651です。

平均の区間と異なり、s²を中心とした左右同幅にはなりません。母分散のこの方法は正規性への依存が強く、外れ値や歪んだ分布に注意します。

母比率:標本比率から標準誤差を推定する

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独立な0・1標本で、成功・失敗の数が十分大きいときの近似区間は、

p^±z1−α/2p^(1−p^)n\hat p\pm z_{1-\alpha/2}\sqrt{\frac{\hat p(1-\hat p)}n}

です。400人中220人が賛成なら0.55 ± 0.04877で、約**50.12〜59.88%**です。誤差幅は約4.88パーセントポイント。少標本や0・1に近い割合では、このWald型近似が不適切な場合があるので、別の区間法を使います。

有限母集団からの非復元抽出では、抽出率に応じて補正が必要です。標本が十分小さいかを確認し、標本分布の定義とそろえます。質問文や無回答の偏りを、この区間が自動的に解消するわけではありません。

独立な組が2変量正規に従い、標本が十分大きい場合、w=atanh⁡(r)=12log⁡1+r1−rw=\operatorname{atanh}(r)=\frac12\log\frac{1+r}{1-r} の標準誤差を約 1/n−31/\sqrt{n-3} として近似できます。

wの区間 w±1.96/n−3w\pm1.96/\sqrt{n-3} を作り、両端を tanh⁡\tanh で相関の尺度へ戻します。r = 0.6、n = 30ならw ≈ 0.693、区間を戻すと約0.306〜0.790です。rに同じ誤差幅を単純に足し引きしない点が重要です。

外れ値や非線形関係があるときは、相関係数と区間だけでなく散布図も確認します。|r| = 1ではこの変換は有限値にならないため、そのまま使えません。

  1. 不偏推定量とは、一回の推定値が真の値に等しいことですか。
  2. 母標準偏差既知10、n = 100、平均50なら95%区間はいくつですか。
  3. 母分散の区間の下限では、χ²の大きい確率点と小さい確率点のどちらで割りますか。
解答・解説
  1. いいえ。標本を取り直したときの推定量の期待値についての性質です。
  2. 48.04〜51.96です。
  3. 大きい確率点で割ります。割る数が大きいほど結果が小さくなるからです。