5. 集計・代表値と分布
何のために集計と要約をするのか
Section titled “何のために集計と要約をするのか”クラスごとの小テスト結果を比べたいとき、点数の一覧だけでは全体の特徴をつかみにくくなります。集計表で分布を整理し、代表値で中心を表し、散らばりの図も使うと、同じ平均の集団の違いまで見えてきます。
ただし要約すると情報が減ります。表の階級の途中の人数や、箱ひげ図だけから平均が分かるとは限りません。何をまとめ、何の情報を失ったかも意識して読みます。
例題1:10人の待ち時間を集計する
Section titled “例題1:10人の待ち時間を集計する”待ち時間が 2, 4, 4, 5, 5, 5, 6, 7, 8, 10 分だったとします。5分幅で区切ると、次のようになります。
| 待ち時間(分) | 階級値 | 度数 | 相対度数 | 累積度数 | 累積相対度数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 0以上5未満 | 2.5 | 3 | 0.3 | 3 | 0.3 |
| 5以上10未満 | 7.5 | 6 | 0.6 | 9 | 0.9 |
| 10以上15未満 | 12.5 | 1 | 0.1 | 10 | 1.0 |
5分ちょうどは第2階級、10分は第3階級です。相対度数は各度数を10で割り、累積は小さい方から足します。「10分未満」は90%ですが、「10分以下」は元データから100%だと分かります。表だけでは第3階級の内訳が不明なので、後者は正確に読めません。
累積相対度数グラフは何を示すか
Section titled “累積相対度数グラフは何を示すか”階級の上端に、それより小さい値の累積相対度数を置きます。上の表なら0分で0、5分で0.3、10分で0.9、15分で1です。
階級境界では5分未満30%、10分未満90%、15分未満100%。線は境界の点を結んだもので、途中の正確な割合を保証しません。
チャートを読み込んでいます。数値は本文・表でも確認できます。
グラフの数値を表で確認する
| 階級境界(分) | その値未満の累積割合(%) |
|---|---|
| 0 | 0 |
| 5 | 30 |
| 10 | 90 |
| 15 | 100 |
学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。
縦軸は減少せず、最後は1または100%になります。曲線が急に上がる区間ほど、その区間に多くのデータがあります。ヒストグラムが「各区間の度数」、累積グラフが「そこまでの合計」を示す違いを確認しましょう。
区間内を直線で結んだ場合、例えば7分未満が何%かを厳密に示しているわけではありません。階級内の配置の情報が失われているためです。
代表値は、知りたい中心に合わせて選ぶ
Section titled “代表値は、知りたい中心に合わせて選ぶ”元データの合計は56分、平均は5.6分。中央の5番目と6番目はどちらも5なので、中央値は5分。最も多い値も5なので、最頻値は5分です。
平均は合計時間の把握に、中央値は中央の利用者の位置の把握に、最頻値は最もよく現れる待ち時間の把握に役立ちます。平均だけで「全員だいたい5.6分」と読んではいけません。
表しかない場合の平均の近似は、
です。正確な5.6分と違うのは、階級内の値をすべて階級値に置き換えたからです。最頻階級は5以上10未満ですが、そこにあるどの値が最頻かは表だけでは分かりません。
四分位数と箱ひげ図で散らばりを見る
Section titled “四分位数と箱ひげ図で散らばりを見る”この10人の下半分は 2,4,4,5,5、上半分は 5,6,7,8,10 です。したがってQ1 = 4、Q2 = 5、Q3 = 7。四分位範囲は3分、範囲は10 − 2 = 8分です。
箱ひげ図は、箱がQ1〜Q3、中の線が中央値を表します。ひげを最小・最大まで描く方法と、一定の基準で外れ値を別の点にして描く方法があるため、図の定義を確認します。具体的な図と計算手順は4級のデータの要約にあります。
「箱が長いので人数が多い」とは言えません。箱の長さは中央付近の散らばりであり、人数ではありません。また、山が一つか二つかは箱ひげ図だけでは判断しにくく、ヒストグラムも合わせて見ます。
幹葉図と外れ値の扱い
Section titled “幹葉図と外れ値の扱い”元の値を残して分布を見たいなら幹葉図が便利です。例として12・14・14・21・26・40を整理します。
幹 | 葉 1 | 2 4 4 2 | 1 6 3 | 4 | 0鍵:1 | 2 は1240はほかから離れた値ですが、入力ミスか、実際に起きた珍しい値かを確認します。集団比較に不都合だから削除するのではありません。処理する場合は理由を記録し、含めた場合と除いた場合の違いも確認します。
例題2:二つの分類を集計する
Section titled “例題2:二つの分類を集計する”30人中、徒歩通学20人のうち遅刻ありが2人、バス通学10人のうち遅刻ありが3人でした。
| 通学手段 | 遅刻あり | 遅刻なし | 合計 |
|---|---|---|---|
| 徒歩 | 2 | 18 | 20 |
| バス | 3 | 7 | 10 |
| 合計 | 5 | 25 | 30 |
徒歩の遅刻あり割合は2/20 = 10%、バスは3/10 = 30%。遅刻した人5人のうちバス通学者は3/5 = 60%です。30%と60%は分母が違うので、別の問いへの答えです。
これは二つの質的変数のクロス集計です。二つの量的変数の組を調べるなら散布図と相関へ進みます。表の作り方は4級のクロス集計表でも詳しく練習できます。
- 度数2・5・3の3階級で、第2階級の相対度数と第2階級までの累積相対度数を求めてください。
1,2,3,4,5,6,7,8の中央値、Q1、Q3、四分位範囲を求めてください。上下半分の中央値を使います。- 上の通学手段の表で、全体に占める「バスかつ遅刻あり」の割合はいくつですか。
解答・解説
- 全体10なので、0.5と0.7です。
- 中央値4.5、Q1 = 2.5、Q3 = 6.5、四分位範囲4です。
- 3/30 = 10%。全体が分母です。バス通学者の中の遅刻率30%とは異なります。