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6. 尤度・推定法・フィッシャー情報量

観測値を固定し、母数を動かしてデータへの適合を比較する関数が尤度です。成功8回・失敗2回のベルヌーイ標本なら L(p)=p8(1−p)2L(p)=p^8(1-p)^2。pp の確率密度ではなく、積分が1になる必要もありません。

成功8回・失敗2回の相対尤度

最大値で割った理論曲線。p=0.8で最大になるが、周囲にもデータと両立する値がある。

  • 青実線:p⁸(1−p)²を最大値で割った曲線
グラフの数値を表で確認する
成功確率p相対尤度
00
0.20.000244
0.40.035156
0.60.400452
0.81
10

学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。

ℓ(p)=8log⁡p+2log⁡(1−p),U(p)=ℓ′(p)=8p−21−p=0⇒p^=0.8.\ell(p)=8\log p+2\log(1-p),\quad U(p)=\ell'(p)=\frac8p-\frac2{1-p}=0 \quad\Rightarrow\quad\hat p=0.8.

対数尤度の2階微分が負であり、端点も調べて最大と確認します。全成功・全失敗なら最大は境界なので、内点でスコアを0にするだけでは不十分です。

モーメント法は理論モーメントを標本モーメントに合わせます。指数分布の率なら E(X)=1/λE(X)=1/\lambda を Xˉ\bar X と置いて λ^=1/Xˉ\hat\lambda=1/\bar X。最尤法でも n/∑Xin/\sum X_i となります。ただし一致するのはこのモデルの性質で、一般に同じ推定量にはなりません。

最小二乗法は残差平方和を最小にします。独立で同分散の正規誤差なら最尤法と一致します。正規性がなくてもガウス・マルコフの条件下ではOLSはBLUE(線形不偏推定量の中で最小分散)です。「すべての推定量の中で最良」とは言えません。

正則な1母数モデルでは、1観測の情報量を

I1(θ)=Eθ[U1(θ)2]=−Eθ[ℓ1′′(θ)]I_1(\theta)=E_\theta[U_1(\theta)^2]=-E_\theta[\ell_1''(\theta)]

と定義します。独立標本では In=nI1I_n=nI_1。ベルヌーイなら I1(p)=1/{p(1−p)}I_1(p)=1/\{p(1-p)\}、不偏推定量のクラーメル・ラオ下限は 1/In=p(1−p)/n1/I_n=p(1-p)/n です。Xˉ\bar X はこの下限を達成します。

不偏性は有限標本で期待値が母数に等しいこと、一致性は標本が大きくなると真値へ確率収束することです。効率は比較対象と損失を明記します。不偏な2推定量の相対効率を Var⁡(T2)/Var⁡(T1)\operatorname{Var}(T_2)/\operatorname{Var}(T_1) と定義すれば、大きいほど T1T_1 が高精度。バイアスがあればMSE=分散+バイアスの2乗も比較します。

指数標本の合計が20、n=5n=5 のとき率の最尤推定値と、その不偏性は?

解答・解説

λ^=5/20=0.25\hat\lambda=5/20=0.25。ただし E(n/∑Xi)=nλ/(n−1)E(n/\sum X_i)=n\lambda/(n-1) なので上方バイアスがあります。n>1n>1 なら (n−1)/∑Xi(n-1)/\sum X_i が不偏です。