コンテンツにスキップ

11. 外部性と公共財

工場の排出による地域の被害や、他社にも役立つ研究知識は、通常の市場取引だけでは十分に価格へ反映されないことがあります。外部性は、取引当事者以外への影響が価格等を通じて内部化されていない状況です。企業の原価と社会全体の費用を区別します。

限界便益を MB=100−QMB=100-Q、私的限界費用を PMC=20+QPMC=20+Q、外部限界費用を MEC=20MEC=20 とします。競争市場が外部費用を無視すると、

100−Q=20+Q⇒Qmarket=40100-Q=20+Q\quad\Rightarrow\quad Q_{\mathrm{market}}=40

社会的限界費用は SMC=PMC+MEC=40+QSMC=PMC+MEC=40+Q。社会的な余剰を最大にする数量は、

100−Q=40+Q⇒Qsocial=30100-Q=40+Q\quad\Rightarrow\quad Q_{\mathrm{social}}=30

過剰生産10単位による死荷重は 12×10×20=100\frac12\times10\times20=100。最適数量での外部限界費用と等しい1単位20のピグー税なら、この単純モデルの市場数量を30へ誘導できます。総被害額ではなく、限界的な被害を使います。正の外部性なら、市場供給が社会的最適を下回ることもあります。

コースの定理は、権利が明確で、取引費用がなく、必要な交渉が可能などの条件のもとで、当事者の交渉が効率的な資源配分につながり得るという考え方です。誰に権利を与えるかで所得分配は変わります。所得効果がある一般の場合まで、配分が権利の初期割当てに無条件で独立とはいいません。関係者が多数で被害把握も難しい場合、現実の交渉費用は重要です。

純粋公共財は非競合性と非排除性を持ちます。1人の利用が他者の利用を減らさず、非負担者を利用から排除しにくいため、ただ乗りが生じやすくなります。混雑する共有資源は競合性があり、純粋公共財と区別します。「政府が提供する財」のすべてが公共財なのではありません。

公共財では各人が同じ数量を利用するため、同じ数量での限界便益を縦に足します。私的財の市場需要を数量で横に足す場合と違います。

2人の限界便益が MBA=60−Q,MBB=40−QMB_A=60-Q,MB_B=40-Q、限界費用が40とします。両者の評価が正の範囲では、

MBA+MBB=MC⇒100−2Q=40⇒Q=30MB_A+MB_B=MC\quad\Rightarrow\quad100-2Q=40\quad\Rightarrow\quad Q=30

数量30でAの限界便益30、Bの限界便益10、合計40です。これはサミュエルソン条件の貨幣表示の例です。評価が0になった人の負の限界便益を機械的に足さず、問題の有効範囲を確認します。

環境対応や研修などは、費用負担部門以外にも影響します。内部管理で何を測定するかを考え、測定できた金額だけが効果のすべてだと解釈しないことが大切です。

外部費用の例でMECが10に下がると、社会的最適数量と最適な単位税はいくらですか。

解答・解説

100−Q=30+Q100-Q=30+Q より数量35、最適な単位税は10です。外部限界費用が一定という仮定のもとでの結果です。

学習ガイド