10. 正規・二項・ポアソンの推測
使い分けの出発点
Section titled “使い分けの出発点”平均、割合、発生率のどれを比較したいか、独立標本か同じ対象の前後かを決めます。検定名をデータに当てはめる前に、母数・標本単位・仮定を書き出します。
| 対象 | 統計量・分布 | 注意 |
|---|---|---|
| 正規平均、分散既知 | 帰無下で標準正規 | |
| 正規平均、分散未知 | 自由度 | |
| 正規母分散 | 自由度 のカイ二乗 | |
| 独立2平均、分散不等 | Welchのt | 自由度も近似する |
| 対応ある2平均 | 差 の1標本t | 元の2群を独立扱いしない |
| 正規2分散 | 正規性の逸脱に敏感なF検定 | |
| 二項比率 | 二項の裾確率、またはスコア統計量 | 両側p値の定義を明記 |
| ポアソン率 | 観測時間を含む尤度 | 人数だけでなく曝露量をそろえる |
例題:対応を生かす
Section titled “例題:対応を生かす”5台の機械の調整前後の差(後−前)が とします。平均−1、標本分散0.5なので 、自由度4。両側p値は約0.0341です。機械ごとの基準差を相殺するため差を解析します。正規性は差の分布についての仮定です。
二項・ポアソンの正確計算
Section titled “二項・ポアソンの正確計算”10試行で8成功、 なら
Waldの漸近検定では5%で棄却する場合があり、小標本で近似差が実質的な判断差になります。両側の正確p値には確率が観測値以下の事象を足す方法などがあり、単純な片側の2倍と常に一致するわけではありません。
事故数 なら率のMLEは 。観測時間1000時間で5件なら0.005件/時間です。異なる時間を観測した群の件数だけを比べるのは不公平です。 に対する検定では平均 のポアソン分布で裾を計算します。
3群以上を対ごとのt検定で何度も比較すると第一種過誤が増えます。まず全平均が同じかをANOVAで扱い、事前に決めた線形対比や、多重性を制御した比較へ進みます。有意でないという結果は同等性の証明ではありません。同等性を論じるなら、許容差を先に定め、区間と対応する検定を設計します。
2施設の事故数がどちらも5件。率も同じと結論してよいか?
解答・解説
観測時間や曝露人数が必要です。100時間で5件と1000時間で5件では推定率が10倍違います。推定の不確実性と独立性も確認します。