6. 確率とベイズの定理
何のために確率を更新するのか
Section titled “何のために確率を更新するのか”不良品を検出する装置が反応したとして、本当に不良である確率はどれくらいでしょうか。「不良なら反応しやすい」と「反応したなら不良らしい」は、条件の向きが異なります。元の不良率も影響します。
ベイズの定理は、結果を観測した後で、原因側の確率を更新する方法です。式だけを暗記せず、どの集団を分母にしているかを人数でも確認しましょう。
事象・加法・条件付き確率
Section titled “事象・加法・条件付き確率”全結果の集合をΩ、その一部の事象をA・Bとします。確率は0〜1、全体の確率は1です。補集合は「起こらない」、共通部分は「かつ」、和集合は「または」です。
排反なら共通部分は0。独立なら です。正の確率を持つ排反な二事象は独立ではありません。片方が起こればもう片方は起こらないからです。
乗法と全確率
Section titled “乗法と全確率”一つの経路の確率は、各段階の条件付き確率を掛けます。例えば赤2・白3から戻さず赤→白を取る確率は2/5 × 3/4です。独立でないから掛けられないのではなく、条件に合う確率を使うことが重要です。
AとA以外で全体を分けると、
です。複数の原因候補でも、互いに重ならず全体を覆う分割なら同じように足せます。
例題:検査装置が反応した品の不良率
Section titled “例題:検査装置が反応した品の不良率”架空の製品で、不良率1%、不良品に反応する確率90%、良品にも反応する確率5%とします。説明のため10,000個をこの比率に沿って分けます。
| 状態 | 反応あり | 反応なし | 合計 |
|---|---|---|---|
| 不良 | 90 | 10 | 100 |
| 良品 | 495 | 9,405 | 9,900 |
| 合計 | 585 | 9,415 | 10,000 |
反応した585個のうち不良は90個なので、求める確率は90/585 ≈ **15.38%**です。「不良なら90%反応」を逆向きにして90%と答えてはいけません。良品が非常に多いため、その5%も反応群の大きな部分になります。
ベイズの定理で同じ計算をする
Section titled “ベイズの定理で同じ計算をする”Aを不良、Bを反応とすると、
です。 は事前確率、 はAの下で観測Bが起こる尤度、 は事後確率です。分母は反応した全体の確率であり、不良率だけではありません。
もし事前の不良率が10%なら、0.09/(0.09+0.045) = 2/3です。同じ装置でも、調べる対象の事前確率が変わると事後確率が変わります。元の率がどの集団の値かを確認して使います。
反復する情報を使うときの注意
Section titled “反復する情報を使うときの注意”同じ装置で2回反応したからといって、一回の結果を独立に二つ掛けられるとは限りません。装置の癖や製品の性質で反応が関連している場合があります。複数の情報を組み合わせるには、どの条件の下で独立と仮定するかを明示します。
- 、 なら はいくつですか。
- 、、 のとき、 と を求めてください。
- と が等しいと一般に言えますか。
解答・解説
- 0.12です。
- 全確率は0.8×0.2+0.1×0.8 = 0.24、事後確率は0.16/0.24 = 2/3です。
- 言えません。分母になる集団が異なります。