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15. 情報の非対称性と契約

売り手だけが品質を知っている、委託先の努力を発注者が観察できない、といった情報差は取引を変えます。数値を集めるDXも、契約や評価制度も、何が誰に観察できるかを確認して設計する必要があります。

契約前からある品質・リスクなどの違いを相手が識別できない問題です。中古品市場で、良品と不良品が半数ずつあり、買い手評価が良品100・不良品40なら、品質が分からないプールへの期待評価は70です。

売り手の最低受取額が良品80・不良品20なら、価格70では良品の売り手が退出します。残った商品の評価は40となり、不良品だけの取引が成立し得ます。「当初の平均品質で価格を決めればよい」だけでは、売り手の参加が変わる影響を見落とします。この結論は、売り手の外部選択肢と情報構造を仮定した結果です。

契約後の努力などが観察・契約で指定しにくい問題です。努力が観察不能な担当者に、高努力なら成功確率0.8・努力費用10、低努力なら成功確率0.4・努力費用0という選択があるとします。失敗時報酬0、成功時ボーナス bb、担当者はリスク中立とします。

0.8b−10⏟高努力≥0.4b⏟低努力⇒b≥25\underbrace{0.8b-10}_{\text{高努力}}\geq\underbrace{0.4b}_{\text{低努力}} \quad\Rightarrow\quad b\geq25

これが誘因両立条件です。留保効用0なら高努力の期待効用 0.8b−10≥00.8b-10\geq0 が参加制約で、b≥12.5b\geq12.5。両方を満たすには25以上ですが、25では努力間で無差別なので、高努力を厳密に選ばせるには25超か、無差別時に高努力を選ぶ仮定が必要です。

成功時に企業へ100の収益があるなら、b=25b=25 と高努力の選択を仮定した期待収益は 0.8(100−25)=600.8(100-25)=60。この1つの例から、現実の最適な報酬額が決まるわけではありません。リスク回避、測定誤差、複数業務への努力配分も考慮します。

シグナリングとスクリーニング

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情報を持つ側が行動でタイプを伝えるのがシグナリング、情報を持たない側が契約メニュー等で自己選択を引き出すのがスクリーニングです。

例えば資格取得による賃金上昇が20で、高能力者の取得費用5・低能力者の取得費用30なら、高能力者は取得で得、低能力者は模倣すると損です。これは分離を支え得る誘因条件ですが、受け手の信念、雇用側の行動、他の選択肢も必要で、費用差だけで均衡を断定しません。資格が生産性そのものを上げる人的資本効果とも区別します。

売上だけを評価すると値引きや回収リスク、件数だけなら品質が見落とされることがあります。観測指標と本来の目的を区別し、記録の検証、品質指標、長期結果を組み合わせます。すべてを測ろうとして現場負担が過大になれば継続できません。QCの標準化ともつながります。

成功確率が高努力0.9・低努力0.5、努力費用が12なら、成功時ボーナスの誘因両立条件はいくらですか。

解答・解説

(0.9−0.5)b≥12(0.9-0.5)b\geq12 より b≥30b\geq30。30では無差別です。参加制約や、努力を厳密に選ぶ条件も別途確認します。

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