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1. データの種類と尺度

何のために尺度を区別するのか

Section titled “何のために尺度を区別するのか”

アンケートの回答を「バス=1、自転車=2、徒歩=3」と記録したとします。平均が2でも、「平均の通学手段は自転車」とは言えません。数字は分類に付けたラベルで、量を測った値ではないからです。

反対に、通学時間10分・20分・30分の平均20分には意味があります。どの比較や計算に意味があるかを判断するための分類が尺度です。計算できることと、その結果を解釈できることを区別しましょう。

人や対象によって値が変わる項目を変数といいます。質的変数は種類や属性、量的変数は数量を表します。尺度は次のように整理できます。

尺度分かる関係例適した集計・比較
名義尺度同じか違うか通学手段、血液型、郵便番号人数・割合・最頻の分類
順序尺度同じか違うか、順番満足度の低・中・高、順位人数・割合、順序上の中央
間隔尺度順番と差摂氏温度、西暦年差・平均・標準偏差
比例尺度順番・差・比身長、重さ、時間の長さ差・比・平均・標準偏差

名義・順序尺度は質的変数、間隔・比例尺度は量的変数として扱うのが基本です。連続的な量を「10分未満・10分以上」のように区切ると、記録後は区分のデータになります。

例題1:同じ「2倍」でも意味は同じか

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気温10℃から20℃、通学時間10分から20分への変化を考えます。どちらも数値は2倍ですが、解釈は異なります。

摂氏の0℃は温度がまったくないことを意味しません。温度目盛りを変えると、10℃は50℉、20℃は68℉となり、数値の比は2倍ではなくなります。したがって「20℃は10℃の2倍暖かい」とは言えません。一方、「10℃高い」という差には意味があります。

時間の長さ0分は時間がかかっていない状態です。10分と20分は、秒に直しても600秒と1,200秒で比は2倍のままです。比例尺度では、このように意味のある0を基準に比を読めます。

時計の「10時・20時」は時点であり、所要時間の10時間・20時間とは異なります。何を測った数字かを先に確認します。

5人の回答が 1, 2, 4, 4, 5 でした。1は「非常に不満」、5は「非常に満足」とします。

満足度は順序尺度なので、4が2より高い段階であることは分かります。しかし1から2への気持ちの変化と、4から5への変化が同じ大きさとは限りません。単純に「4の満足度は2の2倍」とは言えません。

回答人数は、1が1人、2が1人、4が2人、5が1人です。最頻の段階は4。並べた中央も4です。「4以上は3/5=60%」のように、区分ごとの割合も説明できます。

実務で符号の平均を使う場合は、段階間を等間隔とみなす追加の約束が入ります。平均3.2という数字だけで判断せず、回答の分布や尺度の性質も示します。

例題3:記録の仕方によって失われる情報

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元の通学時間が12分・18分・32分だとします。分単位で残せば平均は62/3 ≈ 20.7分です。しかし「20分未満・20分以上」だけを記録すると、2人と1人であることは分かっても、正確な平均は計算できません。

分類にまとめること自体は、集計やプライバシーへの配慮に役立つ場合があります。ただし、後で平均や細かな分布を調べたいなら、その情報が残るよう調査を設計する必要があります。標本調査では、目的に合った記録方法を考えます。

まず数字がラベルか数量かを判断します。ラベルなら順番に意味があるか、数量なら0と比に意味があるかを確認します。その上で、分類の割合を比べるのか、数値の中心や散らばりを比べるのかを選びます。

  1. 背番号、競走の順位、摂氏温度、荷物の重さを四つの尺度に分類してください。
  2. 順位1位と2位の差と、2位と3位の差から、走った時間の差も同じだと言えますか。
  3. 通学手段のコードの平均が1.5でした。この数字をどう扱いますか。
解答・解説
  1. 背番号は名義、順位は順序、摂氏温度は間隔、重さは比例尺度です。
  2. 言えません。順位は順番を示し、タイムの差を表していません。
  3. 通学手段の平均としては解釈しません。各手段の人数や割合を集計し直します。コードを付け替えるだけで平均が変わることからも、量の平均ではないと分かります。