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7. 時間的・空間的データ

何のために、時間や地域をそろえて比較するのか

Section titled “何のために、時間や地域をそろえて比較するのか”

店の売上が50万円増えたと聞いても、元が100万円なのか1億円なのかで、変化の大きさの受け止め方は違います。人口の多い市で事故が多くても、それだけで住民1人当たりの事故の頻度が高いとは言えません。

この章では、元の大きさが違うデータを、割合や基準に直して比較する方法を学びます。時間の並びには、短期的な上下と長期的な傾向が重なっていることもあります。増減率・指数・移動平均は、それぞれ異なる問いに答える道具です。

同じ対象について時間の順に記録した値を時系列データといいます。毎月の売上、毎日の気温などです。折れ線グラフでは横軸に時間を置き、時間間隔を正しく表します。

長期的な上昇・下降に加え、毎年夏に増えるような季節の繰り返し、たまたまの変動にも注目します。1か月前との比較と前年同月との比較では意味が違います。

増減量 = 比較する値 − 元の値

増減率(%)= (比較する値 − 元の値)÷ 元の値 × 100

来客数が200人から250人なら、50人増え、増加率は50 ÷ 200 × 100 = **25%**です。250人から200人なら、減少率は50 ÷ 250 × 100 = **20%**です。増減率として符号付きで表すなら−20%です。分母は変化する前の値です。

元の値が0の場合、この式の増減率は計算できません。

100円が20%上がると100 × 1.2 = 120円。その後20%下がると120 × 0.8 = 96円です。同じ割合の増加と減少でも元には戻りません。複数期間の変化は倍率を掛けます。

指数 = 比較する時点の値 ÷ 基準時点の値 × 100

基準年の売上が80万円で今年が100万円なら、基準年を100とした今年の指数は125です。基準年より25%増えたことを示します。指数125は125%増加という意味ではありません。

同じ基準の指数が120から150になった場合、その間の増加率は(150 − 120) ÷ 120 × 100 = **25%**です。指数の差30をそのまま増加率にしないようにします。基準を変えるなら「旧指数 ÷ 新しい基準時点の旧指数 × 100」で換算できます。

隣り合う一定個数の値を平均し、区間をずらして計算する方法です。短期的な上下をならし、大きな傾向を見やすくします。

月1月2月3月4月5月
売上(万円)1016131922
中央に置く3か月移動平均—131618—

2月の位置には(10 + 16 + 13) ÷ 3 = 13、3月には(16 + 13 + 19) ÷ 3 = 16、4月には(13 + 19 + 22) ÷ 3 = 18を置きます。前後の値が足りない端は計算しません。

売上と3か月移動平均

1〜5月の売上は10・16・13・19・22万円。中央に置く移動平均は2〜4月が13・16・18万円です。

Mt=xt−1+xt+xt+13M_t = \frac{x_{t-1}+x_t+x_{t+1}}{3}

直近3か月の平均を最後の月に置く方法もあります。どの位置に平均を対応させるかを確認します。平滑化すると細かな変化は見えにくくなり、移動平均そのものが将来の予測値になるわけではありません。

地域別人口や都道府県別の交通事故件数など、場所に対応したデータです。地図上の色分けや棒グラフで比べられます。地図では面積の大きい地域が目立ちやすいことにも注意します。

地域Aで事故100件・人口10万人、地域Bで事故60件・人口3万人なら、人口1万人当たりはAが10件、Bが20件です。総件数ではAが多く、人口当たりではBが多くなります。比較目的に応じて、総数、人口当たり、面積当たりなどを選びます。

実践例1:増えた人数と増加率では順位が変わる

Section titled “実践例1:増えた人数と増加率では順位が変わる”

二つの施設の年間利用者数を比べます。

施設昨年今年増加人数増加率
A1,000人1,200人200人20%
B200人300人100人50%

「増えた人を受け入れるために、どれだけ設備が必要か」なら、Aの200人増に注目する理由があります。一方、「元の利用者数に対して、どれくらい伸びたか」なら、Bの50%増が大きいと分かります。

Aの増加率は200 ÷ 1,000、Bは100 ÷ 200です。どちらも変化する前を分母にし、その時点の大きさを100%として測っています。増加率を比較するときも、元の人数が小さければ少人数の増加で大きな率になりやすいので、元の数値を一緒に示します。

減少した値を戻すには、同じ率を足せばよいか

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利用者が200人から160人になると20%減です。160人から200人へ戻すには40人増やす必要があるので、増加率は40 ÷ 160 = **25%**です。減少前と回復前で分母が違うため、20%増では戻りません。

200×(1−0.20)=160,160×(1+0.25)=200200\times(1-0.20)=160,\qquad160\times(1+0.25)=200

実践例2:規模の違う店の成長を指数で比べる

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売上規模の違う二つの店について、基準年からの伸びを比べたいとします。金額は万円です。

店舗基準年の売上翌年の売上2年後の売上
A店80100120
B店200220240

各店の基準年を100に直します。

店舗基準年の指数翌年の指数2年後の指数
A店100125150
B店100110120

A店の2年後は120 ÷ 80 × 100 = 150、B店は240 ÷ 200 × 100 = 120。金額はB店の方が大きいですが、基準年からの相対的な伸びはA店が大きいと分かります。

指数150を「150万円」と読むことはできません。指数は基準を100とした比であり、元の金額とは別です。また、A店の翌年から2年後への増加率は(150 − 125) ÷ 125 = **20%**で、指数の差25そのものではありません。

基準年に休業が多かったなど、特殊な事情があれば、指数の伸びも大きく見える可能性があります。何を基準にした数値かを確認しましょう。

実践例3:移動平均を何の判断に使うか

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上の売上グラフでは、2月の16万円から3月の13万円へ下がっています。しかし中央に置く3か月移動平均は、2月13万円、3月16万円、4月18万円と上がっています。単月の落ち込みと、周辺の月を含めた傾向を分けて読めます。

移動平均は、毎回の上下に反応しすぎず、在庫や担当人数を考える際の傾向をつかむのに役立ちます。ただし、実際に13万円だった3月の値を16万円に書き換えるものではありません。元の値と平滑化した値を両方残します。

中央型では3月の平均を求めるのに4月の値が必要です。そのため、3月末にまだ4月の売上が分からないとき、この平均は計算できません。直近3か月を使う型なら、3月末に1〜3月の平均13万円を求められます。利用できる時点と、平均を置く位置が違うことに注意します。

平均する期間を長くすれば、一般に細かな上下はならされますが、急な変化が見えにくくなります。また、3か月移動平均が年間の季節変動を消すとは限りません。何をならしたいのかに応じて期間を考えます。

実践例4:前月比と前年同月比の意味

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ある施設の利用者が、昨年7月800人、今年6月600人、今年7月900人でした。今年7月の前月比は(900 − 600) ÷ 600 = 50%増。前年同月比は(900 − 800) ÷ 800 = 12.5%増です。

夏休みで7月に利用が増える施設なら、6月との比較には季節の違いも含まれます。前年7月と比べると同じ季節での比較になりますが、開館日数や特別イベントが同じとは限りません。目的に合わせて比較対象を選び、背景条件も調べます。

実践例5:地域を比べるときの分母を選ぶ

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公園の面積がA市20平方キロメートル、B市6平方キロメートルだったとします。A市の人口が100万人、B市が10万人なら、1人当たりの公園面積は次のようになります。

  1. 1平方キロメートルを100万平方メートルに換算する。
  2. A市は2,000万 ÷ 100万 = 20平方メートル/人。
  3. B市は600万 ÷ 10万 = 60平方メートル/人。

住民1人当たりにどれだけの公園面積があるかならB市が大きいと分かります。一方、市の土地のうち公園が占める割合を知りたければ、分母は人口ではなく市の面積です。「何当たり」を知りたいかが分母を決める点は、クロス集計表と共通します。

数値を地図で示す場合も、総面積を色分けした図なのか、人口当たりの面積を色分けした図なのかで意味が変わります。凡例と単位を先に確認しましょう。

  1. 売上が500万円から450万円になったときの増減率は何%ですか。
  2. 基準年が40、今年が52のとき、指数はいくつですか。
  3. 6, 9, 12, 15, 12 の中央に置く3項移動平均を求めてください。
解答・解説
  1. (450 − 500) ÷ 500 × 100 = −10%、つまり10%減少です。
  2. 52 ÷ 40 × 100 = 130です。
  3. 2番目の位置に9、3番目に12、4番目に13です。端の二つは計算に必要な値が足りません。