15. モチベーションの基礎理論と評価
数字を人の行動へつなげる
Section titled “数字を人の行動へつなげる”正しい原価や予算を作っても、現場が目的を理解できず、努力と評価の関係が不透明なら使われません。人が何を重視し、努力が成果と報酬へつながると感じるかを考えます。理論は人を一律に決めつける診断ではなく、対話と制度改善の仮説です。
主な理論を比較する
Section titled “主な理論を比較する”| 理論 | 主な視点 | 管理会計への示唆 |
|---|---|---|
| マズローの欲求階層 | 安全・所属・承認・成長等の欲求 | 報酬だけでなく安全や成長の機会も考える |
| ハーズバーグの二要因 | 達成・責任等の動機づけ要因と、待遇・職場環境等の衛生要因 | 不満を減らす条件と、仕事の達成感の両面を見る |
| マクレランドの欲求 | 達成・親和・権力等の重視の違い | 個人や役割に応じた挑戦・協働を考える |
| ブルームの期待理論 | 努力が成果へ、成果が報酬へつながる期待と報酬の魅力 | 達成可能な目標・透明な評価・本人に意味のある報酬 |
| 公平理論 | 自分と他者の投入・成果の比較 | 根拠と手続きの公正、説明と対話 |
| 目標設定理論 | 具体性・難易度・フィードバック | 具体的な目標と支援、定期的な確認 |
| 自己決定理論 | 自律性・有能感・関係性 | 強制だけでなく、選択・習得・協働を支える |
欲求が必ず一定順序で満たされるという単純な階層には、研究上の限界があります。OpenStaxの概説も参照し、個人差・文化・状況を考慮します。報酬が常に内発的動機を損なう、あるいは常に高めるという一律の結論も避けます。
例題:達成不能な予算と、数値だけの評価
Section titled “例題:達成不能な予算と、数値だけの評価”営業担当が価格も納期も決められないのに、前年実績の2倍を売上目標とされ、未達の理由も聞かれないとします。期待理論では、努力が成果へつながる見込みや、成果が正当に評価される見込みが弱くなり得ます。
改善策として、現場と前提を確認し、担当者が働きかけられる顧客接点・提案件数・品質を具体化します。市場縮小や生産能力など本人が制御できない条件は別途評価し、途中のフィードバックと支援を設けます。目標は簡単すぎる必要はありませんが、必要な資源と権限を伴うことが重要です。
指標が行動を変える
Section titled “指標が行動を変える”例えば製造部門を「1個当たり原価」だけで評価すると、売れない製品を過剰に作り、固定費を在庫へ配賦して見かけの原価を下げる誘因が生じ得ます。資金、在庫、品質、納期を組み合わせ、予算差異の説明を現場と検討します。
参加型予算は現場の知識と納得を得る一方、目標を達成しやすくする予算スラックも起こり得ます。対話と検証を組み合わせ、数字を改ざんせず問題を共有できる環境を重視します。組織論と事業部評価へ進みましょう。
達成した実績が評価へ反映されないと思われている場合、期待理論の観点で何を確認しますか。
解答・解説
成果と評価・報酬のつながりが明確で信頼できるか、本人にとって報酬が意味を持つかを確認します。努力が成果につながるための権限・技能・資源も別に確かめます。