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2. 分布・代表値と散らばり

何のために複数の指標を使うのか

Section titled “何のために複数の指標を使うのか”

所得や売上は、平均が同じでも一部に集中している場合があります。平均だけでなく、分布の形・散らばり・集中の程度を確認すると、集団の実態を説明しやすくなります。

最初に、質的変数か量的変数かを区別します。量的変数でも、人数などの離散型と、長さなどの連続型があります。分類ごとの人数は棒や円、数値の分布は度数分布表・ヒストグラム・幹葉図などを使います。基本の実図は4級の集計と統計グラフで復習できます。

平均はすべての値を反映し、中央値は小さい順の中央、最頻値は最も多い値です。右に長い裾を持つ分布では、大きい値が平均を引き上げることがあります。左裾、対称、ベル型、一様、単峰・多峰など、形も合わせて読みます。対称な分布がすべて正規分布というわけではありません。

範囲は最大−最小、四分位範囲はQ3−Q1。箱ひげ図は中心と中央付近の散らばりを比較するのに便利ですが、平均や人数、山の数が必ず分かる図ではありません。累積度数グラフは「その値までに何件あるか」を示します。分布を比べるときは、軸・単位・階級幅をそろえます。

例題1:分母n−1の分散を求める

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データが 2,4,4,6 なら平均は4、偏差は−2・0・0・2、偏差の2乗和は8です。このコースでは標本から母分散を推定する分散として、

s2=∑(xi−xˉ)2n−1=83≈2.667,s≈1.633s^2=\frac{\sum(x_i-\bar x)^2}{n-1}=\frac83\approx2.667, \qquad s\approx1.633

を使います。元データそのものの偏差の2乗の平均は8/4 = 2で、別の定義です。2級の公式範囲表も分母n−1の分散を明示しています。

平均の推定に標本平均を使うと、偏差には合計0という制約が生じます。n個の偏差が自由に変われる数はn−1で、これが不偏分散の自由度につながります。

zi=xi−xˉs,CV=sxˉz_i=\frac{x_i-\bar x}{s},\qquad \mathrm{CV}=\frac{s}{\bar x}

標準化は平均から標準偏差何個分離れているかを表します。例題の6は約1.225です。変動係数は平均に対する相対的なばらつきで、通常、正の平均を持つ比例尺度に使います。摂氏温度のように0の位置が任意の尺度や、平均0付近では単純比較に適しません。

指数化は基準値を100にそろえる方法です。500から600への増加は指数120、20%増です。単位・規模をそろえた比較が必要なときに使い、元の値も併記します。

説明用に mk=∑(xi−xˉ)k/nm_k=\sum(x_i-\bar x)^k/n と置くと、歪度の一つの定義は m3/m23/2m_3/m_2^{3/2}、尖度は m4/m22m_4/m_2^2 です。尖度から3を引いたものを超過尖度とも呼びます。

歪度が正なら一般に右に長い裾、負なら左に長い裾の手がかりです。ただし0でも完全な対称性を保証しません。尖度は極端な値や裾の性質に敏感で、「山の尖りだけ」を示す数値ではありません。正規分布の尖度は3、超過尖度は0です。

1,1,1,1,6 は平均2、m2=4m_2=4、m3=12m_3=12、m4=52m_4=52 なので、歪度1.5、尖度3.25、超過尖度0.25です。ソフトでは小標本補正をした定義もあるため、出力の説明を確認します。ここでの分母nのモーメントと、分母n−1の不偏分散を混ぜないようにします。

例題2:ローレンツ曲線とジニ係数

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4人の保有量が、小さい順に10・10・20・60、合計100だったとします。横軸に人数の累積割合、縦軸に量の累積割合を取ります。点は(0,0)、(0.25,0.10)、(0.50,0.20)、(0.75,0.40)、(1,1)です。

ローレンツ曲線:保有量の集中を見る

4人の量は10・10・20・60。下位75%の人が持つ量は全体の40%。対角線は全員が同量の状態、青い折れ線が実際の累積割合です。

  • 青:10・10・20・60の累積割合
  • 破線:全員同じ量の均等線
グラフの数値を表で確認する
人数の累積割合(%)量の累積割合(%)
00
2510
5020
7540
100100

学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。

全員同じ量なら対角線上です。曲線と対角線の間の面積を、対角線の下の面積1/2で割ったものがジニ係数です。折れ線の下の面積Aを台形で足すと0.3なので、

G=1−2A=1−2×0.3=0.4G=1-2A=1-2\times0.3=0.4

となります。非負の量を前提に、一般に0に近いほど均等、1に近いほど集中しています。有限人数では最大値や補正の約束に違いがあるので、本例では無補正の面積定義を使います。負の値を含むデータへ無条件に適用しません。

3分類の観測度数が30・20・10、全60件なら、一様な割合を仮定した期待度数は各20です。カイ二乗値は、

∑(O−E)2E=10020+0+10020=10\sum\frac{(O-E)^2}{E}=\frac{100}{20}+0+\frac{100}{20}=10

です。ずれの大きさを表しますが、統計的に珍しいかは自由度なども必要です。適合度検定で判断の手順を学びます。

  1. 1,3,5 の分母n−1の分散はいくつですか。
  2. ローレンツ曲線下の面積が0.4ならジニ係数はいくつですか。
  3. 超過尖度が0だから、データは必ず正規分布と言えますか。
解答・解説
  1. 平均3、偏差の2乗和8、分母2なので4です。
  2. 1−2×0.4 = 0.2です。
  3. 言えません。一つのモーメントの特徴が一致するだけでは分布全体は決まりません。