10. 一般均衡と厚生
何のために学ぶか
Section titled “何のために学ぶか”ある商品の価格変化は、代替品、原材料、所得にも影響します。一般均衡は、複数の市場と予算を同時に満たす価格・配分を考える枠組みです。また「無駄のない配分」と「公平な配分」を区別するために、厚生の概念を学びます。
交換経済と実現可能性
Section titled “交換経済と実現可能性”2人A・B、2財x・y、総量が各10の純粋交換経済を考えます。実現可能性は 。エッジワース・ボックスでは、同じ点をAとBの逆向きの原点から読み、配分を表します。
ある人を悪化させずに誰かを改善できる変更がパレート改善です。それ以上の改善ができない配分をパレート効率的といいます。効率性だけでは、どの人へどれだけ配分すべきかは決まりません。
例題:効率的な配分と市場均衡
Section titled “例題:効率的な配分と市場均衡”両者の効用を とします。内点の効率的配分では両者の限界代替率が等しくなります。
これが内点の契約曲線です。例えばAが(8,8)、Bが(2,2)でも効率的ですが、均等配分ではありません。端点は内点条件とは別に検討します。
初期保有がA=(8,2)、B=(2,8)、価格 なら両者の所得は10。各自の効用最大化でAもBも(5,5)を選び、2市場の需要が各10となり供給と一致します。初期効用は各16、交換後は各25です。価格は相対価格で決まり、全価格を同じ倍数にしても予算集合は変わりません。
ワルラス法則と厚生の基本定理
Section titled “ワルラス法則と厚生の基本定理”各主体が予算を使い切る場合、価格で評価した超過需要の総和は0になります。これがワルラス法則です。すべての価格が正なら、他の市場が均衡しているとき最後の市場も均衡する、という関係が得られます。
- 第1基本定理:局所非飽和性などの条件のもとで、競争均衡はパレート効率的です。外部性や不完備市場などがある場合へ、そのまま適用できません。
- 第2基本定理:凸性などの追加条件のもとで、適切な一括移転により、望む効率的配分を競争的な仕組みで支えられるという考え方です。実行可能な再分配手段や情報の制約は別途問題になります。
生産もある経済では、消費者間のMRS一致に加え、生産側の限界変形率MRTとも一致することが効率性の内点条件です。生産の構成を変える費用と、消費者の評価を対応させます。
管理会計とのつながり
Section titled “管理会計とのつながり”部門ごとの採算改善が、全社の利益改善になるとは限りません。機会費用や内部振替価格を考えるときも、他部門への影響を確認します。ただし企業内部の組織問題を、競争市場の基本定理だけで解決できるわけではありません。
上の経済でA=(8,8)、B=(2,2)は、効率的ですか。効率的なら公平ともいえますか。
解答・解説
この選好では両者のMRSは1で契約曲線上にあり、パレート効率的です。しかし公平性の基準は別で、効率性だけから公平とは結論できません。