コンテンツにスキップ

3. 消費関数と家計の選択

家計の所得が増えたとき、その全額が今期の消費へ回るとは限りません。一時的な給付と継続的な賃上げを同じように販売予測へ反映してよいかを考えるために、消費のモデルを学びます。

可処分所得を Yd=Y−TY_d=Y-T とし、C=a+cYdC=a+cY_d、a>0,0<c<1a>0,0<c<1 とします。c=dC/dYdc=dC/dY_d は限界消費性向MPC、C/YdC/Y_d は平均消費性向APCです。

例えば C=40+0.8YdC=40+0.8Y_d なら、所得200のとき消費200・貯蓄0、所得300なら消費280・貯蓄20。所得の増分100に対して消費は80増えます。所得300でAPCは 280/300≈0.933280/300\approx0.933、MPCは0.8です。水準の比と変化率を混同しないようにします。

この式は対象範囲を限定したモデルです。所得0でも消費40という切片は、資産取り崩し等を抽象化したもので、すべての家計が無制限に借りられるという事実を表すものではありません。

借入・貯蓄が自由で、利子率0、残り10年間の効用が各年同じ重みで凹、物価も一定とします。予想外の一時金100万円を10年へ均等に配分して消費を平準化するなら、消費増は各年10万円です。

同じ条件で毎年100万円が10年間増えるなら、生涯資源は1,000万円増え、各年の消費は100万円増えます。「今期所得が100万円増える」点は同じでも、持続性の見通しが異なります。

恒常所得仮説は持続的な所得の見通し、ライフサイクル仮説は生涯の所得と資産を重視します。若年期・就業期・退職期の配分を考えます。特定の家計が必ずこの通り行動するという意味ではありません。異時点間の選択が理論の土台です。

相対所得仮説は、他の家計との比較や過去の生活水準に対する相対的な所得を重視します。所得が下がっても、いったん形成された消費水準をすぐには下げにくいラチェット効果も論点です。「今の所得だけ」「生涯資源」「比較対象や過去の水準」のどれを重視するかが、仮説を区別する手掛かりです。実際の消費行動には複数の仕組みが同時に働き得ます。

将来所得が高くても、現在借りられなければ消費を十分に平準化できません。この家計では、現在の一時所得が消費に強く影響する場合があります。将来所得のリスクや予備的貯蓄も、単純な平均資源の配分からの違いを生みます。

需要計画では、顧客層の所得・資産・借入制約と、所得変化の持続性を分けます。回帰分析で所得と売上の関係を調べても、他の条件や家計構成の変化が混ざる可能性があります。モデルと観測データの範囲を合わせて解釈します。

C=30+0.75YdC=30+0.75Y_d、可処分所得200のとき、消費・貯蓄・APC・MPCを求めてください。

解答・解説

消費180、貯蓄20、APC0.9、MPC0.75です。所得が微小に1増える場合の消費増は0.75です。

学習ガイド