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9. 利益計画・予算編成と分析統制

目標利益を決めても、販売・生産・仕入・人員・支払がつながっていなければ実行できません。予算は活動と資源を調整する計画であり、実績との違いから学ぶ仕組みでもあります。

販売数量・価格から売上予算を作り、販売数量+期末目標製品在庫−期首製品在庫で必要生産量を求めます。材料使用量+期末目標材料在庫−期首材料在庫が仕入量です。そこから労務、間接費、販管費、設備投資を計画し、回収・支払条件を使って資金繰りと予算B/S・P/Lへつなげます。

例えば販売500個、期末目標在庫80、期首50なら生産530個です。1個当たり材料2kg、期末材料100kg、期首60kgなら仕入1,100kg。売上予算をそのまま生産・仕入予算にしないことが重要です。

例題:利益差異を、数量と単価・費用へ分ける

Section titled “例題:利益差異を、数量と単価・費用へ分ける”

6章と同じ月次モデルを使います。期首・期末在庫なしとし、予算は数量400・単価2,000円・単位変動費1,200円・固定費240,000円。実績は数量450・単価1,900円・単位変動費1,250円・固定費250,000円です。

項目当初予算400個実際数量での弾力予算450個実績450個
売上800,000円900,000円855,000円
変動費480,000円540,000円562,500円
限界利益320,000円360,000円292,500円
固定費240,000円240,000円250,000円
営業利益80,000円120,000円42,500円

弾力予算は、実際数量へ当初の標準単価・単位費用を当てた比較基準です。当初予算と実績だけでは、数量が増えた効果と、価格・効率の変化が混ざります。

差異を利益への影響で照合する

Section titled “差異を利益への影響で照合する”

本章は有利差異を正、不利差異を負とする符号で示します。

要因計算利益への影響
販売数量(450−400)×(2,000−1,200)+40,000円
販売価格(1,900−2,000)×450−45,000円
単位変動費−(1,250−1,200)×450−22,500円
固定費−(250,000−240,000)−10,000円
合計差異実績42,500−予算80,000−37,500円
予算利益から実績利益への橋渡し

月次の学習用モデル。予算利益8万円に、数量+4、価格−4.5、変動費−2.25、固定費−1万円を加え、実績利益4.25万円となります。

  • 灰:予算・実績利益
  • 青:利益への有利差異
  • 橙:利益への不利差異
  • 縦軸:万円。計算上の分解で、因果関係の証明ではありません
グラフの数値を表で確認する
項目金額(万円)扱い残額(万円)
予算利益8起点8
数量差異4増減12
価格差異-4.5増減7.5
変動費差異-2.25増減5.25
固定費差異-1増減4.25
実績利益4.25終点4.25

学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。

数量を増やしたこと自体は有利ですが、値引き等がそれを上回りました。ただし価格と数量の変化には因果的な関係があるかもしれません。差異分解は算術的な説明で、誰かの責任や原因を自動的に証明するものではありません。

材料の標準2kg/個・500円/kg、実際生産100個、実際使用210kg・520円/kgなら、費用超過は9,200円。価格差異210×20=4,200円、数量差異500×(210−200)=5,000円で一致します。労務費なら賃率・作業時間へ同様に分け、間接費なら変動・固定の予算と操業度を区別します。

原価センター・利益センター・投資センター等に応じ、管理可能な項目を評価します。ROIだけで評価すると、全社に有利な投資でも部門ROIを下げるため見送ることがあります。残余利益(利益−要求率×投下資本)等も目的に応じて検討します。

期中に見通しを更新するローリング予測と、承認された予算の評価基準は区別して保存します。目標を達成しやすくする予算スラックや、指標だけを良くする行動にも注意します。情報・契約と予想技法を合わせ、差異ごとに担当・行動・期限・再確認日を決めます。

実績数量・価格・固定費は同じで、実際単位変動費が1,200円だった場合、実績利益はいくらですか。

解答・解説

単位変動費差異−22,500円がなくなり、利益は65,000円です。売上855,000−変動費540,000−固定費250,000でも一致します。