コンテンツにスキップ

7. データ・母集団・サンプリング

「最近ミスが多い」という印象を確かめるには記録が必要です。しかし都合のよい日時だけ調べたり、人ごとに違う基準で数えたりすると、数字でも判断を誤ります。目的を先に決め、何を・どの単位で・誰から集めるかをそろえます。

知りたい対象の全体が母集団、そこから取り出して調べる一部がサンプル(標本)、取り出す行為がサンプリングです。ロットは管理や検査のために区切った品物の集まりで、母集団として扱う場合もあります。たとえば「本日製造の500個」を1ロットとして、その中から50個測ります。

今月の全注文を知りたいのに、月曜午前の注文だけ調べると、曜日や繁忙度の偏りがあり得ます。無作為に選ぶ、曜日・工程・設備を区分して取るなど、目的に合う計画にします。「取りやすいもの」は「代表的なもの」とは限りません。

種類どんなデータか例
計量値測定によって得る連続的な量長さ、重さ、温度、時間
計数値個数・件数を数えたり区分したりして得る値不適合品数、傷の数、合否

時間を秒単位の整数で表示しても、測った量という性質は変わりません。「整数だから計数値」とは判断しません。言葉で記録する不満の内容や原因候補もデータであり、分類の基準を決めて整理できます。

100個を調べ、A品に傷2か所、B品に傷1か所、C品に表示誤り1件があったとします。

不適合品数=3個,不適合数=4件,不適合品率=3100×100=3%.\text{不適合品数}=3\text{個},\qquad \text{不適合数}=4\text{件},\qquad \text{不適合品率}=\frac3{100}\times100=3\%.

4件を分子にすれば「100個あたりの不適合件数」であり、不適合品率ではありません。1個に複数の指摘を許すかも記録様式で明らかにします。

  • 目的と期間:何の判断に使うか、いつからいつまでか。
  • 対象と分母:全品か一部か、処理件数は何件か。
  • 単位と定義:分か秒か、遅れは何分超か、重複を数えるか。
  • 条件:設備、担当、材料、時刻、方法変更の有無。
  • 記録方法:測定器、記録者、欠測や訂正の扱い。

元データを残しておけば、後から層別や集計をやり直せます。集計だけを残すと、誤入力や分類の違いを追いにくくなります。測定器の確認や記録者間の基準合わせも、データの質に含まれます。

周囲と大きく違う値は、誤記かもしれませんし、重要な工程変化かもしれません。元記録、単位、測定条件を確認し、根拠なく削除しません。訂正する場合も原記録と理由を残します。「平均に合わないから消す」と事実を失います。

待ち時間の記録に「120」が1件あり、他は2〜5だった。すぐ120を除くべきか?

解答・解説

秒と分の混在、誤入力、本当に長い待ち時間などを確認します。違いの理由を調べる前に削除してはいけません。