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17. 直接原価計算の活用

数量が変わったときの利益を考えるには、売上から変動費を引き、固定費を回収する構造が見えると便利です。直接原価計算は、変動製造原価を製品原価に含め、固定製造原価を期間費用とする方法です。「直接」という名前は、製品への追跡可能性による直接費・間接費の区分とは異なります。

財務報告では適用される会計基準に従った原価・在庫評価が必要です。ここでは内部の計画・分析として用い、財務会計の全部原価計算との違いを照合します。

単価3,000円、単位変動製造費1,500円、販売変動費200円/販売個、固定製造費400,000円、固定販管費200,000円とします。期首在庫0、期末200個、単位原価一定という学習用の仮定です。生産した製品のうち未販売分の原価は在庫へ残ります。

項目直接原価計算全部原価計算
売上2,400,000円2,400,000円
製品原価の対象変動製造費1,500円/個変動1,500+固定400=1,900円/個
売上原価1,200,000円1,520,000円
販売変動費160,000円160,000円
固定製造費の期間費用400,000円0円(製品原価へ配分)
固定販管費200,000円200,000円
営業利益440,000円520,000円

直接原価の限界利益は 2,400,000−1,200,000−160,000=1,040,0002{,}400{,}000-1{,}200{,}000-160{,}000=1{,}040{,}000 円。そこから固定製造費40万円・固定販管費20万円を引きます。

全部原価では固定製造費 400,000/1,000=400400{,}000/1{,}000=400 円/個のうち、未販売200個分80,000円が期末在庫に含まれます。したがって利益差は 520,000−440,000=80,000520{,}000-440{,}000=80{,}000 円です。同条件で期首在庫0、固定費単価が一定なら、在庫の増加量×単位固定製造費で差を説明できます。複数期・単価変更等では、期首・期末在庫に含まれる固定製造費をそれぞれ照合します。

数量・単価・単位変動費・固定費から、CVPで分岐点や目標利益を求めます。固定費と変動費の分解は特集を参照してください。

全部原価では在庫増による固定費の繰延で利益が高く見える場合があり、販売に見合わない生産を促す評価設計には注意します。直接原価の限界利益が正でも、固定費を回収できなければ全社利益は赤字です。固定費が意思決定に無関係という意味でもなく、撤退・能力変更で回避できる部分は差額分析で扱います。

固定製造費の単位配賦額が400円、期首在庫0、期末在庫が100個なら、その他同条件の利益差はいくらですか。

解答・解説

全部原価計算の利益が直接原価計算より40,000円高くなります。期末在庫に含まれる固定製造費100×400円です。販売・生産の条件や期首在庫の扱いは別途確認します。