3. 変数間の関連
何のために第三の変数も考えるのか
Section titled “何のために第三の変数も考えるのか”広告費と売上に正の相関があっても、大きな店舗ほど両方の値が大きいだけかもしれません。関連を調べるときは、二つの数値を一度にまとめるだけでなく、店舗規模などで層別し、見かけの関係を確認する必要があります。
関連の数値化と、関連が生まれる背景の検討を組み合わせるのがこの章の目的です。基本の散布図・相関係数の具体例は3級の相関で確認できます。
共分散と相関係数
Section titled “共分散と相関係数”本コースでは標本共分散を、
とします。共分散は同じ方向に平均から離れると正、違う方向なら負の積を足します。単位に依存するため、二つの標準偏差で割って相関係数にします。
xを1・2・3・4・5、yを2・4・5・4・5とすると、偏差の積和6、xの偏差の2乗和10、yは6です。したがって共分散6/4 = 1.5、分散2.5と1.5、相関は 。分母nでそろえても、相関係数は同じになります。
相関係数は−1〜1で、直線的な関係を測ります。0でもU字型などの関係がないとは限りません。正の定数倍や平行移動では変わらず、片方を負の定数倍すると符号が反転します。標準偏差0なら定義できません。
相関行列で複数の関係を整理する
Section titled “相関行列で複数の関係を整理する”広告費X・売上Y・店舗規模Zの相関が次のようだったとします。
| X | Y | Z | |
|---|---|---|---|
| X | 1 | 0.8 | 0.6 |
| Y | 0.8 | 1 | 0.5 |
| Z | 0.6 | 0.5 | 1 |
対角は自分自身との相関なので1、行と列を入れ替えても同じ値です。各組の関連を一覧にできます。ただし、どの組も同じ対象で計算されているか、欠測で人数が違っていないかも確認します。
例題:偏相関係数を計算する
Section titled “例題:偏相関係数を計算する”Zとの直線的な関係を取り除いたX・Yの残差同士の相関が、Zを制御した偏相関です。一つの制御変数なら、
です。上の値を使うと、分子0.8−0.6×0.5 = 0.5、分母 なので、約0.722です。単純な相関0.8より小さくなりました。
ただし「店舗規模を一定にした広告の因果効果が0.722」という意味ではありません。ここで取り除いているのは直線的な関連で、他の交絡や選択の偏りは残り得ます。また、どんな変数でも制御すればよいわけではありません。問いと因果関係の考え方に基づいて変数を選びます。
層別した散布図を使う
Section titled “層別した散布図を使う”小規模店と大規模店を別の記号で描き、集団内の傾向と全体の傾向を比べます。全体では右上がりでも、各規模の中ではほぼ横ばいという場合があります。
第三の要因が両方に関係して生じる見かけの相関や、集団の構成が違うことで生じる関連に注意します。相関があることと、一方を変えれば他方が変わることは別です。比較設計は調査と実験に戻って確認しましょう。
カテゴリカルデータでは人数と割合を比べる
Section titled “カテゴリカルデータでは人数と割合を比べる”二つの質的変数には、度数表・2元クロス表を使います。A店は100人中30人、B店は60人中24人が購入したなら、購入人数はAが多く、購入率はA30%・B40%でBが高いと分かります。
「購入した人の中のB店の割合」なら24/54で、B店内の購入率24/60とは分母が違います。関連があるかの検討には独立性の検定を使います。集団サイズが違うときに人数だけで結論づけないことは、量的変数の相関と同じく、比較の土台を確かめる作業です。
- 共分散12、標準偏差3と8のとき、相関係数はいくつですか。
- xだけを−2倍すると相関係数はどうなりますか。
- 偏相関が正なら因果関係が証明されたと言えますか。
解答・解説
- 12/(3×8) = 0.5です。
- 大きさは変わらず符号が反転します。
- 言えません。制御した変数以外の要因や、関連の形、対象の選ばれ方も考える必要があります。