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5. 労働・余暇と異時点間の選択

賃金を上げれば労働時間は必ず増えるでしょうか。金利が上がれば全員が貯蓄を増やすでしょうか。どちらも、選択肢の相対価格が変わる効果と、所得・資産価値が変わる効果を分ける必要があります。人員計画や長期資金計画を考える基礎です。

使える時間を TT、余暇を ℓ\ell、賃金を ww、非労働所得を VV とします。消費財価格を1とすると、消費 cc は、

c=w(T−ℓ)+V⇔c+wℓ=wT+Vc=w(T-\ell)+V\quad\Leftrightarrow\quad c+w\ell=wT+V

余暇1時間の機会費用は賃金 ww です。効用 U=cℓU=c\ell、T=16T=16、w=1,000w=1{,}000 円、V=0V=0 なら、U=1,000(16ℓ−ℓ2)U=1{,}000(16\ell-\ell^2)。最大点は余暇8時間・労働8時間、消費8,000円です。

この特定の効用・非労働所得ゼロの例では賃金が2倍になっても労働は8時間です。一般には、賃金上昇による余暇の割高化は労働を増やす方向、所得増による余暇需要は労働を減らす方向に働きます。後者が強いと後方屈曲する労働供給もあり得ます。残業時間を賃金だけで予測することはできません。

第1期・第2期の所得を y1,y2y_1,y_2、消費を c1,c2c_1,c_2、実質利子率を rr とします。借入・貸付が同じ利子率で自由にできるとすると、

c1+c21+r=y1+y21+rc_1+\frac{c_2}{1+r}=y_1+\frac{y_2}{1+r}

将来の1円を現在価値に割り引く式です。借入制約、税、リスクがあれば条件は変わります。

U=c1c2U=c_1c_2、所得が第1期100・第2期0、r=0.1r=0.1(金額単位は万円)とします。c2=1.1(100−c1)c_2=1.1(100-c_1) を代入すると U=1.1c1(100−c1)U=1.1c_1(100-c_1)。最適消費は c1=50,c2=55c_1=50,c_2=55、貯蓄50万円です。

一般に内点条件は MUc1/MUc2=1+rMU_{c_1}/MU_{c_2}=1+r。U=u(c1)+βu(c2)U=u(c_1)+\beta u(c_2) なら u′(c1)=β(1+r)u′(c2)u'(c_1)=\beta(1+r)u'(c_2) です。金利上昇は将来消費を相対的に安くしますが、純貯蓄者と純借入者では所得への影響が異なるため、貯蓄の変化は一律には決まりません。

投資案の将来キャッシュフローを割り引く考え方につながります。ただし家計の効用最大化と企業の投資評価は別の問題です。名目キャッシュフローには名目割引率、実質には実質割引率という整合性を保ち、会計利益と現金収支も区別します。

U=c1c2U=c_1c_2、所得が第1期100・第2期0のまま、利子率が20%になった場合の最適消費と貯蓄を求めてください。

解答・解説

c2=1.2(100−c1)c_2=1.2(100-c_1) より c1=50,c2=60c_1=50,c_2=60、貯蓄50です。この例では貯蓄額は不変です。「金利が上がると貯蓄は必ず増える」という結論にはなりません。

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