17. ベイズ推定・階層モデル
なぜ事前分布を使うか
Section titled “なぜ事前分布を使うか”小さな店舗の成功率やまれな事象では、観測頻度だけで判断すると極端な推定になりがちです。ベイズ推定は、母数に関する事前情報を確率分布で表し、観測の尤度を掛けて更新します。
頻度論では母数を固定して標本の変動を考え、ベイズでは観測後の母数の不確実性を分布で表します。事前分布を選んだ根拠と、その選択への感度を示すことが重要です。
例題:成功率の更新
Section titled “例題:成功率の更新”事前分布 、10回中8成功なら
事後平均は 、事後最頻値は 、事後分散は 。MLEの0.8とは異なり、事前情報の中心へ寄せられます。
青実線Beta(2,2)、橙破線Beta(10,4)。10回中8成功の架空データで更新した密度。曲線の高さ自体は確率ではない。
- 青実線:事前Beta(2,2)
- 橙破線:事後Beta(10,4)
チャートを読み込んでいます。数値は本文・表でも確認できます。
グラフの数値を表で確認する
| 成功確率p | 事前Beta(2,2)密度 | 事後Beta(10,4)密度 |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 |
| 0.2 | 0.96 | 0.00075 |
| 0.4 | 1.44 | 0.161942 |
| 0.6 | 1.44 | 1.844621 |
| 0.8 | 0.96 | 3.070902 |
| 1 | 0 | 0 |
学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。
次の1試行の成功確率は 。将来 回の成功数は、 の不確実性も積分するベータ二項分布です。単に とすると母数の不確実性を無視します。
信用区間と意思決定
Section titled “信用区間と意思決定”事後分布の中央95%を含む区間は等裾信用区間。最短区間や最高事後密度区間とは一般に異なります。「観測とモデル・事前分布の下で、母数が区間内にある事後確率が95%」と読めます。二乗誤差損失なら事後平均、絶対誤差なら事後中央値が期待損失を最小にします。
階層化と部分プーリング
Section titled “階層化と部分プーリング”店舗 の成功数を 、 とすれば、店舗間の共通性を通して情報を共有します。 にも事前分布を置くのが階層ベイズ。小標本店舗ほど共通の中心に強く縮小されます。全店舗同一率の完全プーリングと、各店舗を独立推定する非プーリングの中間です。
階層を増やせば自動的に正しくなるわけではなく、群の交換可能性、事前予測チェック、事後予測での適合確認が必要です。
一様事前Beta(1,1)で4回中0成功なら、次の成功確率は?
解答・解説
事後はBeta(1,5)、事後予測成功確率は 。観測成功率0をそのまま将来確率0とはしません。