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17. ベイズ推定・階層モデル

小さな店舗の成功率やまれな事象では、観測頻度だけで判断すると極端な推定になりがちです。ベイズ推定は、母数に関する事前情報を確率分布で表し、観測の尤度を掛けて更新します。

π(θ∣x)=L(θ;x)π(θ)∫L(u;x)π(u)du.\pi(\theta\mid x)=\frac{L(\theta;x)\pi(\theta)}{\int L(u;x)\pi(u)du}.

頻度論では母数を固定して標本の変動を考え、ベイズでは観測後の母数の不確実性を分布で表します。事前分布を選んだ根拠と、その選択への感度を示すことが重要です。

事前分布 p∼Beta(2,2)p\sim\mathrm{Beta}(2,2)、10回中8成功なら

π(p∣x)∝p8+2−1(1−p)2+2−1,p∣x∼Beta(10,4).\pi(p\mid x)\propto p^{8+2-1}(1-p)^{2+2-1},\qquad p\mid x\sim\mathrm{Beta}(10,4).

事後平均は 10/14=5/7≈0.714310/14=5/7\approx0.7143、事後最頻値は 9/12=0.759/12=0.75、事後分散は 40/(142×15)≈0.0136140/(14^2\times15)\approx0.01361。MLEの0.8とは異なり、事前情報の中心へ寄せられます。

事前分布から事後分布への更新

青実線Beta(2,2)、橙破線Beta(10,4)。10回中8成功の架空データで更新した密度。曲線の高さ自体は確率ではない。

  • 青実線:事前Beta(2,2)
  • 橙破線:事後Beta(10,4)
グラフの数値を表で確認する
成功確率p事前Beta(2,2)密度事後Beta(10,4)密度
000
0.20.960.00075
0.41.440.161942
0.61.441.844621
0.80.963.070902
100

学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。

次の1試行の成功確率は ∫pπ(p∣x)dp=5/7\int p\pi(p\mid x)dp=5/7。将来 mm 回の成功数は、pp の不確実性も積分するベータ二項分布です。単に Bin(m,5/7)\mathrm{Bin}(m,5/7) とすると母数の不確実性を無視します。

事後分布の中央95%を含む区間は等裾信用区間。最短区間や最高事後密度区間とは一般に異なります。「観測とモデル・事前分布の下で、母数が区間内にある事後確率が95%」と読めます。二乗誤差損失なら事後平均、絶対誤差なら事後中央値が期待損失を最小にします。

店舗 jj の成功数を Xj∣pj∼Bin(nj,pj)X_j\mid p_j\sim\mathrm{Bin}(n_j,p_j)、pj∣a,b∼Beta(a,b)p_j\mid a,b\sim\mathrm{Beta}(a,b) とすれば、店舗間の共通性を通して情報を共有します。a,ba,b にも事前分布を置くのが階層ベイズ。小標本店舗ほど共通の中心に強く縮小されます。全店舗同一率の完全プーリングと、各店舗を独立推定する非プーリングの中間です。

階層を増やせば自動的に正しくなるわけではなく、群の交換可能性、事前予測チェック、事後予測での適合確認が必要です。

一様事前Beta(1,1)で4回中0成功なら、次の成功確率は?

解答・解説

事後はBeta(1,5)、事後予測成功確率は 1/61/6。観測成功率0をそのまま将来確率0とはしません。