2. 管理会計と財務会計の基礎
何のために必要か
Section titled “何のために必要か”内部の意思決定に使う情報も、元になる取引記録が不正確なら信頼できません。財務会計の仕組みを理解し、目的に応じて管理会計へ組み替える基礎を学びます。
| 観点 | 財務会計 | 管理会計 |
|---|---|---|
| 主な利用者 | 投資家・債権者等の外部利用者 | 経営者・管理者・現場 |
| 主な目的 | 財政状態・経営成績等の報告 | 計画、意思決定、評価、改善 |
| 情報単位 | 企業・企業集団等 | 製品・顧客・活動・案件・責任部門等 |
| 時間と頻度 | 過去の一定期間・期末等 | 過去に加えて将来、日次から長期まで |
| 作成の考え方 | 適用される制度・基準との整合 | 意思決定目的に適した設計と継続性 |
管理会計でも恣意的な数値でよいわけではありません。定義、元データ、配賦、財務数値との照合を残します。内部資料を財務会計と異なる区分へ組み替えたら、差の理由を説明できるようにします。
例題:商品販売で利益と現金を分ける
Section titled “例題:商品販売で利益と現金を分ける”税等を省略して、期首に現金100万円と資本金100万円だけがあるとします。商品60万円を現金で仕入れ、その全量を100万円で掛け販売し、期末まで未回収だったとします。
| 取引 | 借方 | 貸方 | 考え方 |
|---|---|---|---|
| 仕入れ | 商品60 | 現金60 | 現金が販売前の資産へ変わる |
| 掛け販売 | 売掛金100 | 売上100 | 現金未回収でも収益を認識する仮定 |
| 販売分の原価 | 売上原価60 | 商品60 | 販売した商品の原価を費用へ振り替える |
簡略化した継続記録の仕訳例です。実際の勘定科目や収益認識の時点は取引・基準に従います。借方は左、貸方は右という記録上の区分で、「借金/貸付」の意味そのものではありません。
利益は100−60=40万円。期末現金は40万円、売掛金100万円、資産合計140万円、純資産140万円となります。利益は40万円増えても、現金は60万円減ることが分かります。回収時に現金が増えて売掛金が減りますが、同じ売上を再び計上しません。
発生主義・対応と資産化
Section titled “発生主義・対応と資産化”発生主義では、現金の受払だけで収益・費用の期間を決めません。まだ販売していない商品の原価は棚卸資産に残り、販売時に売上原価になります。設備購入も、通常は購入額全額を直ちに費用にせず、利用期間に減価償却等で配分します。
例えば100万円の設備を残存価額0・5年間の定額償却とする学習例なら年20万円の費用です。購入時の現金支出100万円、年の費用20万円、残る資産の帳簿価額は別の数字です。実際の償却方法・耐用年数・減損等は適用条件を確認します。
3つの財務諸表をつなぐ
Section titled “3つの財務諸表をつなぐ”貸借対照表はある時点の資産・負債・純資産、損益計算書は期間の収益・費用・利益、キャッシュフロー計算書は期間の現金等の増減を表します。利益が純資産へ、現金増減が現金残高へつながります。配当や増資など、利益を通らず純資産を変える取引もあります。
DXでは取引ID、計上日、支払・回収日、商品・顧客・活動コードを結びます。会計の計上日と現場の活動日を混ぜないことが、予算管理にも重要です。
上の掛売上のうち80万円を翌期に回収すると、回収時の売上・利益は再び80万円増えますか。
解答・解説
増えません。現金80万円増、売掛金80万円減です。売上は前期に認識したという仮定なので、回収を再度の売上としません。