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9. IS–LMと財政・金融政策

政府支出で需要が増えても、金利上昇で投資が減れば、所得増加は45度線分析ほど大きくないかもしれません。IS–LMは物価を固定し、所得と利子率を同時に決める短期モデルです。

C=40+0.8(Y−50),I=100−10i,G=50C=40+0.8(Y-50),I=100-10i,G=50、実質貨幣供給 M/P=100M/P=100、貨幣需要 L=0.5Y−10iL=0.5Y-10i とします。iは%表示です。

財市場 Y=C+I+GY=C+I+G より、

Y=750−50i(IS)Y=750-50i\quad\text{(IS)}

貨幣市場より、

100=0.5Y−10i⇒i=0.05Y−10(LM)100=0.5Y-10i\quad\Rightarrow\quad i=0.05Y-10\quad\text{(LM)}

連立すると Y=2500/7≈357.143Y=2500/7\approx357.143、i=55/7≈7.857%i=55/7\approx7.857\%。投資は約21.429です。所得の単位と、iを小数でなく%の数値で置いたことを確認します。

ISとLMの同時均衡

学習用モデル。IS:i=15−0.02Y、LM:i=0.05Y−10。政府支出20増加後はISがi=17−0.02Yへ移ります。

  • 青実線:IS
  • 橙破線:LM
  • 青点線:政府支出20増加後のIS
グラフの数値を表で確認する
所得YISのi(%)LMのi(%)G増加後ISのi(%)
20011013
3009511
357.142857142857177.8571428571428577.8571428571428589.857142857142858
385.71428571428577.2857142857142869.2857142857142889.285714285714285
5005157
6003205

学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。

ISは Y=850−50iY=850-50i へ移動。LMが変わらないと、Y=2700/7≈385.714Y=2700/7\approx385.714、i=65/7≈9.286i=65/7\approx9.286。所得増は 200/7≈28.571200/7\approx28.571、金利上昇で投資は 100/7≈14.286100/7\approx14.286 減ります。

金利一定なら所得増は100でした。投資減が乗数を通じて所得増を約71.429抑えています。このような民間支出の抑制をクラウディングアウトといいます。すべての財政拡張が完全に相殺されるわけではありません。

実質貨幣供給を100から120へ増やし、元のISを維持すると、LMは i=0.05Y−12i=0.05Y-12。所得は 2700/7≈385.7142700/7\approx385.714、金利は 51/7≈7.28651/7\approx7.286 へ低下します。

  • LMが水平に近い流動性の罠では、単純な貨幣供給増加の効果は弱く、財政拡張による金利上昇は小さくなります。
  • LMが垂直なら、貨幣供給一定の財政拡張は所得を増やさず金利を上げるという極端な結果になります。
  • 投資が金利に反応しない垂直ISなら、金利低下だけでは需要が増えません。

結論は曲線の形と政策運営に依存します。中央銀行が金利を維持するため貨幣供給を調整する場合、固定貨幣供給のLMとは違う政策条件です。また投資を左右する実質金利と貨幣需要の名目金利を同一のiで扱う本例は、期待インフレを0に固定した単純化です。

売上増のシナリオと、金利による投資抑制・資金費用増のシナリオを合わせます。モデルの所得増を自社売上増と同一視しないことが大切です。

中央銀行が元の金利を維持し、政府支出20増加へ対応した場合、IS上の所得増はいくらですか。

解答・解説

金利一定なら Y=750−50iY=750-50i から Y=850−50iY=850-50i へ移るので所得増100。固定貨幣供給の場合の約28.571とは政策条件が異なります。

学習ガイド