3. 統計グラフ
何のためにグラフを使うのか
Section titled “何のためにグラフを使うのか”数字を正確に調べたいときには表が便利です。一方、30日間の気温や学年ごとの通学手段を数字だけで並べると、変化や違いを見つけるのに時間がかかります。グラフは、比較したい特徴を位置・長さ・面積などに置き換え、全体の傾向を見つけやすくする道具です。
例えば「今年の利用者が何人だったか」と「利用者がいつ増えたか」では、必要な表現が異なります。前者は表の数値、後者は時系列の折れ線が役立ちます。グラフは飾りとして付けるのではなく、答えたい問いに合わせて選びます。
グラフを読む順序
Section titled “グラフを読む順序”最初に題名、対象、期間、出典を見ます。次に縦軸・横軸の意味、単位、目盛り、凡例を確認し、その後で大小や変化を読み取ります。「人数」と「割合」、「年間合計」と「1日平均」を取り違えないようにします。
グラフの使い分け
Section titled “グラフの使い分け”| グラフ | 適した目的 | 読むときの注意 |
|---|---|---|
| ドットプロット | 小規模な数値データの分布 | 同じ値の点を積み重ね、1点が何件か確認する |
| 絵グラフ | 個数を絵の繰り返しで表す | 絵1個が何人・何個か確認する |
| 棒グラフ | 分類ごとの数量を比較する | 棒の長さを比べるため、原則として数量軸を0から取る |
| 折れ線グラフ | 時間による変化を見る | 時間間隔や縦軸の範囲を確認する |
| 円グラフ | 全体に対する構成比を見る | 合計100%、中心角の合計360° |
| 帯グラフ | 複数集団の構成比を比較する | 各帯が100%なら、実人数の大小は直接分からない |
| 面グラフ | 時間に伴う量の変化を面で表す | 面の広さの印象だけで値を判断しない |
| 積み上げ棒グラフ | 総量と内訳を同時に見る | 中間の項目は上下の境界の差がその量 |
| パレート図 | 大きな項目から優先順位を考える | 降順の棒と累積割合の折れ線を使う |
| 複合グラフ | 異なる指標を一緒に見る | 左右の軸と、どの系列に対応するかを確認する |
ドットプロットの例
Section titled “ドットプロットの例”読書冊数 0, 1, 1, 2, 2, 2, 4 を表します。各点は1人です。
0冊が1人、1冊が2人、2冊が3人、3冊は0人、4冊が1人。2冊の上に点が三つ積み重なります。
チャートを読み込んでいます。数値は本文・表でも確認できます。
グラフの数値を表で確認する
| 読書冊数(冊) | 人数(人) |
|---|---|
| 0 | 1 |
| 1 | 2 |
| 2 | 3 |
| 3 | 0 |
| 4 | 1 |
学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。
2冊が最も多く、3冊の人はいません。小さなデータでは個々の値を保ったまま分布を見られます。
絵グラフの例
Section titled “絵グラフの例”図書室の延べ利用者が、月曜30人、火曜30人、水曜40人だったとします。人型の絵1個を10人として並べると、月曜・火曜は3個、水曜は4個です。
同じ大きさの絵の個数で人数を表します。絵1個は10人で、水曜はほかの曜日より絵1個分、10人多くなっています。
- 人型の絵1個=10人
チャートを読み込んでいます。数値は本文・表でも確認できます。
グラフの数値を表で確認する
| 曜日 | 延べ利用者(人) |
|---|---|
| 月曜 | 30 |
| 火曜 | 30 |
| 水曜 | 40 |
学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。
絵の大きさを変えず、個数で数量を表している点に注目しましょう。絵を縦横ともに大きくすると、面積の印象で数量を誤解しやすくなります。
割合をグラフにする
Section titled “割合をグラフにする”40人の通学手段が徒歩20人、自転車12人、バス8人なら、割合は50%、30%、20%です。円グラフの中心角は「割合 × 360°」なので、それぞれ180°、108°、72°になります。
一人につき一つの主な手段を集計。徒歩50%は円の半分、自転車30%、バス20%で、全体は100%です。
- 徒歩:20人・50%
- 自転車:12人・30%
- バス:8人・20%
チャートを読み込んでいます。数値は本文・表でも確認できます。
グラフの数値を表で確認する
| 通学手段 | 人数(人) | 割合(%) |
|---|---|---|
| 徒歩 | 20 | 50 |
| 自転車 | 12 | 30 |
| バス | 8 | 20 |
学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。
帯グラフで別の80人の学級群と比べるとき、バスが同じ20%でも実人数は16人です。次は両方の集団を同じ構成比にした例です。
上は40人、下は80人。どちらも徒歩50%・自転車30%・バス20%で帯の長さは同じですが、バスの人数は上が8人、下が16人です。
- 左から:徒歩50% / 自転車30% / バス20%
チャートを読み込んでいます。数値は本文・表でも確認できます。
グラフの数値を表で確認する
| 集団 | 徒歩(人) | 自転車(人) | バス(人) | 合計(人) |
|---|---|---|---|---|
| 40人の集団 | 20 | 12 | 8 | 40 |
| 80人の集団 | 40 | 24 | 16 | 80 |
学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。
各帯はそれぞれの全体を100%として描いています。80人の帯を40人の帯の2倍の長さにはしません。同じ割合と同じ人数を区別しましょう。
パレート図を作る例
Section titled “パレート図を作る例”忘れ物の件数を多い順に並べます。
| 種類 | 件数 | 累積件数 | 累積割合 |
|---|---|---|---|
| 教科書 | 12 | 12 | 50% |
| ノート | 6 | 18 | 75% |
| 筆記具 | 4 | 22 | 約91.7% |
| その他 | 2 | 24 | 100% |
棒は12・6・4・2件を左軸で、折れ線は50・75・約91.7・100%を右軸で読みます。2番目のノートまでで累積75%になります。
- 青い棒:件数(左軸)
- 橙の折れ線:累積割合(右軸)
チャートを読み込んでいます。数値は本文・表でも確認できます。
グラフの数値を表で確認する
| 種類 | 件数 | 累積割合(%) |
|---|---|---|
| 教科書 | 12 | 50 |
| ノート | 6 | 75 |
| 筆記具 | 4 | 91.7 |
| その他 | 2 | 100 |
学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。
棒は各件数、折れ線は累積割合です。教科書とノートで全体の75%を占めると分かります。ただし件数が多いことと、被害や重要度が高いことは同じではありません。
誤解しやすい表現
Section titled “誤解しやすい表現”棒グラフの縦軸を途中から始めると差が大きく見えます。絵の高さと幅を両方2倍にすると面積は4倍になるので、2倍の数量の表現としては誤解を招きます。複合グラフの線が交差していても、左右で単位が違えば「同じ値になった」とは言えません。
実践例1:同じデータから、目的に合うグラフを選ぶ
Section titled “実践例1:同じデータから、目的に合うグラフを選ぶ”放課後の図書室利用を、3日間調べました。人数は延べ利用者数で、同じ人が別の日に来ればそれぞれ数えるものとします。
| 曜日 | 1年 | 2年 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 月曜 | 20 | 10 | 30 |
| 火曜 | 15 | 15 | 30 |
| 水曜 | 10 | 30 | 40 |
問いA:利用者が最も多い曜日はいつか
Section titled “問いA:利用者が最も多い曜日はいつか”曜日別の合計30・30・40人を棒グラフにします。横軸に曜日、縦軸に人数を取り、各棒を0から描けば、水曜がほかより10人多いと読めます。曜日の総量だけを比べたいなら、学年別の情報を無理に盛り込む必要はありません。
月曜30人、火曜30人、水曜40人。すべて0から描いた棒の高さで総量を比較します。
チャートを読み込んでいます。数値は本文・表でも確認できます。
グラフの数値を表で確認する
| 曜日 | 延べ利用者(人) |
|---|---|
| 月曜 | 30 |
| 火曜 | 30 |
| 水曜 | 40 |
学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。
問いB:曜日ごとの学年の内訳も知りたい
Section titled “問いB:曜日ごとの学年の内訳も知りたい”積み上げ棒グラフが使えます。水曜の棒は、下側を1年10人、その上を2年30人とすると、上端は40人です。2年の人数は上端40から境界10を引いた30人であり、40人ではありません。
全体の棒の長さから合計、各区間の長さから内訳を読みます。複数の棒で中段の区分を細かく比べるときは、始点がそろわないため、並列の棒グラフの方が読みやすいこともあります。
青い下段は1年、橙の上段は2年。水曜は1年10人と2年30人を積み上げ、棒の上端は合計40人になります。
- 下・青:1年
- 上・橙:2年
チャートを読み込んでいます。数値は本文・表でも確認できます。
グラフの数値を表で確認する
| 曜日 | 1年(人) | 2年(人) | 合計(人) |
|---|---|---|---|
| 月曜 | 20 | 10 | 30 |
| 火曜 | 15 | 15 | 30 |
| 水曜 | 10 | 30 | 40 |
学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。
問いC:各曜日の利用者の中で、2年生の割合はどう違うか
Section titled “問いC:各曜日の利用者の中で、2年生の割合はどう違うか”各曜日を100%にそろえた帯グラフが適しています。2年の割合は月曜10 ÷ 30 ≈ 33.3%、火曜15 ÷ 30 = 50%、水曜30 ÷ 40 = 75%です。構成比の違いは見やすくなりますが、元の利用者数が30人か40人かは帯の長さからは分かりません。各帯に合計人数も添えましょう。
左の青い区分は1年、右の橙は2年。2年の割合は月曜約33.3%、火曜50%、水曜75%。各曜日の合計人数も右側に添えています。
- 左・青:1年
- 右・橙:2年
チャートを読み込んでいます。数値は本文・表でも確認できます。
グラフの数値を表で確認する
| 曜日 | 1年(%) | 2年(%) | 合計(人) |
|---|---|---|---|
| 月曜 | 66.7 | 33.3 | 30 |
| 火曜 | 50 | 50 | 30 |
| 水曜 | 25 | 75 | 40 |
学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。
上の三つの図は、同じ人数の表から作っています。棒グラフは水曜の利用者数が多いこと、積み上げ棒グラフはそのうち2年が30人であること、帯グラフは2年の割合も75%と高いことを示します。
同じデータでも、「総量」「内訳」「構成比」のどれを見たいかで表現を変えることが大切です。
実践例2:円グラフにしてよい割合か
Section titled “実践例2:円グラフにしてよい割合か”30人に「よく使う文房具をすべて選んでください」と聞き、鉛筆24人、消しゴム21人、定規15人という結果を得ました。各割合は80%、70%、50%で、合計は200%です。
この結果を「30人の内訳」として円グラフにするのは適切ではありません。同じ人が鉛筆と消しゴムの両方を選べるので、区分が重なり、一つの全体を分割していないからです。文房具ごとの人数や割合を棒グラフで示し、「複数回答」と注記します。
回答者30人中、鉛筆24人(80%)、消しゴム21人(70%)、定規15人(50%)。同じ人の回答が重なるため、合計200%でも誤りではありません。
- 複数回答・回答者30人。割合の合計は200%
チャートを読み込んでいます。数値は本文・表でも確認できます。
グラフの数値を表で確認する
| 文房具 | 回答人数(人) | 回答者30人に対する割合(%) |
|---|---|---|
| 鉛筆 | 24 | 80 |
| 消しゴム | 21 | 70 |
| 定規 | 15 | 50 |
学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。
一方、「一番よく使う文房具を一つだけ選ぶ」なら、各人は一つの区分に入ります。全選択肢を含めれば合計が30人になり、その構成比を円グラフで表せます。円グラフでは、一つの全体を重複なく分けているかを先に確認します。
実践例3:パレート図から対策の順番を考える
Section titled “実践例3:パレート図から対策の順番を考える”上の忘れ物の表では、教科書とノートで18件、全24件の75%を占めます。「忘れ物の件数を減らす」という目的なら、この2種類の対策を先に検討する理由になります。例えば、翌日の教科書とノートの確認欄を連絡帳に作る、といった案が考えられます。
ただし、対策すれば18件すべてがなくなるという意味ではありません。教科書を忘れる理由が、時間割の確認忘れなのか、持ち帰ったままなのかも調べる必要があります。また、安全に関わる持ち物は件数が少なくても優先することがあるため、頻度と重要度を合わせて判断します。
対策後は同じ期間・同じ数え方で再集計し、合計件数と内訳の両方を比べます。構成比だけが下がっても、忘れ物の件数自体が増えていれば改善とは限りません。
実践例4:折れ線と複合グラフを読み違えない
Section titled “実践例4:折れ線と複合グラフを読み違えない”ある店の月別データが、気温10・15・20℃、冷たい飲み物の売上100・150・200本だったとします。折れ線グラフにすれば、どちらも増加していると分かります。℃と本数を同時に表示するなら、左右の軸に別々の単位を明記した複合グラフが選択肢です。
ここでは、その3か月を4月・5月・6月として描きます。まず気温だけを折れ線で見ると、毎月5℃ずつ上がっていることが分かります。
4月10℃、5月15℃、6月20℃。時間の順に点を結び、月ごとの変化を示します。
チャートを読み込んでいます。数値は本文・表でも確認できます。
グラフの数値を表で確認する
| 月 | 気温(℃) |
|---|---|
| 4月 | 10 |
| 5月 | 15 |
| 6月 | 20 |
学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。
面グラフでは、量の推移を塗りつぶして表す
Section titled “面グラフでは、量の推移を塗りつぶして表す”同じ期間の飲み物の売上100・150・200本を、面グラフにしてみましょう。数値を読み取る位置は上側の線です。下側は0本の基準線まで塗りつぶしています。
4月100本、5月150本、6月200本。上辺の高さがその月の売上を示します。月と月の間の実測値まで分かる図ではありません。
チャートを読み込んでいます。数値は本文・表でも確認できます。
グラフの数値を表で確認する
| 月 | 売上(本) |
|---|---|
| 4月 | 100 |
| 5月 | 150 |
| 6月 | 200 |
学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。
塗られた領域は量の増え方を目立たせますが、この図の面積をそのまま3か月の売上合計として読んではいけません。月別の合計は、元の値を足して100 + 150 + 200 = 450本です。
複合グラフは、系列ごとに参照する軸を変える
Section titled “複合グラフは、系列ごとに参照する軸を変える”橙の線は左軸の気温(℃)、青い棒は右軸の売上(本)。4月は10℃と100本が同じ高さに見えますが、単位も数値も違います。
- 青い棒:売上(右軸・0〜250本)
- 橙の折れ線:気温(左軸・0〜25℃)
チャートを読み込んでいます。数値は本文・表でも確認できます。
グラフの数値を表で確認する
| 月 | 気温(℃・左軸) | 売上(本・右軸) |
|---|---|---|
| 4月 | 10 | 100 |
| 5月 | 15 | 150 |
| 6月 | 20 | 200 |
学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。
この図は右軸の10本分を、左軸の1℃と同じ高さにして描いています。そのため棒の上端と線が重なりますが、10℃と100本が同じ量という意味はありません。
しかし、左右の軸の範囲を調整すれば、線を重ねたり離したりできます。線の高さが同じだから同じ数量、傾きが同じだから同じ大きさの変化、とは言えません。また、暑さ以外に休日や宣伝も売上に関係するかもしれません。
折れ線を作るときは、1月・2月・6月のように間隔の違う時点を同じ幅で並べてよいかも考えます。時間間隔を無視すると、変化の速さを誤解しやすくなります。
グラフから説明文を書く
Section titled “グラフから説明文を書く”「水曜が高い」だけでなく、「調べた3日では、水曜の延べ利用者は40人で最多だった。また、水曜の利用者の75%が2年生だった」と書くと、対象と特徴が伝わります。理由が分からない段階で「水曜は2年生が暇だから」と付け加えないようにしましょう。
グラフを仕上げるときは、題名・単位・期間・凡例・出典を確認し、読み手が元の数量と割合を区別できるかを見直します。
- 毎日の気温の変化と、学年別の生徒数には、それぞれどのグラフが適していますか。
- 200人中30人の区分を円グラフにすると、割合と中心角はいくつですか。
- 積み上げ棒の下端が35、上端が60の区分の量はいくつですか。
解答・解説
- 気温の時間変化は折れ線グラフ、学年別の人数比較は棒グラフが適しています。
- 30 ÷ 200 = 0.15なので15%、360 × 0.15 = 54°です。
- 60 − 35 = 25です。上端の60は下側の区分を含む累計です。