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16. 欠測・打ち切り・切断

欠測は値が記録されていないこと。右打ち切りは「少なくともここまでは続いた」と分かること。切断(トランケーション)は、条件を満たさない対象がそもそも観測標本に入らないことです。異なる情報を同じ欠測値として処理すると推論が歪みます。

観測の有無 RR が値にも共変量にも依存しなければMCAR、観測済み情報で条件付けると未観測値に依存しなければMAR、未観測値への依存が残ればMNARです。MARは観測データだけから一般に検証できる性質ではありません。

たとえば所得が高い人ほど無回答なら、回答者平均は母集団平均を過小評価し得ます。年齢など観測変数で無回答を十分説明できると仮定するMARと、未観測の所得自体に依存するMNARでは必要なモデルが変わります。完全ケース解析はMCARなら多くの場面で扱いやすい一方、精度を失い、一般のMARで常に正当化されるわけではありません。

不確実性を反映した補完データを mm 個作り、それぞれの推定値 QjQ_j と分散 UjU_j を統合します。

Qˉ=1m∑jQj,Uˉ=1m∑jUj,B=1m−1∑j(Qj−Qˉ)2,T=Uˉ+(1+1/m)B.\bar Q=\frac1m\sum_jQ_j,\quad \bar U=\frac1m\sum_jU_j,\quad B=\frac1{m-1}\sum_j(Q_j-\bar Q)^2,\quad T=\bar U+(1+1/m)B.

m=3,Q=(9,10,11),U=(4,4,4)m=3,Q=(9,10,11),U=(4,4,4) なら Qˉ=10,B=1,T=16/3\bar Q=10,B=1,T=16/3、SEは約2.309。単一補完して通常のSEだけ出すと、補完間の不確実性を落とします。代入モデルと解析モデルの整合性、MNARに対する感度分析も必要です。

観測時間 tit_i、イベント指標 δi\delta_i に対し、独立な非情報的右打ち切りの下では、寿命母数に関係する尤度は

L(θ)∝∏ifθ(ti)δiSθ(ti)1−δi.L(\theta)\propto\prod_i f_\theta(t_i)^{\delta_i}S_\theta(t_i)^{1-\delta_i}.

指数分布なら λ^=∑δi/∑ti\hat\lambda=\sum\delta_i/\sum t_i。観測時間2、3、5で最初の2人がイベント、最後が打ち切りなら 2/10=0.22/10=0.2。打ち切りを5でのイベントとして数えると0.3となり誤りです。

X>cX>c の対象だけ観測する左切断では密度は fθ(x)/Pθ(X>c)f_\theta(x)/P_\theta(X>c) に条件付けます。打ち切りの生存寄与とは異なります。繰り返し測定で最後の値を繰り越すLOCFは、その後一定という強い仮定を暗黙に置きます。脱落を無害にはせず、混合モデル・多重代入などと仮定を比較します。

10年後まで追跡したが発症しなかった人は、発症時間10年としてよいか?

解答・解説

右打ち切りであり、分かるのは発症時間が10年より長いことです。尤度には f(10)f(10) ではなく S(10)S(10) を寄与させます。