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2. データの収集

何のためにデータの集め方を学ぶのか

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どれだけ正確に平均や割合を計算しても、集めたデータが問いに合っていなければ、ほしい答えには届きません。「全校生徒の通学」を知りたいのに自転車置き場でだけ質問すれば、徒歩やバス通学の生徒が含まれにくくなります。

データの収集では、誰について知りたいか、誰を調べるか、何をどのように記録するかを決めます。ここでの判断が、その後のグラフや数値の意味を決めます。まずデータの種類を理解し、それに合う質問と集計方法を選びましょう。

質的データは種類や属性を表します。血液型、通学手段、好きな教科などです。人数や割合を集計します。満足度の「低・中・高」のように順序のある区分もありますが、区分の間隔が等しいとは限りません。

量的データは数量を表します。身長、通学時間、兄弟姉妹の人数などです。大小や差に意味があり、平均などで要約できます。人数のように数える量と、長さのように測る量があります。

記録種類理由
出席番号12番質的データ個人を識別する番号で、平均に意味がない
12分の通学時間量的データ10分との差が2分と解釈できる
満足度を1・2・3と符号化質的データ数字は段階のラベルで、間隔が等しいとは限らない

数字で書いてあるかよりも、その数字が何を意味するかで判断します。

母集団は知りたい対象全体、標本は実際に調べるために選んだ一部です。全校600人の通学時間を知るために60人を選ぶなら、母集団は全校600人、標本は選んだ60人です。回答が50人なら、選んだ標本と実際に得られた回答を区別します。

全員を調べるのが全数調査、一部を調べるのが標本調査です。標本調査は費用や時間を減らせるほか、製品を壊す品質検査のように全数調査ができない場面でも使います。

無作為抽出は、くじや乱数など、偶然の仕組みを使って標本を選ぶことです。例えば全校生徒の名簿から、同じ生徒を重複させずに60人をくじで選びます。「適当に目についた人を選ぶ」という意味ではありません。

運動部だけで体力を調べる、昼間に駅を利用する人だけで全住民の意見を調べる、といった方法には偏りが生じ得ます。回答したい人だけが参加するウェブ投票も、無作為抽出とは異なります。人数を増やすだけで、選び方の偏りがなくなるわけではありません。

無作為抽出でも、標本を選び直すと結果は変わります。この偶然のずれを標本誤差といいます。記録ミス、質問の誘導、無回答による偏りなどとは区別します。

アンケートは本人の回答、観察は起きたことの記録、実験は条件を変えたときの結果を調べます。比較する実験では、目的以外の条件をなるべくそろえることが大切です。

世論調査を読むときは、対象地域と年齢、調査時期、対象者の選び方、質問文、回答者数や回答率を確認します。「多くの人が答えた」という情報だけでは代表性を判断できません。

全校生徒の給食の満足度を知るため、食堂に来た先着100人に質問しました。改善点は何でしょうか。

解説: 食堂を利用しない人や遅い時間に来る人が含まれにくい方法です。全校の名簿を使って無作為に対象者を選び、無回答も記録するなどの改善が考えられます。

実践例1:全校生徒の通学を調べる計画

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全校600人について、雨の日の登校支援が必要かを考えるとします。「通学は大変ですか」だけでは、何が大変なのか分かりません。判断に必要な項目を分けます。

質問・項目記録例種類集計して分かること
主な通学手段徒歩、自転車、バスなど質的手段ごとの人数・割合
通常の片道通学時間25分量的平均・中央値・分布
雨の日に使う手段バス質的普段と雨の日の手段の違い
雨の日の片道通学時間40分量的普段よりどれくらい長いか

通学手段を「1=徒歩、2=自転車、3=バス」と記録しても、その平均2を「平均的な手段は自転車」とは解釈できません。数字は分類のラベルです。一方、25分と40分の差15分には、時間の増加という意味があります。

全員に同じ条件で聞けるなら、全数調査も選択肢です。一部だけ調べるなら、全校の名簿に重複しない番号を付け、600人の中からくじで60人を選ぶ方法が考えられます。先に特定の部活動や学年だけを取り出してしまうと、全校の状況を代表しにくくなることがあります。

「各学年から必ず20人ずつ選ぶ」など、学年ごとに分けて選ぶ設計も考えられます。ただし、それぞれの学年人数が違うなら、集めた60人をそのまま同じ重みで足し合わせた結果が全校の割合になるとは限りません。4級ではまず、対象全体と選び方の関係を意識しましょう。

回答がそろわない場合を考える

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選んだ60人のうち48人が回答したなら、回答率は48 ÷ 60 × 100 = **80%**です。48人の平均通学時間は計算できますが、通学が特に大変な人ほど回答していないとしたら、全校の状況より短めに見える可能性があります。

回答率が高いほど必ず正しい、低ければ必ず間違いという単純な基準ではありません。「誰が回答しなかったか」「回答者と何が違いそうか」も考えます。無回答を通学時間0分として入力してはいけません。

実践例2:質問の聞き方で結果が変わる

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給食の満足度を調べる質問を比べてみましょう。

質問文問題になりそうな点改善例
栄養満点のおいしい給食に満足していますか満足という回答へ誘導しやすい今月の給食全体の満足度を選んでください
給食は安くておいしいですか価格と味の二つを一度に聞いている価格についてと味についてを分けて聞く
最近の給食はどうですか「最近」の期間が人によって違う今月提供された給食について聞く

選択肢も、例えば「満足・やや満足・やや不満・不満」に加え、必要なら「利用していない」を設けます。利用していない人に無理に満足度を答えてもらうと、意味の違う回答が混ざります。調査を繰り返して変化を見る場合は、質問文や選択肢を変えた影響にも注意します。

実践例3:全数調査が適さない場合

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工場で作った電球1万個について、点灯しなくなるまでの寿命を調べたいとします。全数の寿命を測れば、販売する電球が残らなくなります。このように調べることで対象が使えなくなる検査では、一部を選ぶ標本調査が必要です。

ただし、箱の一番上の電球だけを取ると、特定の製造時刻の品ばかりになるかもしれません。製造した期間や保管場所も考慮し、対象全体を調べられる選び方を計画します。「一部を調べればよい」と「どんな一部でもよい」は違います。

赤玉50個・白玉50個の箱から10個を無作為に取り出しても、必ず赤5個にはなりません。赤4個や6個になる偶然のずれが、標本誤差のイメージです。一方、赤玉が上に偏った箱の表面だけから取れば、抽出方法による偏りが生じ得ます。

実際の調査でこの二つを完全に見分けることは簡単ではありません。だからこそ、抽出方法や質問文、回答率を記録し、数字だけでなく集め方も報告します。世論調査やアンケートを読むときも、この順序で確認しましょう。

  1. 郵便番号と1か月の読書冊数は、それぞれ質的・量的のどちらですか。
  2. 市民5万人から無作為に500人を選んで調査するとき、母集団と標本は何ですか。
  3. 無作為抽出なら、母集団の割合と標本の割合は必ず一致しますか。
解答・解説
  1. 郵便番号は地域のラベルなので質的、読書冊数は量的です。
  2. 母集団は市民5万人、標本は選ばれた500人です。
  3. 一致するとは限りません。偶然による標本誤差が生じます。