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32. 医薬生物学:検査性能・ROC・カテゴリ解析

検査の陽性が疾病を意味するとは限りません。感度は疾病ありの中の陽性割合、特異度は疾病なしの中の陰性割合、陽性的中率(PPV)は陽性の中の疾病あり割合です。分母を入れ替えると、同じ数値でも答える問いが変わります。

有病率1%、感度90%、特異度95%とすると、期待される人数は次のとおりです。小数は実測人数ではなく理論上の期待値です。

疾病あり疾病なし
陽性949.5
陰性1940.5
PPV=958.5≈0.1538,NPV=940.5941.5≈0.99894.PPV=\frac9{58.5}\approx0.1538,\qquad NPV=\frac{940.5}{941.5}\approx0.99894.

陽性尤度比は感度/(1−特異度)=18、陰性尤度比は(1−感度)/特異度=約0.1053。事前オッズ 1/991/99 に陽性尤度比を掛けると 18/9918/99、確率へ戻すと 2/132/13。ベイズの定理と同じ更新です。有病率が変わるとPPV・NPVは変わり、感度・特異度も対象の重症度構成や検証方法によって異なる場合があります。

連続スコアの閾値を動かし、横軸を偽陽性率 1−specificity1-\mathrm{specificity}、縦軸を感度として描きます。AUCは無作為に取った疾病あり例のスコアが疾病なし例より高い確率(同点は通常半分)です。AUCが高くても、重要な閾値付近の性能が十分とは限りません。

Youden指数 J=sensitivity+specificity−1J=\mathrm{sensitivity}+\mathrm{specificity}-1 の最大化は1つの選び方ですが、見逃しと誤警報の損失、事前頻度、運用上の制約を自動的に反映しません。訓練データで閾値を選び、同じデータだけで性能を報告すると楽観的になります。

複数の予測因子を調整するならロジスティック回帰、順序転帰なら累積ロジットなどを使います。セルごとのずれには残差を確認し、カテゴリ件数全体の構造には対数線形モデルを用います。独立群の少数例はFisher、同じ対象の2検査の陽性割合比較にはMcNemarを検討します。分割表の章で計算を比較できます。

連続・順序スコアの2群比較に順位和検定、対応差に符号付き順位、単調関連に順位相関を使う場合も、検定対象と仮定を明記します。p値は検査の有用性の指標そのものではなく、区間、較正、対象集団での再現性も必要です。

感度と特異度が同じ検査を、より低い有病率の集団で使うとPPVはどうなるか?

解答・解説

低くなります。陽性のうち真陽性の割合が減るためです。同じ検査特性でも対象集団の事前頻度を確認します。