12. 独占・寡占と価格設定
何のために学ぶか
Section titled “何のために学ぶか”競争企業は価格を所与として数量を決めますが、市場支配力のある企業は数量の変更によって価格も変わります。競合の行動が自社の利益を左右する場合には、何を同時に選ぶか、誰が先に動くかも重要です。
例題:独占企業の利潤最大化
Section titled “例題:独占企業の利潤最大化”逆需要を 、総費用を とします。単一価格で販売する独占企業の売上は 、限界収入は です。販売量を増やすために既存販売分も値下げするので、正の数量では限界収入は価格より小さくなります。
利潤は 。固定費があるならさらに引きます。限界収入と限界費用で数量を決めた後、需要曲線で価格を読むことが重要です。
学習用モデルP=100−Q、MC=20。MRとMCの交点で数量40を決め、需要曲線から価格60を読みます。
- 青実線:需要(価格)
- 橙破線:限界収入MR
- 点線:MC=20
- MRの負の部分は表示範囲外
チャートを読み込んでいます。数値は本文・表でも確認できます。
グラフの数値を表で確認する
| 数量Q | 価格P | 限界収入MR | 限界費用MC |
|---|---|---|---|
| 0 | 100 | 100 | 20 |
| 20 | 80 | 60 | 20 |
| 40 | 60 | 20 | 20 |
| 50 | 50 | 0 | 20 |
| 60 | 40 | -20 | 20 |
| 80 | 20 | -60 | 20 |
| 100 | 0 | -100 | 20 |
学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。
価格が限界費用に等しい効率的数量は80です。独占による死荷重は 。適切な内点条件のもとで、ラーナー指数 が成り立ちます。この例では です。
価格差別と自然独占
Section titled “価格差別と自然独占”第1種価格差別は各単位の支払意思額を把握する理想化された場合、第2種は数量メニューなどによる自己選択、第3種は顧客群ごとの価格設定です。転売防止や需要の識別などの条件が必要です。一定MC・独立した市場の内点解では、各市場のMRをMCへ等しくし、弾力性が低い市場で高いマークアップになります。
自然独占は、市場全体を1社で供給する方が複数社より総費用が低い場合です。固定費が大きいと、限界費用価格では費用を回収できないことがあります。平均費用価格などの規制には、効率性と費用回収の課題があります。
同じ需要でも、競争の仕方で結果が変わる
Section titled “同じ需要でも、競争の仕方で結果が変わる”同質財、需要 、各社MC20、固定費なしの2社を考えます。
| モデル | 選ぶもの・タイミング | この例の均衡 |
|---|---|---|
| クールノー | 数量を同時に選ぶ | 各社 、合計 、価格 |
| ベルトラン | 同質財の価格を同時に選ぶ | 同じ一定MC、能力制約なし等の標準条件で価格20 |
| シュタッケルベルク | 先行企業の数量を見て後続が数量を選ぶ | 先行40・後続20、価格40 |
クールノーでは、企業1の利潤 を最大化して反応関数 を得ます。対称な反応関数を連立します。先行企業は後続の反応 を織り込むので、同時手番とは結果が変わります。
管理会計とのつながり
Section titled “管理会計とのつながり”価格設定には原価だけでなく、顧客の反応と競争の仕組みが必要です。これらの式は仮定を限定した比較モデルで、現実の市場をそのまま表すものではありません。差別化や供給能力、参入可能性を確認して使います。
独占の例でMCが40に上がったときの数量・価格・固定費控除前利潤を求めてください。
解答・解説
より数量30、価格70、利潤 。MCの20上昇を、価格へそのまま20転嫁する結果にはなりません。