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7. 金融政策と波及経路

政策金利が変わると、借入コスト、為替、投資、需要へ影響が及びます。ただし政策から企業収益までの間には、金融市場や予想の変化があります。金融政策の手段と、効果が生まれる経路を分けて学びます。

公開市場操作は、中央銀行による金融資産の売買などを通じた資金供給・吸収です。単純なモデルでは買入れが準備を増やし、短期金利へ低下圧力を与えます。中央銀行貸出や預金への適用金利、準備制度なども手段です。ただし、準備が潤沢で付利金利が短期金利を支える方式では、準備の量と市場金利の関係は単純な希少準備のモデルと異なります。

本章は試験学習のための一般理論です。現在の特定国の政策金利や採用手段を示すものではありません。

期待インフレ率を πe\pi^e とすると、フィッシャー関係は、

1+i=(1+r)(1+πe),r≈i−πe1+i=(1+r)(1+\pi^e),\qquad r\approx i-\pi^e

名目金利4%、期待インフレ率2%なら期待実質金利は 1.04/1.02−1≈1.961%1.04/1.02-1\approx1.961\%。同じ名目金利でも、物価下落の予想が強まると実質的な資金負担は重くなる場合があります。事前の期待率と、事後に実現した物価上昇率は区別します。

政策は短期金利から、長期金利、信用供給、資産価格、為替、将来の見通しなどを通じて消費・投資へ伝わります。途中の経路が弱いと、同じ政策でも効果は異なります。

流動性の罠は、低い金利で貨幣需要が非常に金利弾力的となり、単純な貨幣供給増加が金利を下げにくい状態を表す教科書モデルです。名目金利の実効的な下限制約にも注意します。金融政策全般が無効、という意味ではありません。

資産買入れは期間・リスクプレミアム等へ、フォワードガイダンスは将来政策の予想へ働きかける非伝統的手段として考えます。予想や信用がどう変わるかは実証的な問題です。

学習用のテイラー型ルールを i=r∗+π+0.5(π−π∗)+0.5yi=r^*+\pi+0.5(\pi-\pi^*)+0.5y とします。各率は%ポイント単位、yは産出ギャップ(%)、r∗=1,π=3,π∗=2,y=−2r^*=1,\pi=3,\pi^*=2,y=-2 なら、i=1+3+0.5−1=3.5%i=1+3+0.5-1=3.5\%。これはモデルの数値計算であり、中央銀行が必ずこの金利を選ぶという予測ではありません。

金利上昇を借入費用だけでなく、顧客需要・為替・投資評価へ分けて織り込みます。金利が変わる時期と借入の改定時期にもずれがあります。時系列分析でも、効果の遅れと同時に起きた他要因を確認します。

名目金利2%、期待インフレ率−1%の期待実質金利を正確に求めてください。

解答・解説

1.02/0.99−1≈3.030%1.02/0.99-1\approx3.030\%。名目金利の低さだけでは、実質的な負担の小ささを判断できません。

学習ガイド