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3. 選好・効用と消費者の最適化

顧客は限られた所得を、複数の商品へどう配分するのでしょうか。消費者理論は、好みと予算を分けて考え、価格や所得が変わったときの選択を分析する枠組みです。管理会計で採算のよい商品を見つけても、それが顧客の選択に合うかは別途考える必要があります。

通常の選好理論では、2つの組合せを比較できる完備性と、比較に一貫性がある推移性を仮定します。効用関数は好みの順位を表します。効用が20の人は10の人の2倍幸福、という意味ではなく、通常は人と人の効用も直接比較しません。単調増加変換した関数は同じ順位を表せます。

無差別曲線は同じ効用を与える財の組合せです。横軸を xx、縦軸を yy とすると、限界代替率(正の値で定義)は MRS=MUx/MUyMRS=MU_x/MU_y。効用を保ちつつ xx を1単位増やすために、どれだけ yy を手放せるかを表します。

効用を U(x,y)=xyU(x,y)=xy、価格を px=100p_x=100 円、py=200p_y=200 円、所得を m=1,200m=1{,}200 円とします。財は連続量として扱い、両財を多く持つ方を好むので、予算を使い切ります。

max⁡x,y≥0xysubject to100x+200y=1,200\max_{x,y\geq0}xy\quad\text{subject to}\quad100x+200y=1{,}200

内点の接点では、

MUxMUy=yx=100200=12⇒y=x2\frac{MU_x}{MU_y}=\frac{y}{x}=\frac{100}{200}=\frac12 \quad\Rightarrow\quad y=\frac{x}{2}

予算式へ代入すると 200x=1,200200x=1{,}200 なので、x=6x=6、y=3y=3、効用18です。ラグランジュ関数 L=xy+λ(1,200−100x−200y)\mathcal L=xy+\lambda(1{,}200-100x-200y) の一階条件からも同じ結果になります。

予算線と無差別曲線

学習用の連続財モデル。予算線100x+200y=1,200と無差別曲線xy=18は、x=6・y=3で接します。曲線は表示範囲内の部分を描いています。

  • 青実線:予算線 y=6−x/2
  • 橙破線:無差別曲線 y=18/x
  • 点:最適束(6,3)
グラフの数値を表で確認する
x(単位)予算線のy(単位)効用18のy(単位)
34.56
444.5
633
822.25
1201.5

学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。

この解が最大であることは、予算式を使った U(x)=6x−x2/2U(x)=6x-x^2/2 の二階微分が −1-1 であることから確認できます。接点条件だけを機械的に使わず、実現可能性と最大・最小を確認します。

同じ問題を「効用18以上を、最小の支出で得る」と考えるのが支出最小化です。y=18/xy=18/x を使うと支出は E=100x+3,600/xE=100x+3{,}600/x。微分して 100−3,600/x2=0100-3{,}600/x^2=0 より、同じ x=6,y=3x=6,y=3、最小支出1,200円を得ます。これを価格と目標効用の関数にしたものが支出関数です。

ただし、完全代替財 U=x+yU=x+y なら、安い xx だけを12単位買う端点解です。完全補完財 U=min⁡(x,y)U=\min(x,y) なら折れ曲がりの x=y=4x=y=4 が最適です。微分できる接点が存在するとは限りません。

顧客が何と何を代替・補完として捉えるかは、品ぞろえやセット販売を考える土台になります。ただし効用関数は仮定です。実際の購買データ、調査、実験などで確認し、顧客の行動を断定しないようにします。

同じ効用 xyxy と価格で所得だけが2,400円になったとき、最適な数量と効用はいくらですか。

解答・解説

接点では y=x/2y=x/2。100x+200(x/2)=2,400100x+200(x/2)=2{,}400 より x=12,y=6x=12,y=6、効用72です。数量は2倍ですが、効用数値の4倍を幸福の4倍とは解釈しません。

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