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9. 余剰・課税と均衡の安定性

取引が生む利益は買い手と売り手にどう分かれるのでしょうか。課税や価格規制は、数量と取引の利益をどう変えるのでしょうか。部分均衡分析では、他市場への影響をいったん固定して1つの市場を調べます。

逆需要 Pd=100−QP_d=100-Q、逆供給 Ps=QP_s=Q の競争市場を考えます。均衡数量50、価格50です。消費者余剰は、支払意思額と実際の支払額の差の合計です。

CS=12(100−50)50=1,250CS=\tfrac12(100-50)50=1{,}250

生産者余剰は収入と供給曲線の下の面積との差です。

PS=∫050(50−Q) dQ=1,250PS=\int_0^{50}(50-Q)\,dQ=1{,}250

総余剰は2,500です。生産者余剰は一般に固定費控除前なので、利潤と同じではありません。余剰を効用の貨幣的な尺度と解釈するときは、所得効果などの条件にも注意します。

同じ市場で、需要 Qd=100−PbQ_d=100-P_b、供給 Qs=PsQ_s=P_s とします。1単位当たり税20を導入すると、買い手価格 PbP_b と売り手受取価格 PsP_s の間に20の差ができます。

Pb=Ps+20,100−Pb=Ps⇒Pb=60, Ps=40, Q=40P_b=P_s+20,\quad100-P_b=P_s \Rightarrow P_b=60,\ P_s=40,\ Q=40

課税後の消費者余剰と生産者余剰は各800、税収800、合計2,400です。課税前の総余剰2,500との差100が死荷重で、12×20×(50−40)=100\frac12\times20\times(50-40)=100 と求められます。税収を単に損失と数えないことが重要です。

誰が納税する制度でも、競争市場のこのモデルでは同じ価格差が生じます。負担割合は一般に需要と供給の反応に依存し、相対的に非弾力的な側ほど重くなります。上限価格が均衡を下回る場合には超過需要が生じますが、誰が購入できるかで余剰も変わります。

価格が超過需要に応じて動く P˙=λ{D(P)−S(P)}\dot P=\lambda\{D(P)-S(P)\}、λ>0\lambda>0 を仮定すると、均衡付近で D′(P)−S′(P)<0D'(P)-S'(P)<0 なら局所安定です。調整法則を指定しなければ安定性は決まりません。

供給が前期価格に反応するクモの巣モデルで、Dt=a−bPtD_t=a-bP_t、St=c+dPt−1S_t=c+dP_{t-1} なら、

Pt=a−cb−dbPt−1P_t=\frac{a-c}{b}-\frac{d}{b}P_{t-1}

均衡からの乖離は前期の −d/b-d/b 倍です。∣d/b∣<1|d/b|<1 で振動しながら収束、1超で発散、1で一般に持続的な2周期です。静学的に需要が右下がり・供給が右上がりでも、遅れのある調整が安定とは限りません。

原材料価格への税や規制があっても、すべてを販売価格へ転嫁できるとは限りません。自社・顧客・仕入先の価格反応を分けて考えます。数量調整の遅れは、在庫や予算差異にも影響します。時系列分析でデータを調べる場合も、調整の遅れを意識します。

Dt=100−2Pt,St=20+Pt−1D_t=100-2P_t,S_t=20+P_{t-1} のクモの巣モデルは安定ですか。

解答・解説

Pt=40−0.5Pt−1P_t=40-0.5P_{t-1}、均衡価格は 80/380/3。乖離は −0.5-0.5 倍なので、符号を交互に変えながら収束します。

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