8. 費用曲線・利潤最大化と参入退出
何のために学ぶか
Section titled “何のために学ぶか”増産すると利益はどこまで増えるのか。赤字でも短期的には操業した方がよいことがあるのか。生産量を変えたときの総費用・平均費用・限界費用を区別すると、この問いを分析できます。
費用曲線を作る
Section titled “費用曲線を作る”学習用の短期総費用を 、生産量を とします。金額はすべて同じ単位、固定費100は短期には回避不能と仮定します。
平均費用 は1単位当たり総費用、限界費用 は追加1単位の費用です。 なら は下がり、 なら上がります。この例の は で最小24、同じ点で です。
学習用モデルC(q)=100+4q+q²。MCとACはq=10・単位費用24で交わります。ACはq>0の表示範囲を描いています。
- 青実線:限界費用MC
- 橙破線:平均費用AC
- 点線:平均可変費用AVC
- 縦軸:金額/単位
チャートを読み込んでいます。数値は本文・表でも確認できます。
グラフの数値を表で確認する
| 生産量q | MC | AC | AVC |
|---|---|---|---|
| 2 | 8 | 56 | 6 |
| 4 | 12 | 33 | 8 |
| 8 | 20 | 24.5 | 12 |
| 10 | 24 | 24 | 14 |
| 16 | 36 | 26.25 | 20 |
| 20 | 44 | 29 | 24 |
学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。
例題:完全競争企業が価格20で売る
Section titled “例題:完全競争企業が価格20で売る”企業が市場価格 を変えられない価格受容者なら、限界収入は 。利潤 を最大にする正の生産量は、限界費用が上昇する部分で を満たします。
より 。売上160、変動費96、総費用196、利潤は です。操業を止めると固定費100が残り利潤は なので、短期には操業の方が64有利です。
操業停止と退出の違い
Section titled “操業停止と退出の違い”短期の操業条件は、最適な正の生産量で収入が可変費をまかなうこと、すなわち価格が平均可変費用以上になることです。この例では なら 、 なら です。 は正の生産量を選ぶ境界で、この式では最適量が0となります。
価格が最小平均費用24未満だからといって、すぐ短期操業停止とは限りません。一方、長期には資本なども調整でき、参入・退出を考えます。同質企業、自由参入退出、外部経済なし等の標準条件では、長期の競争均衡で経済利潤は0へ向かいます。経済利潤は自己資源の機会費用を含むので、会計利益0と同じ意味ではありません。
長期費用と管理会計
Section titled “長期費用と管理会計”長期平均費用は、各生産量に合う設備規模を選んだ費用から考えます。短期の設備が固定された費用曲線1本を、そのまま長期曲線とはみなしません。また、管理会計のCVP分析の一定単位変動費モデルと、本章の増加する限界費用モデルは前提が違います。機会費用とともに、意思決定で変わる費用を確認します。
同じ費用関数で価格が24の場合、最適量・利潤はいくらですか。価格3なら操業しますか。
解答・解説
価格24なら 。売上240、総費用240で利潤0です。価格3は可変費の回収もできないため 、利潤は固定費分の となります。