13. 2母集団の区間推定
何のために「差」の区間を作るのか
Section titled “何のために「差」の区間を作るのか”店舗AとBの平均が違っていても、どちらも抽出により変動します。二つの推定値の違いを評価するには、差や比そのものの不確実さを求めます。各群の区間が重なっているかだけで判断しないようにします。
まず独立した二群か、同じ人の前後などの対応ありかを区別します。母平均の差は一貫してμ1−μ2、比はσ1²/σ2²とし、向きを明示します。
独立二群、母分散が既知
Section titled “独立二群、母分散が既知”独立な正規標本、または適切な正規近似の下で、
です。分散は差でも足します。例としてn1 = n2 = 25、既知分散9と16、平均差2なら、SE = √(9/25+16/25) = 1。95%区間は0.04〜3.96です。
母分散未知、共通の分散を仮定する場合
Section titled “母分散未知、共通の分散を仮定する場合”各群が正規で独立、母分散が等しいという前提の下で、共通分散をプールします。
区間は差 ± です。各分散をその自由度で重み付けするので、単純平均とは限りません。
例題1:同じ分散を仮定した平均差
Section titled “例題1:同じ分散を仮定した平均差”n1 = n2 = 10、平均21と19、分散4と4なら、プール分散4、SE = √0.8 ≈ 0.894。自由度18、95%のt点約2.101より、2 ± 1.879 = 0.121〜3.879です。
観測した差2に加えて不確実さを示せます。0を含まないことは、同じ前提の両側5%検定で差0を棄却することと対応します。
母分散未知、等分散を仮定しない場合:Welch法
Section titled “母分散未知、等分散を仮定しない場合:Welch法”SEは 、tの近似自由度は、
です。区間は差 ± tν,1−α/2 × SE。自由度は整数とは限りません。表しかない場合は、問題で指定された丸め方や近似を使います。
n1 = 10、n2 = 20、平均21と19、分散4と16なら、SE = √1.2 ≈ 1.095、ν ≈ 27.98。95%区間は約**−0.244〜4.244**となります。例題1とは標本サイズも分散も違うため、「手法を変えただけで区間が変わった」比較ではない点も確認してください。
正規性が大きく崩れ、少人数で外れ値が強い場合などはWelchでも無条件に問題が解消するわけではありません。
対応あり:一人ずつの差を一つの標本にする
Section titled “対応あり:一人ずつの差を一つの標本にする”同じ5人の改善前後の差が 1,2,1,3,3 なら、差の平均2、標本分散1、SE = 1/√5です。差が独立な正規標本とみなせる条件で、自由度4のtを使います。
95%区間は2 ± 2.776/√5、約0.758〜3.242。前後を独立二群として扱うのではなく、各人の差の分散を使います。前後の共分散の情報が差に反映されるからです。
母分散の比:F分布を使う
Section titled “母分散の比:F分布を使う”独立な正規二群で、ν1 = n1−1、ν2 = n2−1とします。
です。n1 = n2 = 10、分散9と4なら比2.25、自由度9・9。95%区間は約0.559〜9.058で、1を含みます。分散比が2.25と大きく見えても、標本が小さいと不確実さも大きいと分かります。平均差での基準0と違い、分散比で「等しい」を表す基準は1です。
母比率の差:推定では各群の比率を使う
Section titled “母比率の差:推定では各群の比率を使う”独立な二群で成功・失敗が十分多いとき、
です。各200人中120人と90人が賛成なら、差0.15、SE ≈ 0.04937、95%区間は約0.0532〜0.2468。5.32〜24.68パーセントポイントの差です。
等しい比率という帰無仮説の検定では、分母にプール比率を使うことがあります。区間推定と検定の分母を機械的に同じにしないようにします。
- 同じ対象の前後の平均差を推定するとき、何の標準偏差を使いますか。
- 独立二群で既知分散4と9、各n = 25なら、平均差のSEはいくつですか。
- 母分散比の信頼区間が0.7〜2.5なら、等分散の値はいくつで、区間内ですか。
解答・解説
- 各対象の差の標準偏差です。
- です。
- 基準は1で区間内です。同じ前提で、比1との違いを示す十分な根拠は得られていないと考えます。