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4. 需要の変化・弾力性と所得効果

値上げによる販売数量の減少が小さければ、売上は増えるかもしれません。弾力性は、単位が違う商品でも変化への反応を比較する道具です。「100円上がると2個減る」という傾きと、「1%上がると何%減るか」という弾力性は異なります。

需要の価格弾力性を絶対値で ε=−dQdPPQ\varepsilon=-\frac{dQ}{dP}\frac{P}{Q} と定義します。通常の右下がり需要に対する式です。需要 Q=100−2PQ=100-2P の P=20,Q=60P=20,Q=60 では、ε=2×20/60=2/3\varepsilon=2\times20/60=2/3。小さな値上げで売上が増える非弾力的な領域です。

R=PQ,dRdP=Q+PdQdP=Q(1−ε)R=PQ,\qquad \frac{dR}{dP}=Q+P\frac{dQ}{dP}=Q(1-\varepsilon)

同じ直線でも P=40,Q=20P=40,Q=20 なら弾力性4で、小さな値上げは売上を減らします。売上最大点は ε=1\varepsilon=1、この例では P=25,Q=50P=25,Q=50 です。利益最大点は費用にも依存するので、売上最大と一致するとは限りません。

例題:離れた2点は中点法で比べる

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価格が100円から110円、数量が200個から180個へ変わったとします。弧弾力性は、

εarc=−(180−200)/190(110−100)/105=2119≈1.105\varepsilon_{\mathrm{arc}}=-\frac{(180-200)/190}{(110-100)/105} =\frac{21}{19}\approx1.105

売上は20,000円から19,800円へ減少します。開始点を分母にした変化率の比は1になりますが、中点法とは別の計算です。指定された定義を確認します。

所得弾力性は ηm=(∂Q/∂m)(m/Q)\eta_m=(\partial Q/\partial m)(m/Q)。正なら上級財(正常財)、負なら下級財です。上級財のうち1を超える場合を奢侈財、0と1の間を必需財と呼びます。分類は所得範囲などに依存します。

交差価格弾力性は ηxy=(∂Qx/∂Py)(Py/Qx)\eta_{xy}=(\partial Q_x/\partial P_y)(P_y/Q_x)。正なら代替、負なら補完の関係を示します。例えば他社価格が5%上がり自社需要が2%増える局所的関係なら、交差弾力性はおよそ0.4です。他の条件が一定であることが前提です。

ある財が値上がりすると、相対的に割高になった財を避ける代替効果と、購買力が低下する所得効果が生じます。ヒックス型は効用を一定に、スルツキー型は元の購入束を買えるよう補償します。有限の価格変化では両者の補償額は一般に違います。

微小な変化に対するスルツキー方程式は、補償需要を hxh_x として、

∂x∂px=∂hx∂px−x∂x∂m\frac{\partial x}{\partial p_x} =\frac{\partial h_x}{\partial p_x}-x\frac{\partial x}{\partial m}

通常の凸な選好では自己価格の代替効果は非正です。正常財では所得効果も同じ向きですが、下級財では逆向きになります。逆向きの所得効果が代替効果を上回る場合がギッフェン財です。下級財すべてがギッフェン財になるわけではありません。

値上げを検討するときは、数量・売上・利益を分けます。単位変動費が vv なら利益は (P−v)Q−F(P-v)Q-F。弾力性だけでは固定費回収や追加活動の負担までは分かりません。回帰分析で需要反応を推定するときも、価格の内生性や広告などの交絡に注意します。

需要 Q=120−3PQ=120-3P、価格 P=20P=20 の価格弾力性と、局所的な売上への影響を求めてください。

解答・解説

Q=60Q=60 なので ε=3×20/60=1\varepsilon=3\times20/60=1。売上の一階微分は0です。R=120P−3P2R=120P-3P^2 は山形の二次関数で、この価格で売上が最大になります。

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