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13. 経済成長と資本蓄積

一時的な需要回復と、生産能力の持続的な成長は別です。長期計画では、資本、労働、技術のどれが生産を支えるかを考えます。GDP全体と1人当たり生産の違いも確認します。

連続時間、技術進歩なしで、1人当たり資本をk、生産を y=f(k)y=f(k)、貯蓄率s、人口成長率n、減耗率δとすると、

k˙=sf(k)−(n+δ)k\dot k=sf(k)-(n+\delta)k

投資は資本を増やし、減耗と人口増が1人当たり資本を薄めます。投入の限界生産力が逓減する場合、投資と必要投資が等しい定常状態へ近づく標準モデルになります。連続時間の式であり、離散時間の厳密な人口調整式とは区別します。

f(k)=k,s=0.2,n+δ=0.1f(k)=\sqrt k,s=0.2,n+\delta=0.1 とします。正の定常状態は、

0.2k∗=0.1k∗⇒k∗=4,y∗=20.2\sqrt{k^*}=0.1k^*\quad\Rightarrow\quad k^*=4,\quad y^*=2

1人当たり消費は (1−s)y∗=1.6(1-s)y^*=1.6。k=1なら投資0.2・必要投資0.1で資本増、k=9なら投資0.6・必要投資0.9で資本減です。k=0も式上の定常点ですが、通常は正の資本からの動きを分析します。

資本蓄積と定常状態

学習用の連続時間モデル。投資0.2√kと必要投資0.1kの正の交点はk=4。交点より左で資本増、右で資本減となります。

  • 青実線:投資0.2√k
  • 橙破線:必要投資0.1k
  • 点:正の定常状態k=4
グラフの数値を表で確認する
資本k投資0.2√k必要投資0.1k資本変化
0000
10.20.10.1
40.40.40
90.60000000000000010.9-0.29999999999999993
120.69282032302755091.2000000000000002-0.5071796769724493

学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。

sを0.3へ上げると k∗=9,y∗=3k^*=9,y^*=3、消費2.1です。移行過程では成長しますが、技術進歩なしでは、正の定常状態で1人当たり成長率は0になります。貯蓄率の上昇が1人当たり成長率を永久に高めるわけではありません。

定常消費 c=f(k)−(n+δ)kc=f(k)-(n+\delta)k を最大にする黄金律は f′(k)=n+δf'(k)=n+\delta。この例では 1/(2k)=0.11/(2\sqrt k)=0.1 よりk=25、生産5・消費2.5、対応する貯蓄率0.5です。定常消費が大きくても、移行期の消費減少を含めた厚生が自動的に最大になるとは限りません。

労働増大的技術が率gで成長する場合、効率労働1単位当たりの資本では必要投資率がn+g+δとなり、均斉成長経路で1人当たり産出はgで成長します。AK型 Y=AKY=AK 等の内生的成長では、資本の広い概念や知識の蓄積により逓減を回避する仕組みを考えます。Ramsey型は貯蓄率を所与とせず、異時点の効用最大化から消費・貯蓄を決めます。

固定的な資本産出比率vと貯蓄率sを置く単純な成長モデルでは、減耗を省略した保証成長率は gw=s/vg_w=s/v と整理されます。例えばs=0.2、v=4なら年率5%です。これは企業が望む資本と需要が整合する成長率を考えるもので、実際に実現する成長率そのものを保証する意味ではありません。

労働供給・技術等から決まる自然成長率、実際の成長率、保証成長率を区別します。需要と能力のずれが累積しやすい不安定性が論点になります。ソロー・モデルは要素代替と資本の限界生産力逓減を導入し、正の定常状態への調整を分析します。同じ「成長率」でもモデルの調整機構が違います。

Y=AKαL1−αY=AK^\alpha L^{1-\alpha} なら、連続時間の対数成長率で、

gY=gA+αgK+(1−α)gLg_Y=g_A+\alpha g_K+(1-\alpha)g_L

α=0.3,gK=4%,gL=1%,gA=2%\alpha=0.3,g_K=4\%,g_L=1\%,g_A=2\% なら産出成長率3.9%。通常の離散年次成長率では近似です。TFPの残差は、純粋な技術進歩だけでなく測定誤差や稼働率等も含み得ます。

企業では設備増強だけでなく、人材、工程、情報収集の改善が生産性へどうつながるかを測ります。生産関数と回帰分析も参照し、会計上の費用削減と生産性上昇を同一視しないようにします。

上のソロー・モデルで貯蓄率0.4なら、正の定常状態のk・y・消費はいくらですか。

解答・解説

0.4k=0.1k0.4\sqrt k=0.1k よりk=16、y=4、消費2.4です。黄金律の消費2.5との違いも確認します。

学習ガイド