17. 適合度・独立性の検定
何のために人数のずれを評価するのか
Section titled “何のために人数のずれを評価するのか”3分類の件数が30・20・10だったとき、均等な割合と比べて違うのでしょうか。二つの店の購入率が違うとき、店と購入の有無に関連があると言えるでしょうか。
χ²検定は、帰無仮説から計算した期待度数と、観測された度数のずれを評価します。単なる割合ではなく、標本の大きさも判断に入ります。
共通する統計量
Section titled “共通する統計量”Oは観測度数、EはH0の下での期待度数です。ずれを2乗するのでQは非負で、大きいほどH0から離れます。大きい側の裾を使います。各対象を重複なく数え、観測が独立で、期待度数が十分あるなどの条件が必要です。
例題1:3分類が均等かを調べる適合度検定
Section titled “例題1:3分類が均等かを調べる適合度検定”60件の分類がA30・B20・C10でした。H0は各分類の確率が1/3。期待度数は各20です。
| 分類 | O | E | (O−E)²/E |
|---|---|---|---|
| A | 30 | 20 | 5 |
| B | 20 | 20 | 0 |
| C | 10 | 20 | 5 |
| 合計 | 60 | 60 | 10 |
観測は30・20・10件、期待は各20件。Q=10。棒の差そのものではなく、差の2乗を期待件数で割った量を合計します。
- 左・青:観測
- 右・橙:均等なら期待する件数
チャートを読み込んでいます。数値は本文・表でも確認できます。
グラフの数値を表で確認する
| 分類 | 観測度数 | 期待度数 |
|---|---|---|
| A | 30 | 20 |
| B | 20 | 20 |
| C | 10 | 20 |
学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。
確率が事前に指定されたk分類なら自由度k−1で、ここでは2。上側5%点は約5.991なので10は棄却域、p ≈ 0.00674です。今回の件数は均等という仮説から離れていると判断します。
分布のパラメータを同じデータからm個推定した場合は、適切な条件の下で自由度がk−1−mになります。例えばデータから推定したポアソン平均を使う場合、最初から確率が完全に指定された検定と同じ自由度にはしません。
例題2:店と購入の有無は独立か
Section titled “例題2:店と購入の有無は独立か”独立な100人の来店者について、次の結果を得たとします。
| 店 | 購入あり | 購入なし | 合計 |
|---|---|---|---|
| A | 30 | 20 | 50 |
| B | 20 | 30 | 50 |
| 合計 | 50 | 50 | 100 |
H0は店と購入が独立。各セルの期待度数は、
なので、すべて50×50/100 = 25です。各セルの寄与は25/25 = 1、Q = 4。自由度は(行数−1)(列数−1) = 1です。
上側5%点約3.841より大きく、連続修正をしないPearsonのχ²検定ではp ≈ 0.0455で棄却します。購入率はA60%、B40%で、今回のデータでは店と購入に関連を示す根拠があります。ただし接客の因果効果とまでは言えません。
自由度は、どの制約があるかで考える
Section titled “自由度は、どの制約があるかで考える”k分類では合計件数が決まれば、最後の分類の件数は残りから決まるのでk−1です。r×cのクロス表では、行・列合計の制約を考えると(r−1)(c−1)になります。
3行4列なら自由度6。セル数12をそのまま自由度にしないようにします。期待度数も、行割合をすべて同じと決めつけず、実際の行・列合計から計算します。
近似と解釈の注意
Section titled “近似と解釈の注意”χ²分布への近似は、期待度数が小さいセルが多いと不正確になり得ます。「各セルで5程度以上」などはよく使われる目安ですが、表の構造も考えます。意味を保ってカテゴリをまとめる、2×2表なら正確な方法を検討するなど、状況に合う方法が必要です。
割合を100倍した値を、人数のように代入してはいけません。同じ割合でも人数が違えば検定結果が変わるためです。また有意でも、どのセルのずれが大きいか、実際の割合の差がどれくらいかを別に確認します。
2×2表で連続修正なしの独立性検定と、独立二群の比率差0の両側z検定は、Q = z²として対応します。ソフトの修正設定が違うと結果も変わるため、出力の方法名を確認してください。
- 4分類の確率が事前指定された適合度検定の自由度はいくつですか。
- 3×4表の独立性検定の自由度はいくつですか。
- 行合計40、列合計30、全体100のセルの期待度数はいくつですか。
解答・解説
- 3です。パラメータを同じデータから推定した場合は調整が必要です。
- (3−1)(4−1) = 6です。
- 40×30/100 = 12です。