30. 医薬生物学:研究デザイン・効果・交絡
研究方法が推定対象を決める
Section titled “研究方法が推定対象を決める”ここでは架空の研究で統計手法を学びます。コホート研究は曝露から追跡し発症リスクを求め、ケース・コントロール(症例対照)研究は発症の有無で抽出し過去の曝露を比較します。後者では抽出された症例割合から母集団の発症率を直接求められません。介入研究・臨床試験は処置を割り付け、観察研究は自然な曝露を観察します。
無作為割付は交絡を平均的に制御します。盲検化・二重盲検は期待や評価による差を減らす工夫で、無作為化とは別です。プラセボ対照でも背景治療や評価時点をそろえます。主要評価項目、解析対象、欠測対応を事前に定めます。代替(サロゲート)エンドポイントの改善が、真に重要な転帰の改善を保証するとは限りません。
例題:リスクとオッズ
Section titled “例題:リスクとオッズ”各100人の群で、曝露群20人、非曝露群10人にイベントが生じたとします。
リスク差は10パーセントポイント、相対的な増加率は100%。オッズ比はリスク比ではなく、まれな転帰で近似する場合があります。対数ORの近似SEは 。95%区間は 、約 です。
連続指標の変化量は後−前、変化率は(後−前)/前。基準が0近くなら変化率は不安定です。臨床的に重要な差と、統計的な有意差は区別します。
年齢が曝露と転帰の両方に関連するなら、層別解析、標準化、多変量回帰などで扱います。直接標準化は共通の基準人口の重みで年齢別率を平均します。SMRは観測死亡数/基準年齢別率からの期待死亡数。観測12、期待8ならSMR=1.5(100を基準にする表記では150)です。異なる標準化法の数字をそのまま比べないようにします。
Mantel–Haenszelの共通ORは を で割って求めます。層別効果が異なる効果修飾は、交絡を取り除くこととは別に報告します。多重ロジスティック回帰は他の変数を条件付けたORを表し、無条件のORとは必ずしも一致しません。
独立2群の平均差 を検出したい、両群の分散が 、同数とする大標本近似は、各群 。両側5%、80%検出力、 なら各群約62.8、切り上げ63。脱落、割付比、多重性、イベント率を踏まえた設計は別途必要です。
症例対照研究で症例を半数にしたら、母集団の疾病リスクは50%か?
解答・解説
違います。研究者が抽出割合を決めています。一般にリスクの直接推定ではなく、抽出設計に対応するオッズ比などを用います。