19. 分散分析と実験計画
何のために分散で平均の違いを調べるのか
Section titled “何のために分散で平均の違いを調べるのか”3種類の教材を比べるとき、各組のt検定を繰り返すと、全体として誤って違いを見つける機会が増えます。一元配置分散分析は、群の平均同士の違いを、同じ群の中のばらつきと比較する方法です。
H0はすべての母平均が等しい、H1は少なくとも一つが異なることです。棄却しても、どの組同士が違うかは直ちには分かりません。
例題:3群の結果を比較する
Section titled “例題:3群の結果を比較する”| 群 | 観測値 | 人数 | 平均 |
|---|---|---|---|
| A | 4,5,6 | 3 | 5 |
| B | 6,7,8 | 3 | 7 |
| C | 8,9,10 | 3 | 9 |
各群3個の観測値。平均は5・7・9、全体平均7。群の中にもばらつきがあるため、平均の差をその誤差と比べます。
- 青点:観測値
- 橙の横線:各群平均
- 灰色破線:全体平均7
チャートを読み込んでいます。数値は本文・表でも確認できます。
グラフの数値を表で確認する
| 群 | 観測値 | 平均 |
|---|---|---|
| A | 4, 5, 6 | 5 |
| B | 6, 7, 8 | 7 |
| C | 8, 9, 10 | 9 |
学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。
独立な観測、各群の誤差の正規性と等分散を基本の前提とします。同じ人が3条件を受けた場合は独立な一元配置とは違う設計なので、そのまま同じ手順を使いません。
手順1:全変動を群間と群内へ分解する
Section titled “手順1:全変動を群間と群内へ分解する”全体平均は7です。群間平方和は、
群内平方和は各群の平均からのずれを2乗して足し、各群2なので合計6です。全平方和は24+6 = 30になります。
手順2:自由度で割り、F比を作る
Section titled “手順2:自由度で割り、F比を作る”群数k = 3、全体N = 9。群間自由度k−1 = 2、群内自由度N−k = 6です。
| 変動 | 平方和 | 自由度 | 平均平方 | F |
|---|---|---|---|---|
| 群間 | 24 | 2 | 12 | 12 |
| 群内(誤差) | 6 | 6 | 1 | — |
| 全体 | 30 | 8 | — | — |
H0の下でF2,6分布を使い、上側p = 0.008。5%で棄却し、少なくとも一つの母平均が異なる根拠が得られました。
もし群内のばらつきが非常に大きければ、同じ平均差でもFは小さくなります。平均の違いを見るために、ばらつきを比較する理由がここにあります。
モデルとしての一元配置
Section titled “モデルとしての一元配置”μが全体の基準、αjが処理効果、誤差が個々の違いです。識別のために効果の和を0とするなどの制約を置きます。ダミー変数を使った線形回帰として表すこともできます。
統計的に平均が違っても、研究が観察的なら処理の因果効果とは断定できません。無作為割付と他条件の管理が、効果を解釈する土台です。
ブロック化で不要なばらつきを分ける
Section titled “ブロック化で不要なばらつきを分ける”肥料を比較する際、畑の日当たりが違うなら、似た条件をブロックにまとめ、その中で処理を割り付けます。処理と無関係なばらつきを分けることで、処理間の比較を精密にできる場合があります。
無作為化、反復、局所管理というフィッシャーの3原則を、分析前の設計で実現します。データを集めた後に名前だけブロックと付けても、比較条件がそろうとは限りません。
完全な乱塊法でk処理をbブロックすべてに一つずつ置き、加法的モデルを仮定する場合、処理・ブロック・誤差へ分解し、自由度はk−1、b−1、(k−1)(b−1)です。反復のない各セルでは交互作用を独立に推定できないなど、設計上の限界もあります。
結果を報告する
Section titled “結果を報告する”各群の人数・平均・標準偏差、F値と二つの自由度、p値、前提の確認を添えます。どの群が違うかを調べるには多重比較などの追加手順が必要です。「全組が違う」「最も平均の高い群が必ず最良」とは結論づけません。
- 4群、全体20人の一元配置で、群間・群内の自由度を答えてください。
- 群間平均平方15、群内平均平方3ならFはいくつですか。
- 分散分析が有意なら、すべての群の母平均が互いに異なると分かりますか。
解答・解説
- 3と16です。
- 5です。
- 分かりません。少なくとも一つが違うという判断で、組ごとの違いは別に検討します。