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14. 景気循環・インフレと期待

売上の成長をすべて自社施策の効果と判断すると、景気後退時の予算を誤る可能性があります。生産の長期傾向と短期の変動、物価上昇率と物価水準を区別します。

景気循環は経済活動の拡大・後退の変動です。山から谷が後退、谷から山が拡大という整理がありますが、一定周期の正弦波で動くわけではありません。産出ギャップを (Y−Y∗)/Y∗×100(Y-Y^*)/Y^*\times100 と定義すると、潜在産出100・実際95では−5%です。潜在産出は推計値であり、直接観測できる確定値ではありません。

在庫調整、設備投資、金融条件、技術や需要のショック等が変動へ関わります。実物的景気循環(RBC)は技術等の実物ショックと最適な選択、ニューケインジアンは価格硬直性等を重視します。同じ観測パターンが異なる仕組みから生まれることもあり、時系列分析だけで原因を断定しません。

貨幣数量M、流通速度V、物価P、実質産出Yについて MV=PYMV=PY。恒等的な関係としてVを定義する場合と、V安定・長期のY外生等を仮定して貨幣から物価を説明する数量説は別です。

成長率で gM+gV≈π+gYg_M+g_V\approx\pi+g_Y。Mが8%増、V不変、Yが3%増なら、正確な物価上昇率は 1.08/1.03−1≈4.854%1.08/1.03-1\approx4.854\%、差の5%は近似です。短期にMだけでインフレ率が決まるとは限りません。

例題:期待を含むフィリップス曲線

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π=πe−α(u−u∗)+v,α>0\pi=\pi^e-\alpha(u-u^*)+v,\qquad\alpha>0

πはインフレ率、πe\pi^e は期待インフレ率、uは失業率、u∗u^* は自然失業率、vは供給ショックです。各率は%表示とします。πe=2,α=0.5,u=6,u∗=4,v=0\pi^e=2,\alpha=0.5,u=6,u^*=4,v=0 ならπ=1%。失業率を4へ戻すとπ=2%です。

期待が実際の物価上昇へ適応すると、失業を自然率以下に保つためインフレを加速し続ける必要がある、というモデル上の含意になります。期待が調整した長期に、一定のインフレ率と失業率の恒久的な交換関係を想定することはできません。合理的期待は利用可能な情報とモデルに整合的な予想を意味し、各人が常に完全に予測する意味ではありません。

インフレには価格改定や現金管理の負担、相対価格の識別の難しさなどがあります。予想外のインフレは、固定名目契約で債権者から債務者へ実質価値を移す場合があります。デフレは実質債務負担や実質金利を上げることがあります。すべての物価上昇を同じ需要過熱とみなさず、供給ショックも確認します。

インフレ率が5%から2%へ下がるディスインフレは、物価が下がるデフレとは違います。前年物価100→105→107.1なら、上昇率は鈍化しても水準は上がっています。

長期計画では成長の傾向、短期予算では需要・物価の変動を分けます。売価、仕入価格、賃金、借入金利が同時・同率で変わるとは限らないので、項目別のシナリオを置きます。名目と実質と実質金利へ戻って整合性を確認してください。

上のフィリップス曲線で、失業率等を同じにして供給ショックv=2が加わると、インフレ率はいくらですか。

解答・解説

2−0.5(6−4)+2=3%2-0.5(6-4)+2=3\%。需要が弱い失業率でも、供給ショックでインフレ率が高まる場合があります。

学習ガイド