15. 管理図の考え方・使い方
何を監視するのか
Section titled “何を監視するのか”管理図は時間順のデータから、通常の変動と異なる変化の手掛かりを探す道具です。通常の多数の小要因による変動を偶然原因、通常と異なる要因を異常原因として考えます。「偶然」は原因がないという意味ではありません。
読み方を学ぶ架空図。CL10、UCL13、LCL7mmは与えた値。8番目14mmを調べる。実データから限界を計算する方法は次章へ。
- 青点・実線:測定値
- 灰実線:CL10
- 橙破線:UCL13/LCL7
- 規格線ではなく、読み方のために与えた管理限界
チャートを読み込んでいます。数値は本文・表でも確認できます。
グラフの数値を表で確認する
| 測定順 | 測定値(mm) | CL(mm) | UCL(mm) | LCL(mm) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 10 | 10 | 13 | 7 |
| 2 | 9 | 10 | 13 | 7 |
| 3 | 11 | 10 | 13 | 7 |
| 4 | 10 | 10 | 13 | 7 |
| 5 | 10 | 10 | 13 | 7 |
| 6 | 9 | 10 | 13 | 7 |
| 7 | 11 | 10 | 13 | 7 |
| 8 | 14 | 10 | 13 | 7 |
| 9 | 10 | 10 | 13 | 7 |
| 10 | 9 | 10 | 13 | 7 |
学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。
3σの考え方は、通常の変動の下でまれな動きを検知するために用います。ただし全ての管理図で点が正規分布し、厳密に同じ誤警報率になるわけではありません。
解析用と管理用
Section titled “解析用と管理用”過去の工程データで安定性を調べ限界を検討する段階と、定めた限界で今後を監視する段階を区別します。異常点を見つけたら都合よく除外して限界を狭めるのではなく、原因・処置・除外根拠を明確にします。異常に合わせて毎回限界を広げると、変化を見逃します。
群の作り方が大切
Section titled “群の作り方が大切”同じ時点・似た条件の連続した数個を一群として、群内の変動と群間の変化を分けます。異なる設備の値を一群へ混ぜると、設備差が群内ばらつきへ入り、検出したい変化が隠れる場合があります。測定間隔、群サイズ、材料・設備の切替記録を決めます。
管理図の種類は、計量値の群平均と範囲なら –R、不適合品率ならp、不適合品数ならnpなど、観測単位と分布に合わせます。名前が似ていても、不適合数と不適合品数は別です。
限界内なら必ず安定か
Section titled “限界内なら必ず安定か”限界外だけでなく、片側への連続や単調な傾向なども異常の兆候になります。採用するルールと点数は標準・管理計画に従って定めます。ルールを増やすと検出しやすくなる一方、誤警報も増えるため、結果を見て後付けで都合よく選びません。
限界外が出たら、まず記録と測定を確認し、影響範囲の識別、関係者への連絡、原因調査・対策を決めた手順で行います。管理図が原因を自動的に示すわけではありません。
規格との違い
Section titled “規格との違い”規格限界は顧客・設計などの要求、管理限界は工程の統計的変動に関する線です。工程が安定していても規格に合わないことがあり、規格内でも変化を検知することがあります。適合・安定・工程能力をそれぞれ別の問いとして扱います。
統計検定とつなげる
Section titled “統計検定とつなげる”時間順のデータ、標本平均の分布が背景です。検定と同様にまれな結果を判断に使いますが、継続監視には反復判定の性質があるため、通常の単発検定と同一視しません。
工程が安定したら、すべての製品が仕様に適合すると保証されるか?
解答・解説
されません。安定した分布でも規格外が生じ得ます。規格との位置・ばらつきの関係を工程能力で評価します。