13. 同時手番・展開型ゲーム
何のために学ぶか
Section titled “何のために学ぶか”他社が値下げするかどうかで、自社の最善策が変わる場合があります。ゲーム理論は、プレイヤー、行動、情報、手順、利得を明確にして、互いの反応を考える道具です。同時手番とは、時計上の同時性よりも、相手の選択を知らずに選ぶことが中心です。
例題:値下げ競争の利得表
Section titled “例題:値下げ競争の利得表”各セルは(Aの利益、Bの利益)で、大きいほど望ましいとします。
| A\B | 通常価格 | 値下げ |
|---|---|---|
| 通常価格 | (4,4) | (1,6) |
| 値下げ | (6,1) | (2,2) |
Bが通常価格ならAは6>4で値下げ、Bが値下げでも2>1で値下げします。Bも同じです。相手のどの行動にも望ましい「値下げ」が両者の厳密な支配戦略となり、(値下げ、値下げ)がナッシュ均衡です。どちらも自分だけ変更して利益を増やせません。
両者通常価格の(4,4)の方が双方によいのに、(2,2)が均衡となる構造は囚人のジレンマです。ナッシュ均衡は、社会的な最良や、公平を意味しません。共同利益の最大化と、単独で逸脱する誘因は別です。
混合戦略:確率で選ぶ
Section titled “混合戦略:確率で選ぶ”表裏合わせのゼロ和ゲームで、Aは一致なら+1・不一致なら−1、Bはその逆を得るとします。純粋戦略の均衡はありません。相手が表を選ぶ確率を とすると、Aの表の期待利得は 、裏は 。両方が無差別になる を相手に選ばせるように、自分も確率1/2ずつで選びます。
混合戦略の計算では、自分の混合確率は相手を無差別にする条件から求めます。両者が50%だから常に均衡、という一般則ではありません。期待値は確率分布の考え方とつながります。
展開型ゲームと信用できる行動
Section titled “展開型ゲームと信用できる行動”参入企業Eが「参入/不参入」を選び、参入を見た既存企業Iが「対抗/受容」を選ぶとします。利得を(E,I)で、不参入(0,3)、参入・対抗(−1,−1)、参入・受容(1,1)とします。
最後の節から考える後ろ向き帰納法では、参入後のIは なので受容。これを見越したEは なので参入します。したがって部分ゲーム完全均衡は「参入、参入時は受容」です。
「参入したら対抗する」という脅しで不参入を支える戦略は、標準形ではナッシュ均衡となる場合がありますが、参入後に実行したくない脅しなので部分ゲーム完全ではありません。戦略には、実際には到達しない節での行動も含まれます。
管理会計とのつながり
Section titled “管理会計とのつながり”部門評価や報酬制度では、個人・部門が指標を最大化した結果、全社の目的から外れることがあります。利得表で何が評価されるかを整理すると、制度設計の問題が見えます。ただし、実際の関係者の利得や情報を正しく把握することが前提です。
参入ゲームで「参入・対抗」のIの利得だけが2になった場合、後ろ向き帰納法の結果はどう変わりますか。
解答・解説
参入後のIは対抗2>受容1なので対抗。Eは参入すると−1、不参入なら0なので不参入を選びます。部分ゲーム完全な戦略は「不参入、参入した場合は対抗」です。