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12. 開放経済の政策と為替制度

同じ財政・金融政策でも、為替が動けるか、中央銀行が相場を維持するかで効果が変わります。海外市場や外貨調達に依存する企業では、国内需要だけでなく為替を通じた影響も予算へ入れる必要があります。

マンデル=フレミングは、短期の開放経済版IS–LMです。ここでは、小国、物価固定、完全資本移動、外国金利一定、為替予想等を単純化して i=i∗i=i^* が成り立つ静学モデルを使います。実際には金利平価の予想為替やリスクプレミアムも重要です。

財市場は Y=C(Y−T)+I(i)+G+NX(E,Y,Y∗)Y=C(Y-T)+I(i)+G+NX(E,Y,Y^*)、貨幣市場は M/P=L(Y,i)M/P=L(Y,i)。Eは円/外貨で、上昇は自国通貨安です。

変動相場制:金融拡張と財政拡張

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金融拡張で金利に低下圧力がかかると資金流出・通貨安が起き、純輸出が増えて需要を支えます。完全資本移動の極端なモデルでは金利は外国金利へ戻り、所得が増えます。

財政拡張では逆に資金流入・通貨高が純輸出を抑えます。同じモデルでM・Pと外国金利が固定なら、LMが所得を固定するため、純輸出減が政府支出増を相殺します。これは強い仮定のもとの結果で、現実の財政乗数が常に0という意味ではありません。

固定相場制:相場を維持する介入

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財政拡張による通貨高圧力に対し、中央銀行が外貨を買い自国通貨を供給すると、貨幣供給も増えて所得を支えます。逆に独立した金融拡張は通貨安圧力を生み、相場維持の外貨売り・通貨吸収で相殺されます。十分な準備と信認、完全資本移動、非不胎化介入等のモデル条件です。

制度財政拡張金融拡張
変動相場・完全資本移動通貨高・純輸出減が相殺通貨安・純輸出増が波及
固定相場・完全資本移動相場維持の貨幣供給が支える相場維持の介入が相殺

例題:貨幣市場から所得を読む

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実質貨幣需要を 0.5Y−10i0.5Y-10i、外国金利5%、M/P=100M/P=100 とすると、100=0.5Y−50100=0.5Y-50 よりY=300。変動相場でM/Pを120へ増やすとY=340です。財市場を満たすよう為替と純輸出が調整すると仮定しています。

元の貨幣供給のまま財政支出を増やしても、i=5とLMが固定ならYは300。固定相場でY=340を支える場合は、M/P=120が必要です。各市場の式を確認し、政策ラベルだけで答えを暗記しないようにします。

固定相場、自由な資本移動、独立した金融政策の3つを同時に完全には満たせない、という整理が政策のトリレンマです。どの制約を緩めるかで政策余地が変わります。

企業の管理会計では、円建て収益と外貨建て収益、国内金利と外貨調達金利を分けます。為替制度の違いだけでなく、送金・資本移動の制約もシナリオに織り込みます。為替の基本とあわせて確認してください。

上のモデルでi=5、Y=360を支える実質貨幣供給はいくらですか。

解答・解説

M/P=0.5×360−10×5=130M/P=0.5\times360-10\times5=130。金利・物価・貨幣需要が同じという条件付きの計算です。

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