8. 計画のための予想技法
何のために必要か
Section titled “何のために必要か”利益計画には販売数量、単価、活動量、費用の見通しが必要です。予想は希望を数値に置くことではなく、利用できる情報と仮定から作り、外れ方を検証して更新する作業です。数値目標と、中立的な予測は区別します。
例題:費用を固定部分と変動部分へ分ける
Section titled “例題:費用を固定部分と変動部分へ分ける”別の月次データで、数量xと総費用yの関係を と近似します。
| 月 | 活動量x(個) | 実際総費用y(円) |
|---|---|---|
| 1 | 100 | 180,000 |
| 2 | 200 | 270,000 |
| 3 | 300 | 340,000 |
高低点法では活動量の最大・最小を選び、 円/個、 円。400個なら420,000円です。費用の最高・最低を無条件に選ぶのではありません。2点に依存するため、異常月の影響を受けやすい方法です。
最小二乗法で全データを使う
Section titled “最小二乗法で全データを使う”本例は 。400個の予測は約423,333円です。観測値と予測の差が残差です。切片を固定費、傾きを単位変動費と読むには、活動の範囲、価格変化、工程変更等の条件を確認します。傾きがあるだけで因果関係が証明されるわけではありません。
3か月の学習用データと最小二乗直線。実線は観測範囲100〜300個、破線は300〜400個への外挿。400個で約42.33万円です。確率区間を示す図ではありません。
- 青点:3か月の実績
- 橙実線:観測範囲の回帰直線
- 橙破線:外挿(予測)
- 縦軸:万円。表は円
チャートを読み込んでいます。数値は本文・表でも確認できます。
グラフの数値を表で確認する
| 活動量(個) | 実際費用(円) | 回帰予測(円) |
|---|---|---|
| 100 | 180000 | 183333.3333333333 |
| 200 | 270000 | 263333.3333333333 |
| 300 | 340000 | 343333.3333333333 |
学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。
回帰の詳細は統計検定3級、複数要因の分析は統計検定2級へ。外挿先で追加設備や残業が必要なら、直線モデルは変わり得ます。
時系列の基本技法
Section titled “時系列の基本技法”月次販売数量が100・120・110・150個なら、次月の3か月移動平均予測は 個です。平滑化できますが、トレンドには遅れます。
単純指数平滑は 。α=0.3、当月実績150、当月予測120なら、次月予測129です。大きいαほど最近の変化へ敏感になりますが、偶然変動にも反応します。
季節性があるなら、例えば季節調整前の基準見通し100に季節指数1.2を掛けて120とします。移動平均・指数平滑だけで季節やトレンドを十分扱えるとは限りません。時系列データで期間・季節・変化率を確認します。
予測を評価し、判断へ使う
Section titled “予測を評価し、判断へ使う”著書に学ぶ:売上を分解して活動と制約を考える
Section titled “著書に学ぶ:売上を分解して活動と制約を考える”著書『中小企業のための「売上計画」の作り方』では、時系列の延長だけでなく、商品・取引先、客数と客単価、顧客・競合・市場環境、業種ごとの能力を組み合わせて計画する視点を扱っています。数値の精度と計画の手間は、意思決定の目的に合わせて選びます。
例えばBtoBでは、同じ商品でも顧客ごとに数量・単価・出荷頻度が異なります。販売数量を顧客×商品ごとに見積もり、数量×単価を合計して売上計画を作ります。その数量から製造・在庫・出荷件数を予想すると、必要な材料・段取り・配送費につなげられます。固変分解の特集に、売上675,000円・出荷50件の独自例を掲載しています。
飲食店なら、時間帯別に席数・平均着席人数・回転数・客単価を分ける方法があります。ただし同じ席の利用を重複して数えず、滞在時間・入替時間・営業時間からみた能力、曜日や季節の違いと照合します。製造・卸売でも、期首在庫、仕入・生産、保管、出荷・配送の能力を期間とタイミングをそろえて確認します。
売上への影響要因を考える際は、商品・価格・販路など自社が働きかけられる項目と、競合・顧客・人口・景気などを分けて仮説を立てます。時系列予測や回帰の結果は、施策の実行可能性や外部環境を検討する材料にします。統計的に有意でないことは「影響がない」証明ではなく、相関や有意な係数も、それだけで施策の因果効果や将来の確実性を保証しません。
新商品などで実績が乏しい場合、顧客ヒアリング、案件別の積上げ、専門家の見通しも使います。例えば案件金額と成約確率の積を足す方法では、確率の根拠と案件の重複、納期の偏りを確認します。判断による修正は元の統計予測と分けて記録し、後からどちらが精度改善に役立ったかを検証します。
将来のデータを使って過去を予測するデータ漏洩を避け、時系列の順序を保った検証をします。学習に使っていない400個の月の費用が430,000円なら、回帰予測の絶対誤差は約6,667円です。1件だけでは精度を安定評価できないので、複数時点でMAE等を確認します。MAPEは実績0や小さい値に弱いことにも注意します。
基準・上振れ・下振れの数量や原価率を置き、利益・資金の影響を計算します。シナリオ幅をそのまま統計的な信頼区間・予測区間とは呼びません。DXで注文日、活動日、費用計上日、単位を整え、予測の更新日と前提を残します。
高低点法の式で250個の費用予測はいくらですか。これは実際の支払額を保証しますか。
解答・解説
100,000+800×250=300,000円。過去の関係が有効な範囲での推定であり、価格・操業条件や偶然変動により外れます。費用の計上額と現金支払時期も違い得ます。