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10. 独立と条件付き確率

何のために条件を付けて確率を考えるのか

Section titled “何のために条件を付けて確率を考えるのか”

全校のバス通学者の割合と、遅刻した人の中のバス通学者の割合は同じとは限りません。得られた条件を使って考える対象全体を絞り直すのが条件付き確率です。

一方、過去の硬貨の結果が次の結果の確率を変えないような関係を独立といいます。「条件によって確率が変わるか」を理解すると、戻さないくじと独立な繰り返しを区別できます。基本の樹形図・余事象は4級の確率で復習できます。

Aが起きたという条件の下でBが起こる確率を P(B∣A)P(B\mid A) と書きます。

P(B∣A)=P(A∩B)P(A),P(A)>0P(B\mid A)=\frac{P(A\cap B)}{P(A)},\qquad P(A)>0

A∩BA\cap B は「AかつB」です。全体のうちAの部分だけに注目し、その中にあるBの割合を求めています。

例題1:クロス集計表で分母を確かめる

Section titled “例題1:クロス集計表で分母を確かめる”

100人の通学手段と遅刻の有無を整理しました。

通学手段遅刻あり遅刻なし合計
バス122840
バス以外65460
合計1882100

この100人から一人を等しい確率で選ぶとします。Aを「バス」、Bを「遅刻あり」とすると、

  • 全体の遅刻確率:P(B)=18/100=0.18P(B)=18/100=0.18。
  • バスという条件の下で遅刻:P(B∣A)=12/40=0.30P(B\mid A)=12/40=0.30。
  • 遅刻という条件の下でバス:P(A∣B)=12/18=2/3P(A\mid B)=12/18=2/3。
  • バスかつ遅刻:P(A∩B)=12/100=0.12P(A\cap B)=12/100=0.12。

同じ12人が分子でも、分母は40・18・100と違います。30%と約66.7%は向きを入れ替えた別の条件付き確率です。一般に P(B∣A)P(B\mid A) と P(A∣B)P(A\mid B) は等しくありません。

乗法:一つの経路の確率を求める

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定義を変形すると、

P(A∩B)=P(A)P(B∣A)P(A\cap B)=P(A)P(B\mid A)

です。例題なら0.4 × 0.3 = 0.12。樹形図では、最初にAへ進む枝と、Aの後にBへ進む枝の確率を掛けています。独立でなくても、その段階の条件に合う確率を掛ければ使えます。

独立:条件を知っても確率が変わらない

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二つの事象が独立なら、P(B∣A)=P(B)P(B\mid A)=P(B) となり、

P(A∩B)=P(A)P(B)P(A\cap B)=P(A)P(B)

が成り立ちます。例題の遅刻は全体18%、バス内30%なので、表の割合を確率とみなすこのモデルでは、バスと遅刻は独立ではありません。ただし、バスが遅刻の原因だと証明されたわけではありません。

排反と独立は違います。 排反は同時に起こらないことです。正の確率を持つ二つの排反事象は、片方が起こるともう片方が起きなくなるので、独立ではありません。

例題2:戻す場合と戻さない場合

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赤2個・白3個の袋から等しい確率で2回取り出します。最初の玉を戻し、よく混ぜて次を取るなら、毎回赤の確率は2/5です。独立として扱え、両方赤の確率は2/5 × 2/5 = 4/25です。

戻さない場合、最初に赤を取った後は赤1個・白3個です。2回目が赤の条件付き確率は1/4になり、両方赤は2/5 × 1/4 = 1/10。最初の結果で残りが変わるため、同じ確率をそのまま掛けません。

色が違う確率を求めるなら、赤→白と白→赤を足します。戻さない場合は2/5 × 3/4 + 3/5 × 2/4 = 3/5です。

P(A∪B)=P(A)+P(B)−P(A∩B)P(A\cup B)=P(A)+P(B)-P(A\cap B)

A∪BA\cup B は「AまたはB」です。重なりを二重に数えないよう引きます。排反なら重なりが0なので、そのまま足せます。

独立な硬貨3回で少なくとも1回表なら、全部裏の余事象を使い、1−(1/2)3=7/81-(1/2)^3=7/8 です。表が出る確率を3回分足すと、表が複数回出る結果を重複して数えてしまいます。

100人のうちA教室に30人、B教室に70人がおり、それぞれ参加希望率が80%と40%でした。全体の希望者は30 × 0.8 + 70 × 0.4 = 52人なので、全体の希望率は**52%**です。

80%と40%の単純平均60%にはなりません。教室の人数という重みが違うためです。また希望者のうちA教室の割合は24/52 ≈ 46.2%です。条件付き確率でも、分子・分母の人数に戻ると誤りを防げます。

  1. P(A)=0.4P(A)=0.4、P(A∩B)=0.1P(A\cap B)=0.1 のとき P(B∣A)P(B\mid A) はいくつですか。
  2. 独立なA・Bで確率が0.3と0.5なら、両方起こる確率と、少なくとも一方が起こる確率はいくつですか。
  3. 当たり1枚・外れ3枚から戻さず2回引きます。最初が外れだったという条件の下で、次が当たりの確率は何ですか。
解答・解説
  1. 0.1/0.4 = 0.25です。
  2. 両方は0.3 × 0.5 = 0.15。少なくとも一方は0.3 + 0.5 − 0.15 = 0.65です。
  3. 残り3枚に当たり1枚なので1/3。最初の結果を知る前の確率と区別します。