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14. 仮説検定の考え方

標本平均や割合は、帰無仮説が正しくても偶然にずれます。検定では、その仮説の下で、観測された程度以上に対立仮説の方向へ離れた結果がどれくらい起こるかを評価します。

目的は仮説を見直す根拠の強さを示すことです。「差が実用的に大きいか」「因果関係があるか」は別の問いで、効果の大きさ・区間・調査設計も必要になります。

  1. 対象と母数を決め、帰無仮説H0と対立仮説H1を書く。
  2. 両側か片側か、有意水準αをデータを見る前に決める。
  3. 前提に合う統計量と、そのH0の下の分布・自由度を選ぶ。
  4. 観測された統計量からp値または棄却域を求める。
  5. 棄却・不棄却を述べ、差の大きさと限界も説明する。

母数が基準と違うかなら両側、大きい方向だけに関心があるなら上側片側です。片側検定の厳密な帰無仮説はμ ≤ μ0などで、その境界μ = μ0を用いて評価します。方向は結果を見て有利な方へ変えません。

H0とモデルの前提の下で、観測した程度以上に対立仮説を支持する統計量が得られる確率です。p値0.03は「H0が正しい確率3%」「今回の結論が誤る確率3%」ではありません。

標準正規に従うz = 2なら、上側片側p値は約0.0228、両側なら約0.0455です。同じデータでも問いと方向でp値が変わります。α = 0.05よりpが小さければ棄却します。

真の状態H0を棄却しないH0を棄却する
H0が正しい正しい判断第1種の過誤
H0が偽第2種の過誤違いを検出した判断

第1種の過誤の率をαで制御します。第2種の過誤の確率をβ、特定の対立仮説の下で棄却できる確率1−βを検出力と呼びます。検出力は、真の差の大きさ、標本の大きさ、ばらつき、有意水準、検定の方向に依存します。

αを小さくすると誤って棄却しにくくなりますが、他条件が同じなら違いを検出しにくくもなります。すべての誤りを同時にゼロにできるわけではありません。

母標準偏差が既知で10、n = 100。H0の境界μ = 50に対して、μ > 50の上側5%検定をします。標本平均のSEは1、上側5%点は1.645なので、棄却するのは標本平均が51.645より大きい場合です。

もし真の母平均が52なら、平均の分布はN(52,1)なので、検出力は、

Pμ=52(Xˉ>51.645)=P(Z>−0.355)≈0.639P_{\mu=52}(\bar X>51.645) =P(Z>-0.355)\approx0.639

約63.9%です。真に2点の差があっても、約36.1%は棄却できないことが分かります。検出力は「棄却した結果が正しい確率」ではなく、あらかじめ想定した差がある場合の検出確率です。

既知σの上側片側検定で、差δを有意水準α、検出力1−βで検出する計画なら、

n≈{(z1−α+z1−β)σδ}2n\approx\left\{\frac{(z_{1-\alpha}+z_{1-\beta})\sigma}{\delta}\right\}^2

が使えます。σ = 10、δ = 2、α = 0.05、検出力80%なら、約154.6なので155以上に切り上げます。両側ではz1−α/2を使うなど、計画した検定に合わせます。これは前提に基づく計画値で、無回答や調査の偏りを補うものではありません。

棄却しないことと、同じだと証明すること

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p = 0.20なら、5%で棄却する根拠が十分ではありません。しかし、標本が小さく違いを検出できないだけかもしれません。「有意でない=等しい」は誤りです。

逆に、非常に大標本なら小さな差でも有意になることがあります。例えば平均差0.01が重要かは、測定単位や実用的な基準次第です。p値だけでなく推定値、信頼区間、人数、前提を報告します。

多数の検定を繰り返し、都合よく有意な結果だけ選ぶと、全体としての誤りが増えます。主要な問いを事前に決め、探索的な結果はそのように区別します。信頼区間との対応も、同じモデル・両側水準・方法で比較します。

  1. p値0.04なら、H0が正しい確率は4%ですか。
  2. 真の差と他条件を同じにして標本の大きさを増やすと、通常は検出力はどうなりますか。
  3. H0が偽なのに棄却しない誤りを何と呼びますか。
解答・解説
  1. 違います。H0の下での、観測以上に対立側へ極端な結果の確率です。
  2. 一般に上がります。標準誤差が小さくなるためです。
  3. 第2種の過誤です。