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21. 投資を伴う意思決定

長期投資は、時間と資金の流れを比較する

Section titled “長期投資は、時間と資金の流れを比較する”

設備・システム・店舗への投資は、現在の支出と将来の収益・費用・資金拘束を伴います。会計上の利益だけでなく、選択肢によって増減するキャッシュフローとその時期を比べます。

例題:税と減価償却を含む設備投資

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設備取得100万円を今支払い、2年間使って残存価値0とします。各年の売上増から現金費用増を引いた金額は70万円、定額減価償却は年50万円、税率30%。各年の利益に課税され、税効果を利用でき、運転資金・借入金利等はこの例ではないと仮定します。単位は万円です。

税引後営業CF=(70−50)(1−0.3)+50=64\text{税引後営業CF}=(70-50)(1-0.3)+50=64

利益に税を計算してから非資金費用の償却50を戻します。同じ値は 70(1−0.3)+50×0.3=6470(1-0.3)+50\times0.3=64。償却そのものが現金収入ではなく、税額を減らす効果を、利用可能と仮定して計算しています。

割引率10%、各年末のCF64万円なら、

NPV=−100+641.1+641.12≈11.07万円NPV=-100+\frac{64}{1.1}+\frac{64}{1.1^2}\approx11.07\text{万円}

NPVが正なので、設定した10%の要求収益率を上回る例です。IRRはNPVを0にする割引率で約18.16%。単純回収期間は 100/64=1.5625100/64=1.5625 年、年内に均等に回収すると仮定した値です。割引回収期間は、1年目の現在価値約58.18、2年目約52.89から約1.79年です。

割引率とNPVの関係

初期投資100万円、1年末・2年末に各64万円の学習例。割引率10%のNPVは約11.07万円、約18.16%でNPVが0になります。

  • 青実線:割引率ごとのNPV
  • 丸:10%のNPV約11.07万円と、NPVゼロのIRR約18.16%
  • 初期−100、1年末+64、2年末+64。単位は万円
グラフの数値を表で確認する
割引率(%)NPV(万円)
028
519.0023
1011.0744
154.0454
18.1626369141520
20-2.2222
25-7.84
30-12.8994

学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。

会計的投資利益率ARRは、例えば税引後会計利益14万円を平均投資額50万円で割ると28%。初期投資額100万円を分母にすれば14%です。償却・分母・期間の定義を必ず示し、ARRとIRRを混同しません。

指標主な利点見落としやすい点
NPV金額と時間価値で価値増分を比較割引率とCFの予測に依存
IRR利回りとして理解しやすいCFの符号が複数回変わると複数解・解なしがあり得る
回収期間回収までの時間を把握回収後のCFを無視。単純法は時間価値を無視
ARR会計利益と資産に結び付けやすい定義差、非資金項目、時間価値

規模・期間の違う互いに排他的な案では、IRRの高い案がNPVも最大とは限りません。投資額・期間・資本制約・代替案を明示して比較します。

売上増、現金費用の増減、税、設備取得、運転資金の増減と回収、売却・撤去の残存価値を時点ごとに計上します。今後支払っても回避できない過去の埋没費用は除き、既存設備の売却額や他用途を失う機会費用は関連する場合があります。

例えば追加運転資金10万円が今必要で、2年末に全額回収されるなら、初期CFは−110、2年末CFは74。上記と同じ割引率では、NPVは −110+64/1.1+74/1.12≈9.34-110+64/1.1+74/1.1^2\approx9.34 万円です。売掛金や在庫が増えた時点と回収時点の両方を入れます。

企業全体へ帰属する事業CFをWACCで割り引く場合、通常は借入による入金・元本返済・支払利息を事業CFへ再度入れません。資金調達の効果との二重計上に注意します。一方、株主へ帰属するCFを用いるなら自己資本コスト等、CFに対応する割引率を使います。名目CFと名目割引率、実質CFと実質割引率もそろえます。

リスク・実行可能性・管理会計との接続

Section titled “リスク・実行可能性・管理会計との接続”

販売数量・単価・稼働率・原価・納期の基準、上振れ、下振れを用意し、損益だけでなく最低現金残高、返済、能力も確かめます。売上見通しと活動量の分解は著書の売上計画や予想技法とつながります。

戦略的な顧客価値、品質、安全、人材への影響や撤退可能性も、金額へ換算しきれない条件として説明します。設備の空き能力、在庫、データ収集体制を確認し、投資後も実績と仮定を検証します。単純な「ROIが高い」だけで長期投資を決めないことが大切です。

各年末CFが50万円に下がり、その他は上記と同じならNPVはいくらですか。

解答・解説

−100+50/1.1+50/1.12≈−13.22-100+50/1.1+50/1.1^2\approx-13.22 万円。下振れすると、10%で評価したNPVは負になります。