16. 資金調達と資金計画
利益計画と資金計画をつなげる
Section titled “利益計画と資金計画をつなげる”黒字の事業でも、入金より支払が先なら資金が不足します。設備は完成前に支払が始まり、売上の回収まで時間がかかります。何に、いつ、いくら必要かを計画し、調達方法と返済可能性を検討するのが資金調達の出発点です。
資金の使い道と調達方法
Section titled “資金の使い道と調達方法”| 分類 | 内容 | 検討すること |
|---|---|---|
| 運転資金 | 在庫・売掛金・給与・仕入支払等 | 回収と支払のずれ、季節変動 |
| 設備資金 | 機械・店舗・システム等 | 投資額、稼働開始、耐用期間、回収 |
| 借入等の負債 | 元本返済・利息が必要な資金 | 金利、返済日、担保、財務制限条項等 |
| 出資・自己資本 | 出資者からの資金、内部に蓄積した利益等 | 議決権・持分、期待収益、配当方針 |
| その他 | リース、売掛債権の利用、補助制度等 | 実質負担、契約、資金化時期、条件 |
内部留保は過去の利益が純資産に残る概念で、同額の現金が必ず保管されているという意味ではありません。B/Sで現金・売掛金・在庫・設備への資金の形を確認します。出資に原則として借入のような定期元本返済はありませんが、費用がないという意味ではありません。
例題:返済に使える資金を試算する
Section titled “例題:返済に使える資金を試算する”月次で期首現金200万円、営業活動からの入金300万円、営業支払250万円、利息10万円、借入元本返済20万円、設備支払100万円、新規借入50万円とします。税・その他の収支は省略し、すべて当月の受払です。
営業利益が黒字かだけでなく、最低手元資金を確保できるか、翌月以降も返済できるかを確認します。最低残高180万円を必要とする方針なら、期末時点で10万円不足します。支払日が借入実行日より先なら、月末170万円でも途中で不足する可能性があります。
返済能力と資本コスト
Section titled “返済能力と資本コスト”DSCRは返済原資を元利返済額で割る指標として使われますが、返済原資の定義は資料・金融機関により異なります。例えば利息・元本返済前に利用できる年間キャッシュフロー120万円、年間利息20万円・元本60万円なら、ここでは 倍です。元本返済後の現金を分子にして、同じ返済額を再び割ることはしません。必要な運転資金・維持投資や下振れケースも検討します。
負債600・自己資本400をそれぞれ時価の資金構成とし、税引前負債コスト3%、限界税率30%、自己資本コスト8%とする単純な例で、負債利息の税効果を使えると仮定すると、
実務では市場価値比率、税効果を利用できる条件、借入条件、対象事業のリスクを確認します。自己資本コストは会計上の支払利息とは異なる、投資家が求める収益率の概念です。WACCをすべての投資へ無条件に使うことはできません。投資判断では事業の増分CFとの整合を考えます。
実務で確認すること
Section titled “実務で確認すること”月別の売上・回収・支払・在庫・設備・元本返済を資金繰り表へ落とし、基準・下振れのケースを作ります。短期の資金不足に必要な額と、長期設備を支える資金を区別し、条件・手数料・保証・返済余力を比較します。キャッシュフロー分析と予算を参照してください。
上の月次例で、売上回収が予定より30万円遅れると、他が同じ場合の期末現金はいくらですか。
解答・解説
170−30=140万円。利益上の売上が同じでも、その月の入金が遅れると資金繰りは変わります。