5. 時系列データ
何のために時間のつながりを調べるのか
Section titled “何のために時間のつながりを調べるのか”月別売上や毎日の測定値には、成長、季節的な繰り返し、短期的な上下が混ざっています。時間の順序を無視して独立なデータとして扱うと、変化を読み違えたり、不確実さを小さく評価したりする可能性があります。
2級では、増減を倍率でまとめる幾何平均と、前の値との関連を示す系列相関まで扱います。元の値、期間、単位をそろえる基本も忘れないようにしましょう。
成長率と指数化
Section titled “成長率と指数化”値が100から120なら成長率20%、基準を100とする指数120です。120から90なら成長率−25%、最初の100から見た指数は90です。連続する変化は倍率で掛けます。
ここで は各期間の増減率の小数表示です。異なる基準の指数を直接比べず、同じ基準に直します。営業日数や季節も比較条件の一部です。
例題1:平均成長率は算術平均ではない
Section titled “例題1:平均成長率は算術平均ではない”1年目に20%増、2年目に20%減なら、最終倍率は1.2 × 0.8 = 0.96です。2年間を一定の年間成長率で表すには、
すなわち年間約2.02%減です。20%と−20%の単純平均0%ではありません。正の倍率を対象に幾何平均を使います。売上が0や負を含む場合は、同じ式を無条件に使えません。
一般にT期間の年平均成長率は です。各期間の長さが同じかも確認します。
トレンドと平滑化
Section titled “トレンドと平滑化”トレンドは長期的な上昇・下降の傾向です。移動平均は隣り合う一定期間を平均し、区間をずらして短期変動をならします。12,18,15,21,24 の中央3項移動平均は15・18・20です。
中央型は将来側の値が必要なので最新時点では計算できません。過去だけを使う移動平均とは位置と解釈が違います。平均する期間を長くすれば細かな上下は消えますが、変化に気づきにくくなります。4級の移動平均の実図も参照してください。
系列相関:少し前の値と似ているか
Section titled “系列相関:少し前の値と似ているか”値が高い日の次の日も高いなら、近い時点に正の関連があるかもしれません。h時点離れた値同士の関連をラグhの自己相関と呼びます。
説明用の標本自己相関の一つの定義は、
です。分母や平均の取り方には実装上の違いもあるため、ソフトの定義を確認します。ラグが大きいほど組になる記録が少なくなります。
例題2:コレログラムを読む
Section titled “例題2:コレログラムを読む”8時点の値を 10,12,13,12,10,8,7,8 とします。平均10、分母の偏差の2乗和は34です。ラグ1の積和24なので約0.706、ラグ2は4/34 ≈ 0.118、ラグ3は−12/34 ≈ −0.353、ラグ4は−17/34 = −0.5です。
8時点の値から計算。ラグ0は1、ラグ1は約0.706、2は約0.118、3は約−0.353、4は−0.5。棒の高さが各ラグの標本自己相関です。
- 系列:10, 12, 13, 12, 10, 8, 7, 8
チャートを読み込んでいます。数値は本文・表でも確認できます。
グラフの数値を表で確認する
| ラグ | 標本自己相関 |
|---|---|
| 0 | 1 |
| 1 | 0.705882 |
| 2 | 0.117647 |
| 3 | -0.352941 |
| 4 | -0.5 |
学習用のデータ・理論値。狭い画面ではグラフを横にスクロールできます。
ラグ1が正なので近い時点は同じ側に偏る傾向、ラグ4が負なので4時点離れると反対側になりやすい形です。ただし8個だけの例示で、将来も同じ周期が続くと証明したわけではありません。
傾向による見かけの関連と推測の注意
Section titled “傾向による見かけの関連と推測の注意”二つの系列がどちらも年々増えていると、直接の関係がなくても高い相関が出ることがあります。時間のトレンドや季節を考慮し、差分や変換が必要かを検討します。
また、自己相関のある日々の記録を独立な標本とみなし、通常の標準誤差を使うと誤る場合があります。「100日の記録だから独立な100人と同じ」と考えず、データの構造に合う推測方法が必要です。
- 10%増の翌年に10%減となった場合、2年間の合計増減率はいくつですか。
- 4年間で100から121になったとき、年間一定の平均成長率の式を書いてください。
- コレログラムのラグ1が大きく正なら、何が示唆されますか。
解答・解説
- 1.1 × 0.9 = 0.99なので1%減です。
- 、約**4.88%**です。
- 隣り合う時点の値が同じ方向に偏る傾向です。独立性を無条件に仮定せず、トレンドなどの影響も確認します。