STP分析とは
前回(STP分析①:市場細分化)に引き続き、STP分析について解説したいと思います。
STPとは、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの略で。
簡単言えば、市場を細分化して、目標を絞って、自分の居場所を決める、というものになります。
- S:Segmentation 日本語では「市場細分化」と呼ばれ、主に自分の戦っている市場を更に分割して考える項目です。(本件)
- T:Targeting 目標となる市場や、目標となる顧客を決める項目です。
- P:Positioning 自社や自社の製品・サービス・ブランドなどが、どのように見られているか、どのように見せたいかを決める項目です。
前回で、自社の戦う市場を細分化する作業ができたと思います。
そこで、今回はターゲティングです。
ターゲティングでは効果的なターゲット市場(標的市場)を定める作業を行います。
ターゲティングとは
ターゲティングとは、セグメンテーション(市場細分化)によって分けられた市場セグメントの中から、自社の製品やサービスに最も適したターゲット市場を選定するプロセスです。
(※前回(STP分析①:市場細分化)の通り市場細分化の作業では、デモグラフィックス基準、サイコグラフィックス基準、地理基準、行動基準でかなり細かく分類したと思います)
ターゲティングのプロセスでは、企業のリソースを最も効果的に活用できるセグメントを選び出し、そのセグメントに対して集中してマーケティング活動を行います。
ターゲティングの重要性
ターゲティングの目的は、顧客のニーズや特性に最適な製品やサービスを提供することで、競争優位を築くことです。すべての顧客をターゲットにするのではなく、特定のセグメントに絞ることで、以下のようなメリットがあります。
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リソースの最適化
マーケティング予算やリソースを効果的に使用し、最大の成果を得ることができます。
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メッセージの明確化
特定のセグメントに向けたメッセージを作成することで、顧客に対してより強力で共感を得やすいコミュニケーションが可能になります。
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ブランドロイヤリティの向上
ターゲット市場のニーズに応えることで、顧客満足度を高め、ブランドへの忠誠心を育むことができます。
ターゲティングの戦略的アプローチ
ターゲティングにはいくつかの戦略的アプローチがあります。これらのアプローチは、選定したターゲット市場の広さや特性に基づいて異なります。
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無差別型マーケティング(Undifferentiated Marketing)
無差別型もしくはフルカバレッジ(Full Coverage)と呼ばれる、マス・マーケティング(市場全体)を1つのセグメントとして捉え、すべての顧客に同じ製品やサービスを提供します。
このアプローチは、大規模な市場を対象とする場合に適していますが、顧客の多様なニーズに対応することが難しいという欠点もあります。
基本的には大企業など、力のある企業が選択する手法です。
※前回(市場細分化)のアパレルの新ブランドの考え方で言えば、男女を問わず全年齢に、安価品から高級品まで全て揃えるような戦略です。
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差別型マーケティング(Differentiated Marketing)
複数のセグメントをターゲットにし、それぞれに異なる製品やサービスを提供します。(それでも、共通したリソースを使えることが好ましい)
このアプローチは、異なるニーズを持つ複数の市場セグメントに対応できるため、マーケティングの幅が広がります。
※前回(市場細分化)のアパレルの新ブランドの考え方で言えば、男女両方の10代~40代向けに、安価品をベースに提供するような戦略です。
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集中型マーケティング(Concentrated Marketing)
特定の1つのセグメントに焦点を当て、そのセグメントに対して集中的にマーケティング活動を行います。
中小企業や特定の市場ニッチを狙う企業に適したアプローチで、リソースを集中させることで効果的なマーケティングが可能です。
※前回(市場細分化)のアパレルの新ブランドの考え方で言えば、女性、10代、安価品に的を絞り集中して提供するような戦略です。
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マイクロマーケティング(Micromarketing)
個々の顧客や非常に小さな市場セグメントに対して、カスタマイズされた製品やサービスを提供します。
最近では、データ分析やテクノロジーの進展により、個別のニーズに対応したマーケティングが可能になってきています。
※セグメント分析の中で更に、的を絞った戦略です、例えば、上記の集中型マーケティングで例に挙げた「10代女性をターゲットにした、クマの耳が付いたフード付きパーカー専門店」のような戦略です。
ターゲティングの実施プロセス
※今回のファイルはPower PointとExcelの連携が上手くいかなかったため、ZIPファイルがありません。その代わり、Google slideとGoogle Spread Sheetで連携されているため、サンプルファイルを使う場合は両方必要です。ご了承願います🙇♂️
ターゲティングを行う際には、市場の評価と、自社の目的と、自社のリソース(能力)の3つがマッチした
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市場セグメントの魅力度評価
各セグメントの規模、成長率、競争状況、収益性などを分析し、どのセグメントが最も魅力的であるかを評価します。
上記のサンプルファイルでは、成長の期待度と、シェアの見込みをベースに、どちらを重視するかという観点を加えて市場魅力度を判定しています。(正解はありませんので、参考程度にどうぞ)
適当な数式
- セグメントの選定
①と②の評価結果に基づいて、ターゲットとするセグメントを選定します。
上記のサンプルファイルでは、①と②をベースに散布図を作成しています。
散布図を見ると、「10代女性セグメント」が市場魅力度・経営資源合致度が共に高い水準にあることがわかります。
もしも、集中型マーケティングの戦略を選択するなら、「10代女性」を狙うと効率が良さそうです。
また、「女性」のセグメント間の距離は近い(緑色の矢印参照。見えづらいですが)ですが、「男性」のセグメント間の距離は遠い(オレンジ矢印参照)ため、差別型マーケティングの戦略を選択するなら、「10代~50代女性」を狙うと効率が良さそうです。
もしくは、「男性」、「女性」問わず、全てのセグメントの位置が高い(「50代男性セグメント」の市場魅力度が低くても、持っているリソースが使いまわせる等の理由により)と判断されれば、無差別型マーケティングの戦略を選択することもあります。
- マーケティングミックスの最適化
選定したターゲット市場に最適な製品、価格、流通、プロモーションの戦略を構築します。
まとめ
ターゲティングは、効果的なマーケティング戦略を構築する上で欠かせないステップです。適切なターゲット市場を選定することで、リソースを最適に活用し、競争力を高めることができます。
STP分析の次のステップであるポジショニングと合わせて、総合的なマーケティング戦略を構築することが成功の鍵となります。
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